7・来ないで
またまた奇妙な会話・・・。
「ねえ。泣いてないで話してよ。」
(・・・。?誰?)
「話してよ。ね?」
(・・・。何を??)
「早く さぁー」
(・・・。やめて。喋らないで。口を開けないで。)
「ちゃんと ね?」
(・・・。やめて。嫌だ。その声。)
「ねえ?君の」
(・・・。やめて。嫌い。あなた、誰?)
「君の●●●●●の話を。」
(・・・。何何何???)
「君が一番知ってるよね。」
(・・・。やめてヤメテヤメテ)
「さあ。言ってごらん?君の お 姉 ち ゃ ん の話を」
「------ッはァああああ!」
怖い夢を見た。自分は動けなくて、頭上から声がする夢。
頭上じゃなかったかもしれない。体の中からした気もする。
あの声は誰のモノだったのか。どこかで聞いたことのある声。澄んでいるのに。綺麗な声なのに。
私は嫌いなあの声。誰かの声。誰かの喉。
誰?
思い出したくもない。けど思い出さないといけない。
お姉ちゃんが関わってる気がする。
勘だよ?勘だけど。危ないって言ってる。私が。胸の上の、ペンダントが濃く、怪しい光を放って、優里の双眼に映る。
ふいに、音も立てず一人の青年が入ってくる。
「!?」
「優里さん。起きたんですか?すみません。イキナリ倒れられたんで吃驚しました。」
見てるだけでこっちも笑顔になるような笑顔で笑う好青年を前に、優里はたじろぐ。
(・・・。誰?嫌い。嫌い。)
涙目になりながらも目の前の青年を睨む。
「・・・?あれ?僕、自己紹介しましたよね?」
一歩近づいてくる。
ッブンッ!!!
反射で枕を投げつけた。そんな病がちな幼女の枕投げがヒットするまでもなく。
「僕が嫌いですか?」
また一歩縮まる距離。
綺麗に整頓されている身近に投げるものがなく、落ち着くしかない優里。
(・・・。あ。)
気が落ちる前に思い出す。
(・・・。名前・・・
・・・レイジョウヤスミ)