第五話
あれから、果実をいくつ採って遅めの昼食にした。いつも食っている果実なんだが、市場で売ることが見たことないので、鑑定をかけてみる。
果実
効果:食用可能
食感はいいとは言えず、味も渋めなので、売られてもお金になることはないだろう。森から草原に出て街に戻ることにした。【隠密行動】は未だに効果が切れずにいた。時間からして、大体10時間ぐらい経っているにもかかわらずにだ。(時間は≪オープン≫の右下に表示される)かなり優れたスキルであるが、誰かに敵対行動をしたりすれば自動的に効果切れるように、使い道は取得して以来、頭の中にそれに関する知識があった。だからうかつに戦闘行動に移したりはしない。
あれからしばらく歩いて、街に入って人気のないところで【隠密行動】を解除することにした。そうしなくても数分後に時間切れになると自然に分かるので、自分でしたほうが人にばれずに済む。それを済ませたあとに、薬師ギルドに直行する。
しばらくすると、薬師ギルドに到着した。ギルドと言っても、冒険者ギルドのようなスケールがなく、精々雑貨屋3つ分の大きさしかない。カウンターも【買収】、【売却】と【その他】の三つだけだが、人だけは普通のギルド並にいる。買い取ってもらう側なので、買取のカウンターに並んだ。
薬師ギルドは、ポーションからポーションに関する素材の商売のみならず、ポーションの調和を取り扱うギルドである。薬師を育てる機構と考えてもいい。
俺の前に並んでいる人は手馴れな薬師らしく、5級ライフポーション4瓶と6級マナポーション10瓶ぐらい卸しに来たらしい。薬師ギルドに卸すすべてのポーションとその材料は、すべて鑑定士にチェックさせるようで、例え卸しに来てもすぐにお金をもらえないのは難点である。番号づけられた箱にポーションを入れた受け付けさんはその箱の認識票とカードを薬師に渡した。鑑定結果はあと一時間ほど出るようで、それまで待ってほしいと伝えた。いつものことのようにやり取りをした薬師はギルドを出た。
そのあとも同じようなやり取りを繰り返し、ようやく俺の番になった。
「いらっしゃいませ、ライヤさん。薬草の売却ですか?」
「はい。そうです。今回には自信があります」
と言って薬草をパンパンに詰まった袋を二つほど渡した。
「確かお受け取りしました。これが認識票です。量が量なので、鑑定結果は翌朝にまたのお越しをお願いします」
「はい。結果をお楽しみにします」
認識票をポケットにしまい、俺は薬草ギルドを後にした。