第十六話
新しい剣を二振り腰に帯び、完璧にフィットした真っ白な革鎧を身にまといながら、東門を出た。腰に帯びている黒い剣と銀色の剣を眺めながら、風景を楽しんでいる。隣には銀色の狼が歩いて付いてくる。傍からは襲われそうに見えるが、周りの人にはいつものことなので、誰も気にすることはないと思いたい。
銀狼またの名、シルバーウルフ。5級魔物で3週間前に森を探索したときに満身創痍な状態で発見した。見かけるときに、そのあまりの美しさ、凛々しさに感動したが、その周りが血溜りとなって息を引き取りそうになったその銀狼を見て、治療することにした。別に大したことをするつもりはない。もらった4級ポーションを銀狼に半分振りかけて半分飲ませるだけだ。効果が抜群で、死にそうな狼の傷が治っていき、俺を舐めるように眺めてから、慌てて森に消えていたのだった。今振り返ると、あの時が銀狼を討伐してないことに運命を感じた。それが正しい選択をしたのは、そのさらにの一週間後に知ったからだ。
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森が自分の庭のように知り尽くしたと言ってもいいほど探索に探索を重ねた。どんなところにどんな薬草があり、どんな魔物が生息しているかすらも知り尽くしたと自負している。その自負のせいか、前から入ろうとしない2級薬草のある森の深部に足を踏み入れてしまった。それが後のピンチを招いたことに反省はしているが、後悔はしていない。なぜなら今もぴんぴんしているからだ。
発動できるスキルを全開し、森を探索していると、異常な光景が目に入った。森にある木という木が薙ぎ倒され、まるで戦闘があったと言わんばかりな光景だった。そしてその空地に一匹の狼がぽんと座っていた。その狼は前に薬をやったと非常に似ていて違う点があるとすると、禍々しいほどの瘴気を纏った黒い狼であった。サイズは銀狼と同じく体高1.5メートルほどあったが、凛々しさ皆無である。目に入るものは破壊の限りを尽くしそうな雰囲気を纏っている。まだ俺を発見できないのか、その空地には一歩たりとも歩こうとしない。軽い気持ちで鑑定を飛ばすと、真っ赤い両目が俺に狙いを定めたように目線は合ってきた。身を沈み前足で前に跳ぼうと行動を移す前に俺は背を向けて逃げ出した。なぜなら鑑定結果が恐ろしかったからだ。
名:びゃらきろじゃ
種族:カオスウルフ
状態:瘴気暴走
ランク:4級
アビリティ:
★★★混沌種
★★魔狼種
★混沌魔法
カオスに名の付くものには近づくべからず、それが魔王たる先兵なり――――初代勇者マサヒロより。
スキル全開にもかかわらず、カオスウルフはあっという間に俺を追い付け、尖った爪で攻撃された俺は激痛のあまり、失神してしまった。




