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小麦を忠太郎を民を助けるのじゃ

 二人はネズミ族のいる場所へ向かうが、突如、ふくの魔力の感知から外れてしまう。


「ぼるふ!ちょっと待つのじゃ!」


「急にどうしたの!?」


「皆の気配を感じ取れんくなったのじゃ……!」


「この近辺はモヤがいっぱいあって降りられないな……」


 ヴォルフの言う通り丁度窯場になっているのか靄が滞留しており、晴れることがなかった。

 風を起こして吹き飛ばすことを考えたが、周囲にはネズミ族の集落があり、せっかく畑も作って整えたものを壊すわけにはいかないと考え、別の手段を探る。


「どうすれば……どうすればよいのじゃ……」


 ふくの意識は別の場所へと飛んでいったのだった。



 §


 世界が暗転したかと思うとやはりというべきかいつもの書庫へたどり着いていた。


「わしを……あの場所へ帰すのじゃ!早くせぬと、小麦が……忠太郎が……民が死んでしまうのじゃ!」


 そんな叫びは虚しく響き、返事が帰ってくることはなかった。

 そしていつものように一冊の本がどさりと落ちる。

 結局本を読まなければ元の世界に戻ることができないのだと思い、目を通すことにした。


「【浄化】……。悪しき魔力や怨恨に満ち溢れたものを打ち消す魔法……。善き心が悪しき心を打ち砕くものであり、使用者は善き心と慈愛に満ち溢れていなければならない。……これなら、助けられるのやもせぬのじゃな……。待っておれ……」


 本を棚に戻し、目を閉じ、元の世界に戻る意識をした。

 浮遊感に襲われ、成功したことを感じ取るのだった。


 §


「ふく!そこに降りるけどいい?」


 元の世界に意識が戻り、ヴォルフの背に乗っていたことを思い出す。


「ぼるふよ、もう少し飛べるかの……?」


「ちょっとくらいなら……!」


「では、辛抱するのじゃ。よっと……」


「えぇっ!?危ないよ!ふく!?」

 

 ふくはヴォルフの背の上に立ち、手を合わせる。


(わしは清き心を持っておるかわからぬ……。じゃが、小麦……忠太郎……ネズミ族たちよ、わしにとってお前たちは失いとうないのじゃ……!)


「『清浄なる光よ、わしの想いに応え、悪しき靄を振り払え!』」


「【浄化】の魔法!?」


 ふくは靄にめがけて腕を振るとそれはとても小さな、トウモロコシの粒のような大きさの光の粒が靄にめがけて飛んでいった。

 非常に小さな光の塊を見てふくはギリギリと歯を鳴らし、もう一度手をパンッと鳴らす。

 その光景を見たヴォルフは慌てた様子で叫ぶ。

 

「ふく!?ちょっと待って!【浄化】の魔法がはじけるからしっかり掴まって!」


「何を言っておる!あんな豆粒では振り払えるわけがなかろう!」


 何を言っても聞こうともしないふくを説得するため、狼の形態から獣人の形態へ変化する。

 そんなことをすれば背中に乗っていたふくは当然落ちるわけで、靄の中に吸い込まれそうになる。

 ヴォルフは空中に氷塊を作り出し、それを足場にしてふくの元へ跳び、捕まえる。


「クソわんこ!何をするのじゃ!たった今貴様を殺してや——」


 ヴォルフはふくがこれ以上喋らないように口を重ねて黙らせる。

 突然そんなことをすればふくの怒りのボルテージはどんどん上がっていくわけで、顔面に爪を立てられるが、近くの岩場に到着するまでは決して話さなかった。

 靄の影響のない岩場に降り立つとふくを下ろす。

 彼女を居ると「フーッ!フーッ!」と息を乱し、怒り心頭といった表情をしていた。

 ヴォルフは表情を変えず、光の粒が投げられた方向に向けて氷の壁を展開する。

 非常に強度の高い氷で、並みの火の魔法程度では溶かすことができないものだった。

 ふくはずんずんとヴォルフに歩み寄ると尻尾や耳を引っ張る。

 声をあげようとした瞬間……。


 ——ドォォンッ!


 軽く爆発した。

 そして爆発した影響で靄は吹き飛ばされるが、清浄な風を纏っており、靄を打ち消し、浄化しながら吹き飛ばした。

 ふくの魔法は成功していたのだ。

 完全に靄がなくなり、事が終息したのが分かる。


「ね?ちゃんと発動したでしょ?」


「……。すまぬ……。わしは……わしはお前に酷いことを……」


「大丈夫。ふくを守るのがオレの役目なんだから。気にしない気にしない」


「あ……小麦……!忠太郎……!ネズミ族の民を探さねば……!」


 再び狼の姿になったヴォルフの背に乗り、ネズミ族を探しに走った。


 靄の影響で【樹木】で生やした木は半分近くが二度と使えない状態となっていた。

 畑も同様に腐り、荒れ果てていた。

 そのまま歩みを進めていくと大量にヒトが倒れていた。

 ヴォルフから降り、走って駆け付けるとネズミ族であり、すでに息をしていなかった。

 走って先頭を見つけるとそこには手を繋いだネズミ族の男女が倒れており、すでに事切れていた。

 ふくは膝からガクリと崩れ落ち、二人の顔を撫でる。


「忠太郎……。こ……麦……。目を……開けぬか……?わしじゃよ?すべて……片付けたのじゃ……起きて……くれ……。うっ……うぅ……」


 泣いているふくをどう慰めるべきか悩むものの、ヴォルフには死んでしまったものを生き返らせる術は持っていない。

 今できることは全滅したネズミ族を村に返してあげることが最優先だと行動するのだった。

 

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