その夢が深淵にたどり着くとき

　少年は、恐ろしい夢を見た。

　小学五年生の大翔は、祖父の葬儀に出席するために、母の故郷へと向かう。
　母の故郷「帰龍川村」は、時代から取り残されたかのような、山奥にある村だった。
　川や、山を神と崇めるその村には、守らなければならない掟が存在した。
「夜の山に立ち入ってはいけない」
　掟を破り、夜の山に入ってしまった大翔は、深淵の存在を知ることになった。