4・探る
なかなか進みません・・・。
同時刻---------ヨーロッパ某国内、路地裏のバーにて
「わかりそう?ミューラ。」
ナンシーとミューラはそこにいる。
ミューラは最先端パソコンを使い、ナンシーはそのミューラの肩を押し砕いている・・・もとい揉んでいる。
ゴキッグキッグキグキッグチュ
「いぎゃあああああ。痛いっ!痛いってナンシー!!何か最後骨じゃない音したぞ!!」
「さっさと見つければ???解決法。」
手が疲れたらしく、砕くのを止めるナンシー。
「いやぁ~解決法はわかったが、本人に言ったらぶっ飛ばされそうだしな~」
どんな解決法よ!
ナンシーは焦りを露わにする。
2人の悩みの種は弥澄の穢蒼霊眼のことだった。
弥澄の穢蒼霊眼は穢獣を見抜くのには便利だか、不利な点もある。
霊眼を開眼している間は何もかもが真の姿のまま映ってしまう。
もちろん人が普段纏っている服が全てないように見えて、皆生まれたままの姿にうつる。
見るつもりはないのに視界に映ってしまう全裸の人・・・・。
純情な弥澄は開眼時に異性に会うたび逆上せて倒れてしまっていた。
それは今でも治ってなくて・・・。
手を焼いているのである。
ナンシーやミューラから見れば弥澄は息子のようなもので不純な子にはなってもらいたくないのだ。
(・・・。ちっ。俺にも坊のような眼があればな・・・。可愛い子とか見まくるのにww)
不純な自称父なのだった。
ナンシーがニヤリと笑ったミューラを見逃すはずもなく自称父が自称ママに骨を砕かれたのは言うまでもない。
「ここにXを2にして代入して3-2√2・・・・」
紀霧学園1年G組。数学の時間。
美杉優夜はぼーっと窓から空を眺めていた。
性格のよい優等生な優夜にしては珍しい行動だった。今の世界に数少ない真面目で優しい子だ。先生の信頼も厚いのか、誰も注意などしない。
(・・・。飽きちゃった。何でだろう。集中できない。)
優夜はさっきから胸騒ぎがして収まらない。
このときはまだこれから始まる冒険に第六感を除き、気づいていなかった。
(・・・。朝会えなかったし、帰りを狙おう。)
優夜の教室の廊下を通り抜ける弥澄。
さっきまで榎香に捕まっていたが、ようやく抜け出したのだ。
教室も知らなければ、クラスもしらない、一人の少女を求め弥澄は暫しミューラとナンシーのもとを離れ一人で此処に来た。
ガサガサと自分のジャケットの胸ポケットを探る。
すると一枚の写真付きの紙。
----美杉 優夜------
今回の目的である少女の名前と写真、住所、家族設定などの情報が入った紙だ。
下校時刻である放課後までに戻ると決め、紀霧学園を後にした弥澄だった。
向う先は・・・
俣岬記念病院・・・。
優夜の妹の入院する病院だった。
ううう。こんがらがってきた・・・。