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第三話

 いつも乱獲したところにやってきた。雑草か薬草か、分別ができないほどたくさん生えている。とりあえずこの一面の草原に【薬草鑑定】を使う。片っ端から見ていると、10本に一本の確率で7級薬草があることが分かった。でも肝心な5級はおろか6級すらないと、話にならないので、奥に進むことにした。


 30分ぐらい奥に進んだのか、7級薬草がちらほらと見かけて、6級も当然だが、5級薬草も見かけるようになった。草原を両目に収めて、薬草もふくめて大体100本ぐらい生えている。その中に一本5級と5本ぐらいの6級を見かけたので、丁寧に根の上からもぎ取った。


 それも薬師ギルドからレクチャーしてもらったうんちくで、根を剥ぎ取らない限り、薬草は大体一日か2日ぐらいで元の長さに成長する。実際成長に必要な養分は魔素で、魔素さえあればどんなところであろうと薬草が繁殖できるそうだ。

 薬草を摘むことに集中しすぎたのか、低位冒険者の危険ゾーンと呼ばれるところまで足を進んでいた。此処から4級薬草も見かけるようになった。もちろん手放す気がないので、もぎ取ってやった。幾つかの布袋をぱんぱんまで収めた。内訳としては6級308本、5級55本、4級5本で税抜きだと銀貨一枚と銅貨3枚以上の収益になるだろう。それに満足し、これから帰ろうとする近いところから鉄と鉄が打ち合う音が鳴り響いた。


 びっくとなったが、好奇心に勝てず音の元に近づくことにした。

 最初目にしたのは、スラムの住民並あるいはそれ以上酷い格好をした凶漢が太い木の棒を手に持って、何かと対峙している。皮膚は緑色で、顔が豚のような形をしているそれはオークと呼ばれる魔物である。アルフォンスお兄さんの最初の武勇伝にも出てきたオークそのものである。

 それを思い返すと、軽く感動をした。いつかこの豚野郎を撃破し、アルフォンスお兄さんの武勇伝を上書きするような大冒険をしたいと妄想の海に浸かった。

 

 あらためてその場を目にした。凶漢以外にも人が数人地面に倒れ込んで、ビックともしない。もう死んだだろうか?その周りには銀貨より大きい硬貨がばら撒いたことから、オークからお金を奪ったとは考えられず、こんな何もないところにお金を持ち込んでまで何かを買えたいというわけでもない。

 となると、一仕事を終えて、帰路につこうとする凶漢たちに襲いかかるオークというのは一番現実的な状況である。つまり凶漢たちは盗賊であると予測できる。


 こっちから目を向ける凶漢と対峙するオーク両方も俺に気づくことがないため、凶漢の近くに落ちていた硬貨に目を奪われた。そのお金を手にして足が付くといつか面倒なことになりかねないだろうが、足が付かずにうまく消費できるギフトを俺が持っているではないか。いや別に犯罪をするわけではない。盗賊から金品を奪ったり、盗んだりすることは犯罪ではなく、むしろ推奨される。


 なぜなら、人から金品を奪ったりするという行為は魔物と何も変わらない。つまり、盗賊に身を落とすときから、人ではなくなったのだ。


 そんな存在からお金を奪い、ではなく拝借することは誰にも咎めない。いちおう凶漢がまだ盗賊であると確定したわけではないが、拝借することにした。

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