久しぶりのお風呂じゃ
コロンに案内され、到着したところは大浴場だった。
ヴォルフが狼の姿になっても二頭分入られるほどの広さだった。
コロンは服を脱ぎ始め、洗い場に椅子などを準備していく。
「ええっと……ヴォルフ様はオスなので……」
「堅いことを言うでない。オレも風呂に入りたいし……」
「変態犬じゃの。ころんよ、すまぬな。あの変態犬はわしから離れぬよう言いつけておるのじゃ。必要ならお前は隠すと良いぞ」
「あ、はい……ご配慮ありがとうございます……!」
三人は洗い場に行くと、コロンは身体を擦る棒を持ち、ふくの背中を洗っていく。
「か、かゆい所はございませんか?」
「うむ、大丈夫なのじゃ。その緑色の液体は薬なのかの?」
「くすり?というものは存じませんが、虫よけの葉っぱをすりつぶして、濾したものになります。これで洗えば付いた虫を払えて、新たに虫が付くのを防いでくれます」
「良いにおいのする薬じゃ。ええのう……」
背中を洗い終えたコロンは前に座り、洗っていく。
「わあ……!」
コロンはふくの豊満な胸の大きさと感触に感動しているようだった。
ふくは感動されて嬉しいような、恥ずかしい気持ちになり、目を背ける。
どうやらすべて洗い終えたようで、ヴォルフの背中を洗っていく。
手つきがぎこちなく、顔もかなり強張っていた。
ヴォルフの恐怖が小さくなるにはまだまだ時間がかかりそうである。
背中を洗い終えると、コロンは一歩下がる。
「あれ?お腹とかは?」
「も、申し訳ございません。さすがに男性の聖域を拝むわけにはいきませんので……」
コロンはうつむいてもじもじする。
小さいとはいえ、そう言ったことを意識する年頃ではあるとふくは感じると、コロンから体擦り棒を取り上げ、ふくが洗っていく。
ごしごしと雑に洗い、男性の象徴も絶に荒っぽくこすり上げていく。
「い、痛い痛い痛いっ!?」
雑に洗うとさすがに神とはいえ痛いものは痛い。
ふくはふんっと鼻息を鳴らし、コロンの元に行く。
「ころんも洗うのじゃ。わしは洗ってもらったからの」
「だ、大丈夫ですよ!?じ、自分で洗えますので——あ、気持ちいいです……」
「じゃろうの。ころんは自由に空を飛ぶことができるのかの?」
「い、いえ……魔力が少ないので少しの間だけです」
長く飛べないことに少ししょんぼりするコロンであったが、ふくは励ましの言葉をかける。
「魔力がなくなって眠るぐらいまで使い切れば長く使えるようになるようじゃ」
ふくの言葉を聞き、コロンは驚く。
基本的に魔力がなくなってしまうと強制的に休眠させられ、その間は無防備になるので誰もそこまでしなかった。
「そ、そうなると襲われたりしませんか?」
「すべて蹴散らすまで戦ってから寝るのじゃ。わしはそれで複合魔法をいくつか使っても平気になったのじゃから、保証はする」
ふくがそう説明するとコロンの目が輝いていた。
やっと心を開いてくれたように感じ、ふくは安心する。
お互い洗い終え、湯船につかると自然とため息がこぼれる。
「ほあ……ええ湯じゃ……。いつぶりかのう……」
ヴォルフは初めての風呂で湯船のお湯に警戒していた。
そんなことをしてコロンはヴォルフの意外な一面をみて思わず笑ってしまう。
すぐに「しまった」と笑うのをやめて、委縮する。
そんなコロンの頭を撫でる。
「あやつを笑っても別に罰はありゃせん。笑いたきゃ笑えばよいのじゃ」
「ふく様はどうしてそんなに優しいのですか?」
「む……それはの……」
コロンにネズミ族の集落であった出来事とは別にコムギとチュータローのことを話した。
成人していないコロンには少々難しい内容だったようだが、異種族でも愛情をもって接していたということが分かり、コロンは自然とふくに懐いていた。
三人は風呂から上がると、衣装が準備されていた。
これで裸から解放されたふくは満足そうな顔をし、ヴォルフは服を着る習慣がないため、しきりに背中や脇などを確認していた。
そして再びコリーの家まで行き、話が始まる。
「私たちがあなたの国に行くことで何をすればよいのですか?」
「うむ……当面は国の要と言える農作物などを育てるために水を引いたりせねばならんじゃろう」
「そうですか。では何人か派遣しましょう。一度に集落から人を出すのは困難ですから」
「それが良いじゃ——」
ドゴオオオオオッ!
突然集落の広場の方から大きな音がし、地鳴りが起こる。
ヴォルフとふくの魔力感知にどす黒いものを感じとる。
ふくは表情を険しくし、走って音のする方へ家を出ていった。
「ふく!一人じゃ危険だ!」
「一体何が起きているのか!?」
「アンタは集落のニンゲンを逃がせ!巻き添え食らってネズミ族と同じ目にあうぞ!」
ヴォルフもふく同様に走っていく。
「コロン。村のヒトを頼む」
「わ、わかりました……!」
(間に合え……!もう、あのような目には合わせられぬ……!)
走っていると突然の浮遊感がしたと思うと、ヴォルフの背中に乗せられる。
ギリィと歯を鳴らし、集落の中央へ向かうのだった。
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