漆黒の街
ニュータウン(通称)漆黒の街。
朝昼晩はここでは関係ない常に暗い街、人口はおよそ五千人ととても不便で穏便だ。この街には法律など存在しない、国にも捨てられた街で見かけたあるがひとつだけルールが決められている。それは他の都市と繋がりをもってはいけないということ。ただそれだけ、しかしそれでさえ守れない。それがこの街である。
事の発端は、この国の大統領であるジェームズ・マクロスである。マクロスは国を代表して世界会議に参加した。そこではある一つの事について問題となった。世界の王 オレスト様が杞憂過ぎる件についてだ。オレスト様は世界を作ったフォーリン・オレストのひ孫である。そのためオレスト様の事は絶対である。
しかしマクロスはこの会議で罪を犯した、それはオレスト様を否定した事。これは死刑ともなり得る重罪である。この結果死刑は逃れる事ができたがこの街は国から見捨てられここニュータウンは漆黒の街となった。
「あぶないっ!」
淡い水色の長い髪の少年が一人ポツンと黄昏ていた、何故だろうか、この少年を見ていると景色が暗くなっていく。そして気づくといつも同じ場所。
二月の中旬。
美しさのかけらもないシュライク・トゥルース。漆黒の街に在住している十八歳。
シュライクには毎日見るものがある。それは淡い水色の長い髪の少年。いつも、俺の行く場所に何故かいる。話しかけるとどこか見覚えのある場所に立っている。毎度そこには少年は居ない。これはシュライクだけではない。
「シュライクーー!」
紅色の髪のかわいい少年レン。
シュライクの一番の友達である。両親は疎開して十四年会っていない。しかしレンにはシュライクがいる。これがレンにとっての生きがいだ、軽率な考えのレンはシュライクとの相性は抜群である。レンにはある夢がある。それはこの街を明るくすること。決して簡単な夢ではない。可能性でいうならば、一%もない。なのに何故この様な夢を持っているのか、深くシュライクは考えて毎日を過ごしている。
「レン!」
シュライクは返事をした。
「新しく街に人が来たらしい!しかも、俺らと同じぐらいの男子だって!」と興奮気味でレンが話すと、
「まじか!見に行くぞ!」
この街には人など滅多に来ないそれを把握しているレンとシュライクはとっさに走り出し沖の方へと向かった。
「ここらへんか?」
いまいち場所を理解してないシュライクは沖に向かったのはいいが、誰も人の気配すらしない。するとレンが
「おーい!そこにいるのはだれだー!」と倉庫に向かって叫び出した。ガサガサ揺れる鉄鋼に隠れている人影が見えた。まさか、こいつか?と恐る恐る見に行くと、醜く朽ち果てた男がいた、
「来るな!まだ、死にたくなんかない、、」怯えきったその体には無数の傷が付いていた。
「大丈夫だよ。俺らは君を傷つけなんてしない」レンが優しい口調で話すと少しだがホッとしている様に見えた。
「君、名前は?」
「俺は、マクロス」
この瞬間シュライクは唖然として、この場を立ち去ってしまった。まさかだが息子という可能性もある。この街の人は大統領の事が嫌いだ、この腐った街にしたのは全て大統領のせいだから。その息子となればこの街の住民に殺されても仕方がない。
ふと気づいた、レンの姿が見当たらない。
まさかだがまだマクロスのとこにいるのか、
全力で走って戻った。そこにはマクロスとレンの姿はない。
「うぐっ、」頭痛が走った。景色は暗くなりそこにはニヤリと笑っている少年がいた。おいまさか。
「あ、またここだ」いつもと同じ風景。匂い、微かに覚えている記憶。しかし今の顔どこかで見た覚えがある。きっとまた思い出すだろうと家に帰宅した。