更なる力を求めるのじゃ
ふくは城の中庭で息を切らしながら大量の汗をかき、【梓弓】の構えをしていた。
的と思われる岩山には何度も打ち込まれたのだろう顔の大きさほどの窪みがあった。
この岩山にはミスリルが含有されており、普通の岩にしてはかなり硬いものであるが、この中からミスリルを抽出すると人差し指分ぐらいしか取れないのだとセイラは言っていた。
【梓弓】は非常に強い攻撃力を誇っているが、それでも貫通できないこの岩は硬いものだとふくは感じる。
ちなみに、衝撃波の魔法をぶつけたところで表面を剥がす程度の欠損を与えることしかできなかった。
そして、ふくは【梓弓】を使いこなすとともに、衝撃波の魔法に細工を考えていた。
ふくの衝撃波の魔法は厳密には魔法とは言えないものであった。
もちろん魔力を使ったものなので魔法と言われればそうなのだが、魔法として指示を与えていないのだ。
以前詠唱をしていたが、あれは補助的なものであって、尾が増えたことで別の魔法の補助は必要なくなり、魔力を高密度、高圧縮を一瞬で行い、それを思考性を持たせて爆散させる攻撃である。
従って衝撃波の魔法は魔力をぶつけるというただただ暴力的なものだった。
ふくはこの魔法を好んでおり、もっと強くさせたいと考えていた。
「魔力を直接ぶつけるだけでこの威力じゃ……。ならば、魔法を乗せてやればもっと強いものになるのじゃろうて……」
指をキツネのような形をさせ、魔力を込める。
そして詠唱をぼそっと呟く。
「『蒼炎よ、焼き尽くせ』」
パチンと指を鳴らすと炸裂音と爆破音が町中に鳴り響く。
中庭から蒼い炎の火柱が上がる。
魔法自体は成功した。
しかし、威力が高すぎ、城の一角が溶けて無くなっていた。
「大丈夫ですか!?」
セイラが飛んでやって来ると、ヴォルフ、ライラ、にゃんもやって来る。
「だ、大丈夫なのじゃ!威力の加減を間違えたのじゃ……!」
「……そう、ですか……?【蒼炎】の威力とは思えないのですが……」
「【蒼炎】に衝撃波の魔法を乗せてやったのじゃ……。そうすると、おかしな威力が出たのじゃ」
ふくとセイラは首を傾げて悩んでいるとヴォルフが一歩前に出て口を開く。
「ふくの魔法に上乗せできるもの……きっと限定されてるんじゃないかな?」
「それはなんじゃ?」
「うーん……よくわかんないけど、基礎的な元素魔法や複合魔法は威力が加減できないのかもしれない。……この前みたいな高等魔法なら魔力と釣り合って良いのかもしれない……。たぶん」
「この前の……あの【浄化】と【清光】と【聖火】の複合魔法の事じゃな?」
ヴォルフは頷くと、セイラとライラは慌てて話しかける。
「ちょっと待ってください……!そんな話聞いてませんよ!?」
「そうだよ!複合魔法の複合魔法は高等技術だし、【光】を操っているだけでもすごいのに、それを混ぜちゃったら、超高等魔法みたいになってしまうんじゃ……?」
「その通りです!ふく様がデタラメなのは知っていますが、流石にそんな事は出来ないはずなのです!それこそ、ヴォルフ様のように神の領域まで到達された方でも難しいのですよ?」
「デタラメ……。ええい!見せれば良いのじゃろ!?そこで立って見ておれ!」
ふくは二人から矢継ぎ早に指摘され、その力を証明することにした。
息を整え、標的である岩山を見据える。
右手の親指と人差し指を立て、魔力で弓を作る。
前回と違った指の立て方だが、イメージできればなんでも良く、書庫の狐が教えたのは基礎的なものであったようだった。
左手に魔力の矢を携え、空に向けて構えを取る。
呼吸と共に弓の弦を引き絞っていき、詠唱を始める。
「『光の力をもって、悪しきものを……討ち滅ぼせ!』」
詠唱の時、魔物たちの姿を思い出し、岩山に投影して矢を放つ。
すると、あれだけ打ち込んでも窪みしか出来なかったミスリルの岩山は光の矢の力で貫通し、虚空へと消えていった。
町の方角とは反対だったため、被害こそ出なかったが、その矢の通り過ぎた余波だけでも、先程【蒼炎】で溶けてしまった城の一角が吹き飛んでいく。
暴風が収まり、ふくの魔法の威力にセイラとライラは空いた口が塞がらず、呆然としており、ヴォルフは自慢そうに鼻息を荒くしていた。
「な、な、なんて威力のものを外に向けて撃つのですか!?」
「あんなの当たったら死んじゃうよ!」
「お、お前たちに証明をしようと思うてじゃな……?」
「ふくさん?その光?の魔法、衝撃波の魔法に乗せて撃てば制御できるのでは……?」
にゃんが目を見開いたままふくに告げる。
ふくはにゃんの目に魔力が込められていることに気がつき、『視ていた』物に気がつく。
「……にゃんよ、お前はその技術、どこで覚えたのじゃ?」
「え?」
「魔力を目に込めてわしの魔法を見ておったのじゃろう?それで、わしの気づかない所にお前は気がついた。違うかの?」
「そ、そんな大層な物じゃないですよ!?ただ……気になっただけで……」
にゃんは謙遜し、後頭部を掻きながら照れていた。
しかし、にゃんのやっていた魔力を目に込めて視るというのは野狐族にしか出来ない芸当であったため、にゃんについて考えることになったのだった。
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