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[第二章:変わる日常、潜む者]その3

(…るいとミィ。仲良くしているといいですが)

 月音は家のある方向を見ながらそう思う。

 そんな彼女がいるのは狭いロッカールームだ。

 四角く横長いそこは黒く、天井に着いた薄型の照明によって照らされている。

 そんな場所で今、彼女は何をしているのか。

 答えは非常に単純だ。

「……まぁ、るいの性格から考えれば悪い方には行かないでしょう。ここは妹を信じて、仕事に集中、です」

 言って月音は普段着にして仕事着の黒のボディスーツの上に、昨日るいや黒ずくめに見せた装備を取り付けていく。

 そう。彼女は現在[守護剣]としての仕事を開始するための着替えをしているのだ。

 とはいっても、彼女は装備のインナーを普段着にしているので、服を代えるということはない。あくまで外付けの装備を取り付けるのが、この場における彼女の着替えの内容だ。

「…バイザーは横で…」

 月音…ムーンセイバーは、戦闘時以外は少し邪魔になるバイザーを、腰の装甲の内側に収納する。

 ほどなくして、彼女は着替えを完了した。

「…さて。これで用意は完了、です」

 言って、ムーンセイバーはロッカーの扉を閉め、部屋の右端へと視線寄こす。

 その先にあるのは、部屋と同色の黒い扉だ。綺麗に磨き上げられた引き戸式のそこへ、彼女は歩いていく。

「…既に業務時間。みんな、もういるでしょう」

 静かな足音を立てながら、ムーンセイバーは歩く。

 扉を開ければ、ついに今日の仕事が始まる。

 [守護剣]として、若干変わった同僚たちとの時間が。

「さぁ、始めましょうか」

 その言葉とともに、ムーンセイバーは扉を引く。

 そうして露わになるのはロッカールームから繋がった、彼女ら三人が居城とする、詰所の三分の一の面積を持つ大部屋だ。

 四角く黒い部屋の天井には、薄型の照明が三つ。それらの光が照らすのは三つの机と、部屋中央にある大きな二つのソファーだ。

 四方を小さく横に長い窓に囲まれたそこへ、ムーンセイバーは扉を閉めて入る。

「…みんな、おはようございます」

 ムーンセイバーは数歩歩き、自分の机のところまで行ってから柔らかい雰囲気で挨拶をする。

 それに対して真っ先に応えたのは、ムーンセイバーから見て奥のソファーに寝転がっていた一人の少女だった。

「…あはっ☆おはよっ、ムーンセイバー!」

 彼女は勢いよく飛び起き、左手でピースをしてムーンセイバーへ挨拶を返す。

 そうする色白い肌の彼女の恰好は、花を象ったような形のスカートのある、動きやすさと可愛らしさを重視した戦闘服。内側に黒のインナーを、外側に花を模した飾りをつけ、長い髪は二房にまとめられている。

 そして腰側面にスカートに重なる塔に着いた二つのひし形装甲の下には、先端に水晶らしきものと花弁のような飾りがついたステッキ型の警棒が見える。

 そんな恰好をした彼女の耳は黒く、先端が蒼く発光する機械だ。

 そのような見た目の、機械系と生体系の複合型の[確定存在者]の彼女こそ、ムーンセイバーの同僚の一人、

「はい、マジカルセイバー」

「うん☆」

 [守護剣]、マジカルセイバーだ。

 恰好と態度、名前など少しふざけているように思える彼女ではあるが、そこは[守護剣]、実力は相当なものがある。恰好と態度はあくまで仕事の質をあげるための気付けで、それによって実力を発揮し、安定して[UCEE]の脅威を退けている。

 そのことをよく理解しているからこそ、ムーンセイバーも、そしてもう一人の同僚もマジカルセイバーの態度については何も言わない(慣れているのもあって)。

「…ぁ。ムーンセイバー。おはようございます…」

「はい、チェインセイバー」

 遅れて挨拶を返したもう一人の[守護剣]の名は、ムーンセイバーの言う通りチェインセイバーだ。

 鞭や鎖などのしなるものを獲物とする背の高い彼女の格好は、純白の鎧だ。左に赤、右に青の花の模様が刻まれ、腰回りはスカート状になり、上にムーンセイバーと同じ装甲が四つ付いている。

 そして、鎧の下に見えるインナーはムーンセイバーと同じ黒で、少し生地が薄くも見えるものである。

 そんな恰好をして目を閉じ、長い耳を垂れさせた彼女は、自分の席で顔だけムーンセイバーの方を向く。

「…休日出勤お疲れ様です」

「それはまぁ、別の日に休みは貰っているので」

「…」

 チェインセイバーは目を伏せたまま、特に返答しない。

 しかし、ムーンセイバーはこれといって気にすることはない。もちろん、マジカルセイバーもだ。

 チェインセイバーは無口な性格であり、必要以上にはあまり話さない。

 だが、まわりの発言はしっかりと聞き、行動に反映しているし、いざというとき頼りになる。そのことを理解している二人は、チェインセイバーの態度に口出しすることなどないのだ。

「…さて。三人そろったところですし、始めるの、です」

「あはっ☆そうだね」

「……」

 ムーンセイバーの言葉にマジカルセイバーとムーンセイバーは頷く。

 それから、後者二人は立ち上がり、ムーンセイバーの後ろに並ぶ。

 それを見た彼女は言う。

「では警察と共に、パトロール開始、です!」

 そうして、昨日[UCEE]の構成員が出現したことを受けての緊急パトロールを、彼女らは始めるのであった。


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