8・フマリ フマリ
進まない・・・。うわわ。
「やめて。来ないで」
目の前の女の子がそんな目をしている。
「怖い。怖い。貴方怖い。」
他の子が出てきて僕に投げる言葉。
「出てけ 出てけ 嫌いだ。」
皆が皆同じ事を
「お前は必要ない。」
また、その言葉を聴くんだ。
もう慣れちゃった。そんな言葉。
幾つも幾つも重なって。
当たり前になってるんだ。
だから、もう
ナレチャッタ
「あら?お帰りになるのですか?」
ちょっと後ろで声がした。
振り向くと純白のナース服。
少し怯えた看護士さん。
「サガラさん。」
少し笑って返す。
僕が嫌いなら話さなければいいと思う。
僕が怖いなら近づかなきゃいいと思う。
僕を必要ないなら追い出せばいいと思う。
そんな感情を押し殺した、精一杯の笑み。
そんな目をするなら、来ないでほしい。
僕も嫌だし、貴方も嫌だと思う。
でも彼女が、相手が話す限り応えよう。
「優里さん、どうでした?」
やっぱり、そこは看護士なんだな。と
「彼女は寝てます。ちょうど寝てしまったんで、邪魔にならないうちに帰りますね。」
さっきのアレは気絶に等しいけれど、それは敢えて伏せておいた。
気絶といえば、もう二度と会えないであろう。
「そうですか。優里さんのところにお見舞いにきてくださるのは、お姉様だけでしたから。そういえば貴方のお名前は?」
「令乗 弥澄です。」
答えるべきか迷ったが、本名で答えることにした。
「レイジョウさんですね。レイジョウさんと優里さんはどんな関係なんですか?」
「え?し、知り合いですかね・・・。」
そうですか。では。 そういってサガラはまたどこかへ消えた。
白い大きなリボンがフマリ、フマリと奇妙な揺れ方をしていた。