ウツロウカガミ
【ウツロウカガミ】
擬似生物界 憑依生物門 精霊憑依綱 無機生物目 ゴーレム科 自然ゴーレム属
〈体長〉
確認史上最大750cm
〈身体的特徴〉
鏡。
発生直後は石ころ程度の大きさしかないが、そこから年間約1cmの大きさで成長する。
金属などを主とした、無機物から構成されているためか、現在寿命のようなものは無いと考えられている。
ウツロウカガミ自体に意志と呼べるものは無く、発生した場所から全く動かずに──というか発生場所と同化している──一生を過ごす。
〈食性〉
不明。
〈生息・分布〉
大陸全土。
硬質な物の上ならどこにでも発生する可能性がある。
住居の床や壁から気がついたら生えていたということもしばしば。
〈繁殖〉
繁殖機能は持たない。
近年の研究から、ウツロウカガミの内部には微弱な精霊に近い反応が確認されているので、それが原因でウツロウカガミが発生すると考えられている。
意志を持つ精霊になる前の、いわば精霊の幼生体のようなものが宿っているらしく、年齢を重ね、500年程生きれば意志を持つ精霊になるのだとか。
〈特性〉
200年を超えて生きた個体、つまり体調約200cm以上のウツロウカガミは、自身に向けた敵対行動に対して反撃を行うようになる。
鏡に写り込んだ像を、霊力を用いて再現することによって、敵対行動と同等威力の攻撃を繰り出すことができる。
成長したウツロウカガミにハンマーを叩きつけようとすると、鏡からもハンマーが飛び出し、打ち付ける力と全く同じ力で攻撃される。
現存が確認される最古のウツロウカガミである、浮遊山脈の頂上付近に鎮座する個体は、さらにその力を昇華させ、過去自身に写ったあらゆるものを再現し、敵対者を殲滅するという。過去にどこかの貴族が討伐隊を組んだ時には、鏡の中から巨大な龍が飛び出し、蹴散らされたとか。その龍の姿は浮遊山脈から遠く離れた要塞からも確認できるほどの大きさであったらしい。
ただ、浮遊山脈の個体は700年以上生存している珍しい個体であり、意志を持つ精霊とウツロウカガミが依存的な共生状態(互いに利益がある状態)であるため、対話が可能である。
〈備考〉
数年前には、ケルヴィム王国国王が直接最長齢個体の元に赴き、希少金属を与える──名目上は『与えた』となっているが、実際はケルヴィム王国側が懇願して『献上』した形──ことで、最長齢個体の鏡の一部を得たようだ。
霊力を宿した鏡は、様々な用途に使うことができる最高級素材であったが、ケルヴィム王国は王城周辺に張り巡らされている結界の媒体として使用したそうだ。
結果、魔法研究が盛んな魔道王国の保有する結界よりも強固な物が出来上がり、それを聞きつけた魔道王国も王国に倣って希少金属を最長齢個体に与えようとしたが、王国とは違って実際に『与える』態度であったため、すげなく断られた。
それに激怒した魔道王国は宮廷魔道士一師団を用いてウツロウカガミの破壊を目論むも、魔法を容易く相殺された挙句、反撃の失伝魔法『擬似極小惑星召喚』で国土の1/20が焦土になった。
その一件以降、魔道王国の目は節穴であるという陰口が、周辺諸国一帯で囁かれるようになった。