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大団円エンディングの作り方  作者: 吉瀬
第1章 未知との遭遇
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5 友達?

 さて、言うべき事が一通り済んだ事ですっかり油断してました。

 つまり、源野弟と並んで廊下に普通に戻ってしまったのです。


 ズビビビシズバン、ぶすりー。ぶすんぷすん。


 さっきより増えていた廊下のギャラリーの視線でもはや即死を超えての黒焦げ。


 固まる私に「どうしたの?」と不思議そうに聞いてくる源野弟。キョトンとした顔はちょっと可愛い。イケメンで可愛いとか、尊くて八つ当たりすらできないじゃないか、くそう。


「今人生で一番衆目(しゅうもく)を集めておりまするもので」


 微笑もうとして、なんかイロイロ失敗した。言葉変だし、表情も多分変だし。


「え、意外だな。なんか経験豊富な子なんだと思ってたよ」


 なんの!?ねぇ、なんの経験が豊富だとお思いになったの!?


「いやいやいや、見るからに平凡でしょ。キングオブ並」


 ようやく視線爆撃から目を反らせることができたので、チラリと源野弟を見ると、めっちゃこっちをガン見してた。


 おうおう、目ん玉ひん剥いて見やがれ、特徴のない鼻口輪郭!黒目が小さく奥二重の目!日本人らしいどストレートの髪!

 あ、でも昔ギャルの子に『蒙古ひだ少ない方だからアイプチしてカラコンしたら美少女になれるよ』という、つまり私の顔じゃないよねって状態ならイケてると言われた気がするわ。

 ってまだ見られてる。すみません。ごめんなさい。やっぱり四秒以上は見ないで、イケメン耐性ないから溶けます。


 とか考えていたら、源野弟の視線が廊下に移った。

 ほっとしたのも束の間、また私の顔を見る。

 廊下、私、廊下、私。


「ごめん、うっかりしてたよ。とりあえず、教室まで送るよ」


 あちゃーという表情の見本みたいな顔である。どうやら、この後私が独りになった時に集中砲火を受けるであろう事に気づいたらしい。

 イケメンて身の振り方とかイロイロ大変だなとちょっと思った。


 が、しかし。


 教室に入ったぐらいのところで、小さく「そうか」と源野弟がつぶやいた。で、


「えいこサン」

「!?」


 いきなり名前で呼ばれた。源野弟をみたら、すごいニコニコ顔だった。すごく爽やか過ぎて、本能的に警戒する。


「なに?」


 と私が返事した瞬間、ほんとにほんとに自然に当たり前のように、私の耳に源野弟は口を寄せた。


「ごめん、やっぱりこういう守り方しか出来ないから」


 低く、小さく、すこし掠れた声。

 私にだけ聞こえるように言うと、ゆったりと元の姿勢に戻り、周りに聞こえるように


「今日はありがとう。友達になってくれて嬉しいよ。何か困ったことがあったら力になるからね。じゃあ、また」


 と言った。


 私は彼の口が触れた方の耳を手で覆って動けなくなった。

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