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それぞれの思惑

 地鳴りと岩石地帯のネズミ族が全滅したことはこの世界で様々な憶測を呼び、この世界に散らばる集落に伝わる。

 その中で二つの強大な国が動きを見せていた。

 そのうちの一つ、険しい山岳地帯を含み、非常に温暖な気候の場所にある国。

 木の枝を集めたような住宅が多く、この国の民の特徴として、発達した胸筋と太もも、そして翼を持っていた。

 人間でいう腕が翼になった者、背中から翼が生えたものと二種類の特徴に分けられるが、どちらも飛行能力に差は無いようである。

 国の中心にある大木の天辺にひときわ大きな住まいは国王の居城と呼ばれており、一人の鳥人が国王の居城に駆け込む。


「女王様!火急の件で報告に参りました!」


「どうしたのかしら?」


 鋭い金眼、全身茶色の羽毛を持ち、背中から翼を生やした女性が立ち上がる。

 彼女はこの国の女王『セイラ』。

 猛禽類の特徴を持つ彼女は部下である報告者を見る。


「獣の国で地鳴りが起き、大穴が空いた模様です。近辺にネズミ族と思われる一族が一夜にして全滅しました」


「地鳴り……大穴……。狼族の件と何か関連ありそうですね。他にもあるのでしょう?続けなさい」


「は!姿は確認しておりませんが穴より這い出た【何か】は氷狼ヴォルフにより討伐され、その影響か分かりませんが、ヴォルフは消失したかと思われます。」


「!!あの氷狼が……!?」


 セイラは嘴に手を当て考え込む。

 ヴォルフは神という存在であり、それが消失するほどの強敵が出現したということを考える。


「女王様!今なら獣の国を制圧し、支配下に置けるものと考えますが、いかがしましょうか?」


「……ホークスを従え獣王国へ進軍しなさい。しかし、大穴より這い出るものには気をつけなさい。伝達部隊にアルバトロスの部隊を何人か引き連れるのもよいでしょう。ご武運を。」


 報告者は敬礼をすると急いで出ていった。

 セイラは椅子に座り、左目に魔力を集中させる。

 鳥人の固有能力として非常に遠くを見据えることができ、彼女は世界の裏側まで見ることが可能である。

 非常に遠い距離にあるヴォルフの国をその目で見通すと報告者の報告通り、岩石地帯に大穴が空いていた。

 そして、その大穴を覗くと非常に深い闇で光が通らず、それ以上見ることはかなわなかった。

 しかし、紅く妖しく光る複数の眼光を確認し、能力を解除する。

 一目見ただけで分かった。


(……これは、わたしの手には負えない……!異常なほどの負の魔力……ヒトではなく魔獣でも冥骸獣でもない……。いったい何なの……!?ヴォルフ……あなたは何と戦ったの……!?)


 女王に就任してから十数年だが、この世界に起きている異変に身震いするのであった。


 §


 広大な水に囲まれた島にある国。

 活火山を根城にしたこの国には人が住んでいた。

 しかし、人間とは違い、全身または大半を鱗で覆われた外皮が特徴であり、小柄なヒトには小さな鱗、体の大きなヒトには鱗だけでなく、外殻を持っていた。

 そして、羽を持つ者や鬣を持つ者、長い尻尾を持つ者、鋭い牙を持つ者、火を噴くもの等様々あり、等しく竜人と呼ばれていた。

 竜人は火山のような酷暑の場所で活動でき、逆に寒冷地では冬眠してしまう特徴がある。

 火山の火口には竜人たちの王が住んでおり、獣の国で地鳴りが起きた時、彼は目を覚まし、外界がどのようになっているのか探知を始める。

 そして、ニヤリと口角を上げ吼える。


「皆の者、よく聞け!我らの邪魔な神氷狼ヴォルフは消失した!今すぐ獣の国を制圧せよ!トリ共が邪魔をするだろうが抹殺せよ!」


 それだけ告げると国民は一斉に出陣した。

 男女、子供、年寄一切関係なく全員が出陣する。

 王は背中に生えた巨大な翼を広げ天空に向けて火を吐いた。


「今度こそ我がこの世界を支配するときが来たのだ!ハァーハッハッハッ!!」


 王の高笑いはこの世界に響き渡り、機嫌の良さが竜人たちにも伝わった。


 二つの国がヴォルフの国に向けて進軍するのであった。


 §


 ふくは洞穴のような隠れ家で横わたっていた。

 ネズミ族が全滅し、ヴォルフは眠ったまま一週間が経つ。

 寝返りすることはあれど、一度も立ち上がることがなく、水浴びは愚か、寝ころんだまま排泄をするので隠れ家は非常に不衛生であった。


「誰かいないか?」


 一人の男性がふくの居る隠れ家に入ってくる。

 窓がついておらず、通気性の悪いこの隠れ家は糞尿のニオイが滞留しており男の鼻を曲げた。

 ひどい悪臭の中進んでいくと、倒れている(ように見えた)ふくを見付け、急いで駆け寄る。

 ふくは一睡もせず、食事も水分補給もせず、死にかけの状態であった。

 何とか救い出そうとするが、まずはこの隠れ家の環境をどうにかする必要があると感じ、指揮棒のようなものを懐から取り出し、魔力を込める。


「『大地の精霊よ、窯のように包まれたこの岩を取り払い、新たな居住を生成せよ!』」


 岩が地面に吸い込まれていくように沈んでいき、再び隠れ家を作り出す。

 新しく作った隠れ家は採光、通気性が確保され、非常に住みやすい環境になる。

 明るくなった隠れ家を男が見渡すと、弱って動かないヴォルフの姿があった。


「邪神ヴォルフ……!?殺すなら今しかないな……!」


 指揮棒のようなものをヴォルフに向け、詠唱を始めかけた瞬間、男の腕にふくがかみついていた。

 死にかけているふくになぜこんな力があるのか不思議でだった。

 乱れた髪の隙間から見える瞳から男は恐怖を感じる。

 かすれて、弱弱しい声だが男の耳にはよく聞こえた。

 

「わしの……だいじな……ものに……てはださせ……ぬ……」


 ふくはそのまま力尽き、気を失った。

いつもありがとうございます!

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