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大団円エンディングの作り方  作者: 吉瀬
第1章 未知との遭遇
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6 女子会

「しーまん、しーまん」


 ピタピタと温かい手が頬を叩く。


「っは!?」

「わあ、顔色が戻ってきた。顔面蒼白だったから心配したよー」


 気がついたら座席に座っていて、だんだんともっちゃんが顔を覗き込んでいた。


「さ、さささ先ほどの事は何かの間違いでごさいまする」

「落ち着けー。アレは昼休みの出来事だー。今は放課後だー」


 なんでも、アレの後石化した私をだんだんともっちゃんが回収、座席に設置してくれたらしい。


「もっちゃんから源野弟君の中学時代の逸話を聞いたから、アレも源野弟のデモンストレーションってのは分かってるよー」


 だんだんは「安心してー」と言う。源野弟の逸話ってなんじゃい。


「廊下での話は聞かせてもらった。と言ってもひらりんと三人でいるところまでだけど」


 もっちゃんは顎に手を当ててニヤリと意味深な笑みを浮かべた。

 え、ひらりん?月子ちゃんかな、平さんだし。


「そういえば、月子ちゃんは?」

「源野弟に抗議しに行ったよー。しーまんの事心配してたから、また戻ってくると思うよー」


 だんだんがよしよししてくれた。好きだ。


「そういえば、二人ともなんで源野弟と話すの断ったの?」


 別に怒ってはいないけど、私一人だったから巻き込まれた感はある。


「私はー、今は生徒会長派なの」


 「意外と一途でしょ」とだんだんは続けたが、それは逆にミーハーと言いませんか?


「目立たないのと、ターゲットに不用意に接触しないのは情報戦の基本だっしょ」


 もっちゃんはフフフフンと鼻を鳴らす。忍か。好きだ。


「で、だ。私としては、みんな色んな情報持ってるから整理したいのよね。もちろん差し障りない辺りでいいんだけど」


 もっちゃんはやはり顎に手を当てる。忍モードの時の癖?

 というわけで、同日ショッピングモールのフードコートにて。メンバーは私、だんだん、もっちゃん、そして月子ちゃんで集合した。


「えと、みんなでおしゃべりできるのは嬉しいけど、これなんの会かな?」


 おずおずと月子ちゃんが無意識に口火を切った。


「主に被害者えいこ氏に状況説明と源野兄についてひらりんに伝えといた方がいい事があるので、ひっくるめて情報整理する会、かな」


 もっちゃん忍ポーズ。

 被害者えいこって、被害者A子みたいね。


「そういえば、えいこちゃん気分は大丈夫?女の子にいきなりあんな事するなんて失礼だよ!って海里にはキツく言っておいたけど、あんまり反省してくれなくて」


 月子ちゃんが申し訳なさそうに私を気遣う。


「びっくりしたけど、今は大丈夫だよ。ありがとう」


 だんだんやもっちゃんがよそよそしくならなかったのなら、実はもう結構大丈夫。あんなん事故にあったみたいなもんだし。それに、


「それにね、アレは源野弟の守り方なんだって」

「守り方?」

「悪目立ちしちゃったから、『俺の友達には手を出すなよ!』て言う牽制?毎日月子ちゃんのところに来てたのも、月子ちゃんがいじめられないように巡回してたみたいよ」

「あやー、海里に心配かけてたのね。中学の時ちょっと海里のファンとトラブルになったことがあったから」


 それが源野弟の逸話に繋がるのかな?


「まぁ、そこらへんも含めて私が知ってる事しーまんに説明するよ」


 もっちゃん情報によれば、


・源野弟は中学時代、自分から喧嘩は吹っかけないが自分、兄、月子ちゃんに売られた喧嘩は男女関係なく拳以外で裏工作込みで解決してきた。詳細は長くなるから察しろ。

・源野兄のクラスでの様子は至って普通かつ真面目。すでにクラスのムードメーカーであり、今のところ染髪の事実を公然と口にする者はいない。

・源野弟の方が一見クールで冷静そうだが、集中すると周りが見えなくなるため、源野兄が手綱を握っている。


 とのこと。


「山本さんて何者?」


 こそっと月子ちゃんが聞いてくる。忍です。


「あと、ここにくる途中に源野兄見かけたけど遠目には髪色全然分かんないね」

「え、いたっけ?気づかなかった」

「わたし、視力2.0以上あるから」


 もはや何も言うまい。


「でも確かに大地は私と普通に喋る時とか前と何も変わってないの」


 月子ちゃんが続いた。


「大地って飄々としてるって言うか、掴み所がない雰囲気なんだけどウソはつかないし、海里や私思いで優しい人なの。だから、何か悩んで言えないのかもしれない。髪の色指摘しても『染めてないよ。』、夜中どこ行ってるのって聞いても『さぁ?』って言うし」

「夜中はね、高校の周りに居たよー」


 だんだんが小さく手を挙げた。


「夜中って言っても11時過ぎくらいだったけど、校門の辺りをうろうろしてから、ふいっと裏門の方に行ったのを見たんだよー」

「だんだんはそんな時間に何してたの?夜間の一人歩きは危ないよ?」


 私のだんだんが襲われたらどうするのん。


「お兄ちゃんと彼氏と一緒だったから大丈夫だよー」


 私のだんだんではなく、人のものでした。残念。


「繁華街に行ってるわけじゃないんだ」


 月子ちゃんは少しだけほっとしていた。それから嬉しそうに微笑んだ。


「そう言えば、海里のあのニコニコ顔も久しぶりに見たし。昔は良くゲームとかしててね。海里が負けた後にイイ逆転法思いついた時とかあんな無邪気な笑顔になったんだよ」


 え、源野弟は私を守るためにあんな事したんだよね?

源野弟が負けたと思った相手は誰でしょう?

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