第2話 延徳元年、生まれる
この作品は、歴史的な史実とは別次元の物語です。
妄想的で非常識、そして変態的な展開ではありますが、
今後ともよろしくお願いいたします。
カン カンカン カン……
「矢五郎~生まれたよ~男子だ、早くおいで」
「ばあさん、今大事な……」
バシッ!「ばかたれ~……」
「ばばあ~ それで叩くなって、あぶねー」
二回目を回避して、ばあさんに小突かれながら親父は面倒くさそうに母の所に向かう。
「手洗ったか?」
「洗ったよ~」
「ちく(うそ)、早く洗って来い。又叩くぞ!」
どうやら無事転生できたようだ。
無力な赤ちゃんとして……
何分、乳児なので少し考えると~即、眠くなる。
考える・眠くなる、の繰り返しだ。
目もよく見えないし、視界が狭い。
早く大人になりたいと不満を言いつつ
発する言葉は「あ~ う~ ぎゃー」と奇声を上げるだけ。
転生したから魔法でも使えるとか、ステータスオープンとかも何もない。
きっと成長したらとか、淡い期待を描きながら……寝る……
――
俺の名前は直道。
この世界に来て三年になる。
今は明応元年(1492)。
三年で理解できたことは、とんでもない時代に生まれたことが分かった時は、
ない顎が外れそうに仰天した。
まぁ~前世の記憶があるあたり異常だが、一万年の奇跡という事で理解した。
兄の刀三郎十三歳、姉の妙は七歳。
他の兄弟は赤子で亡くなったそうだ。
兄は親父の後継者として修行中だ、姉は家事手伝いと子守り。(姉の玩具状態)
なぜ転生前の名前を付けられた訳は夢の中で管理官に教えてもらった。
要は、母の夢の中で神様として現れて紙に命名”直道”という映像を刷り込んだと説明された。
生前か二十九年慣れ親しんだ名前だけに、管理官の好意に感謝をした。
親父は鎌士郎と命名にする予定であったが、
母から「お告げに背けば罰が当たる!」と反対され直道に収まった。
管理官が夢の中で、百年間は病気で死なない、
ただし、けがでは死ぬから気をつけろ。
それと、けがしても破傷風や狂犬病やまむし毒で死亡はしない
(毒や細菌、ウイルス、性病も含めて)とのことです。
つまり戦で致命傷になる傷は命取りって事だ。
勘が鋭く危険を察知する能力は生き残る為には危険の回避は必須だ。
それと、ものづくりの知識はインストールしている。
自分の判断で活用するように言われた。
大変ありがたい能力を頂いた。
ちなみに、魔法やステータス系の機能は取り扱ってないと言われ、
ほんの少し落胆したが、十分な能力に感謝した。
忠告として言われたのはこの星を破壊する行為は禁止だから、
その兆候があったらリセットします。
因みに「どの程度」と尋ねたら〈 惑星を誘導してこの星にぶつける 〉とか
壮大すぎてあり得ないと思い、管理官はリセットの一番下の答えは教えてもらえなかった。
前世では原水爆でリセットされないから……
俺の知る兵器範囲では大丈夫と思う?
――
ものづくり全般は生前の趣味としていろいろな物をDIYしていた。
鍛冶はしていなかったが家が刀鍛冶なので色々楽しみだ。
毎日、鍛冶仕事場に顔を出して(何かやらしてくれ)みたいな感じの顔をして毎日を過ごしている。
なんせ三歳児ですから、体が幼児なので何もできない。
やる事は、人の名前や顔を記憶したり、地元ルールを覚えたり。
姉と家の周りをうろつく程度だ。
姉の言うことを「うん!」と言って行動すると機嫌が良く、
俺に優しくしてくれるので姉にべったりしている。
インストールの知識でこの世界の文字も読み書きもできるが、
ただ三歳で親父や母やばあさんにも習っていなくて
いきなり出来るのも……
普通の童を演じる毎日です。
幼稚で語彙力が乏しいことは自覚しておりますので、
誤字のご指摘は大歓迎です!
最後までお読みいただき、ありがとうございます




