『夢』 -示唆(しさ)-
※血なまぐさい表現がありますので、血など苦手な方、お気持ちに障る方はブラバくださいませ。
よろしくお願いいたしますm(_ _)m
『夢』 -示唆-
「治療をするよ」
そう言われたのだった
これは夢
もう会えない人の姿だ
ぼくはうなずく
そうして左手が切り裂かれる
掌に刃物が突き刺されたとき
わずかに幻痛を感じた
でも痛みはない
ああやはり夢だと頭の片隅でそう思う
突き立てられた刃で皮膚を抉ってゆく
手のひらから小指の下まで
そこから手首の方へと
魚でも捌くように
弾力のある肉を開き
血を流してゆく
手首から肘への途中まで
中ほどくらいまで腕の肉を開いただろうか
粘るような真っ赤な血が
腕から指を伝い床に向けて
信じられないほど多く流れてゆく
痛みも無く
出血で気が遠くなることもなく
左手から流れる血を見る
じっと
赤き色を眺めている
その人と
流れ落ちる血を
これは何を意味するのだろう?
おそらくは夢だけれど
きっかけはなんだろう……
後悔
死が告げられたこと
それとも
本当に君がきたのか?
赤く濡れる左手と
血溜まりの床を見ながら
広がりゆく赤と
自らの黒い夢を思う
まどろみに心をゆだねながら
夢の意味するものをおもう
深く潜りゆく
答えを求めつつ
眠りに身を委ねゆく
また来るであろう
来るかもしれない夢
そのために
ものおもうため
すすみゆくために
きっとまた夢におちる
そこでまた君とであう