第二十話 永正五年、鹿島の母
この作品は、歴史的な史実とは別次元の物語です。
妄想的で非常識、そして変態的な展開ではありますが、
今後ともよろしくお願いいたします。
鹿島の母が訪ねて来た。
「こんなに近いのになぜ顔を見せないの!」
と、第一声がこれだった。
「分かっているよ!殿様の仕事があるんだろう!孫の顔と嫁に挨拶しに来たんだ」
と、言いながら俺と話をせず、芳と皐のほうに行きかしましい状態になった。
食事と風呂を堪能し酒も入り、親父を捨ててここで暮らすなどと言い出す始末だ。旅の疲れで、即座に就寝した。母はパンがお気に入りで、作り方を知りたがっていたことと、ここで食べたうどんがお気に入りで、これも教えてほしいとのことだった。
「窯の作り方を紙に書いたから、親父に作ってもらってくれ!」
と、言ってパンとうどんのレシピも渡し、パンとうどんが作れるように食堂のおばちゃんに指導をお願いしてその場を後にした。
二週間後、台風のような母にたくさんお土産を持たせて又平さんと鹿島へと帰っていった。行きも帰りも又平さんには感謝しかない。
永正五年(一五〇八年)、三河から小田原に戻ってきた。史実通りに戸田氏の寝返りで撤退してきたのだ。ただし、家康の曾祖父である松平信忠が討ち死にし、清康も生まれていないため、歴史が変わってしまった。
今更だが、この先どんな歴史になるか分からない。ただし、俺の終点は一五九〇年頃だ。秀吉が北条を滅ぼすまでの命運だろう。家康の江戸幕府もない未来なのか……。
早雲さんは今回の戦で新装備を温存していた。従来の戦い方で、無理のない戦い方だった。来年の永正六年(一五〇九年)は武蔵の扇谷上杉朝良の江戸への侵攻に合わせるための動きとなるに違いない。
ふらりと、小太郎が焼き鳥を食べながらやってきた。
「何か面白いものはないか?」
と、言われ「そんなにポンポンと何でも出るわけないだろう!」と軽口で返す。
「何が必要なんだ?」
と問うと次から次へと出てくる。空を飛べたり、足が速くなったり、姿が見えなくなったりと、まるでファンタジーだ。ドラざえもんじゃあるまいし、無理だ!
話を聞くと、戦場で未熟な兵士用の軽い防具が欲しいらしい。強化プラスチックの原料がないため、麻と膠と、薄い鉄を鱗状にしたプレートを使ったミリタリーベストと小手、それに脛当てを、現代風のものを提案した。来週には出来上がっているからと伝えると、居酒屋へ向かっていった。町の住民の八割が風魔の民だし、第二、第三の拠点でもあるし小太郎もかなりリラックスしている。
以前、又平さんにお願いして採取してもらったピートを使ったウイスキーが完成した。早速、春さんの所にベーコンとチーズを土産に試飲に向かった。春さんは開発地区と生産工場を分け、事業拡大している。開発地区はここから見える所にあり、今年からお湯が使える地区に本所兼自宅を作り、ご近所さんになった。
芳も春さんが引っ越してきて肉親が傍にいるだけで心強い。春さんは、孫と俺の商品開発(商売)と、お湯(風呂)が使えることもあり、互いに喜んでいる。
ピートはウイスキーだけでなく燃料にもなるから重要な資源である。この地、下総国の千葉氏はその重要性も存在すら知らないだろう。知っていても、田畑にならない無駄な土地という認識だろう。早雲さんには小太郎を通じて知らせている。
「まあ、無理はしないでほしい。他の方法もあるからな」
ウイスキーの試飲だが、酒好きの有志数名と、当然、源三さん親子と少し若いウイスキーを皆で楽しんだ。楢の樽から数年かけて色が濃くなり、アルコールの角が取れ、匂いも含め、もっと旨くなるだろう。という結論で解散した。
ちなみに、酒が年々気化して減っていき、旨くなると伝えると、源三さん親子は「減る」ことにがっかりしていたが、「旨くなる」という言葉で、元気になった。あの親子はドラマの酒好きを描いたキャラクターそのものだった。生で面白い映像を見せてもらった気分だ。
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