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罰を与えるのじゃ

「ライラ!!」


「が、ガルド君!?」


 ガルドは走ってライラの所へ行くと、そのまま抱きしめる。

 ポチおとにゃんが遅れてやってきて、槍を持っていない事を察してライラも強く抱きしめる。


「ガルド君のバカーっ!!何で一人で行ってしまうの!心配したんだよ!」


「そ、それは……ライラさんと……子供の為で……」


「ウチはそんなに弱くなんかないもん!一緒に戦って守ってよ!ガルド君が一人で死んだらウチはどうしたらいいの!?」


「ご、ごめんなさい……」


 ガルドは完全に尻に敷かれた状態であり、そのようなやりとりを見たポチおとにゃんはやれやれとした表情で微笑む。

 一頻り怒られた後、避難民が城の入口で俯いているのを見てガルドは不思議に思う。


「なんで、誰も城の中に入らないんだ……?」


「……セイラ様、殺されちゃったの……」


「……相手は魔物だ……。死ぬ事だってある……残念だが……」


「違うの!……野狐族に殺されたの」


「え……!?野狐族って隔離されてるだけで国民と変わらない対応だったはずじゃ……?」


「わからないの……。どうしてセイラ様を殺す必要があったのか……」


 ライラは分からないと首を横に振り、俯く。

 ポチおは走って城の中へ入ると野狐族全員が樹に磔にされていた。


「な、なんだこりゃあ……!?」


 ヴォルフが驚いているポチおの所に行き、磔にされた野狐族を見る。


「野狐族の一人が王族を殺した。その罪で一族を磔の刑にして、尋問しているんだ」


「誰か知っているやついたの?」


「不思議なことに誰も知らなかった。しかも運の悪いことに他の種族にも現場を見られている。この国の王として……ふくは野狐族の代表として、お咎め無しとはいかなかったんだ」


 ヴォルフは耳を垂らし、イライラしたように後頭部をボリボリと掻く。

 どうにもならない事態になっており、ヴォルフの精神的疲労感を感じ取る。

 そして、思い出したかのように、ヴォルフの前に跪く。


「魔物の数が多くてライラ、ガルド、にゃん、そしてオイラの手に終えないです。申し訳ないのですが、尻拭いをしてもらえないでしょうか……?」


「おう。……国民のこと少し頼んだ」


 ヴォルフはポチおの肩をポンと叩き、ふくの隣に立つ。


「ふく。魔物がまだ国を壊してるみたいだ。ウサギちゃん、ドラゴン人間、わんことにゃんこの魔力も尽きかけて手に負えないらしい。わんこに国民のこと頼んだから、取り敢えず魔物を何とかしよう」


「……わかったのじゃ」


 ヴォルフは獣人の姿から狼の姿に戻り、ふくを背中に乗せて城の外へ出ていく。

 ポチおは磔にされた野狐族の、長であるウルチの元に行き、事情を聞く。


「ウルチ……さんだっけ?何でこんなことになったんだ?」


「……わ……かりませ……ん……。み……うちが……なん……でこんな事っ……したのか……。ですが……一族が……やった……ことです。しか……たありません……」


 ウルチを含め、野狐族は死なない程度に拷問を受けており、これが誰も城の中に入ってこなかったことに結びついた。


(本当に村八分にされても仕方がないよな……。だけど、なんでか引っかかる……。野狐族は不自由がないように補助されて、他種族との干渉出来ないようにされてる筈……。そこに不満でもあったのか……?)


「セイ……ラ様を……殺した同……胞は昨日まで……この生……活に不自由を感じず……とても良い……環境だと言……ってました……。ですから……なん……でこんな……事に……」


 ウルチの発言でますます動機が分からなくなり、ポチおは困り果てる。

 セイラが【命令】を解呪しなければ、今回の事件は解決できたのかもしれない。

 しかし、【命令】の影響下にある野狐族を助けたいという一心でセイラは解呪し、支配から解放して彼女の願いは叶った。

 魔物の掃討を終えたヴォルフとふくが城へと戻ってくる。

 ポチおは首を横に振り、目的が達成できなかった事をヴォルフに伝える。

 ふくも二人のやりとりを見て、状況を察すると、野狐族を磔の刑から解く。


「野狐族……。お前たちは度重なる罪により、罰を与える。無期限の他種族の接触禁止、鳥の国でのみすりる採掘、町の修繕活動に取り掛かるのじゃ。修繕活動はがるどよ、お前の指揮のもとで行うと良い」


 ふくはそのまま城の奥へと消えた。

 ヴォルフは大きなため息をして、獣人の姿となってガルドを見る。


「……野狐族を頼んだぞ」


 そういうと、ふくの後を追いかけていった。

 にゃんは野狐族の手当てをし、ポチおは他種族の避難民を城の大広間に案内し、簡単な避難所を作っていった。

 ライラとガルドは野狐族の治療が終わるまで待つ事にした。


「一瞬、ふく様は野狐族を滅ぼすのかと思っちゃった……」


「……全員が悪い奴だとは思っていないから、この程度の罰則で済ませたのかもしれない……」


「……そうだね。さーて、とっとと町を直そっか!」


「孕っているんだから、無理しないように」


「わかってるもん!」


 ライラはガルドの背中に飛び乗り、肩車で治療が終わるのを待つ事にした。

 ふくは自室の窓から壊された町を眺めて、大穴へと視線を移す。


「貴様たちは……わしが全て葬ってやるのじゃ……」


 手をぎゅっと握り、大穴を睨みつけて呟いたのであった。

 

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