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大団円エンディングの作り方  作者: 吉瀬
第1章 未知との遭遇
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3 イケメン兄弟とその幼馴染

「さかな、かぁ」


 そう言って平さんはひょいっと踵をあげて源野弟に顔を寄せた。


「うわぁ。可愛い」と思わず私の心の声が漏れる。うん、平さんは仕草も可愛いし、雰囲気が可愛い。もっちゃんやだんだんの平さんの評価は『たて巻きロールの令嬢』より美女レベルは下だったけど、きっと単純に私の好みの女の子なんだな、彼女。


「ふっ」


 ふっ?今イケメンが吹いた?

 ってこっち見て笑ってる?いや、笑われたという表現の方が正しいのかも。


「あ、ほんとだ。可愛いさかなっぽい絵が描いてある」


 平さんが源野弟の眼鏡のツルを指差した。


「海里は結構可愛いもの好きだもんね。くまべえとか」

「くまべえってゆるキャラの?ゆるキャラ好きなの?」

「ゆるキャラが好きって言うか、まぁ、くまべえは好きかな」

「いっぱいぬいぐるみ持ってるじゃん」

「それは月子と大地がUFOキャッチャーにハマるからだろ」

「月子ちゃん、UFOキャッチャー上手なんだ」


 あ、つい流れで下の名前呼んじゃった。


「えっと、そんなに上手くはないんだけど、好きなの。……山下さんも下の名前で呼んでいい?」

「うん!えいこだよ!」

「えいこちゃん」


 っしゃゃー!月子ちゃんと友達なったったー!うひょー。


「「ぶはっ」」


 ぬ?イケボがはもった?


「大地」

「大地だぁ。何笑ってるの?海里も」


 でました、どん。

 源野弟とは系統の違うイケメン、噂の源野兄。二卵性かな。しかし、このアニキっぽい雰囲気は学年上がるたびにレベルアップしそう。


「いやぁ、月子に名前呼ばれた瞬間のこの子の顔が」


 私の顔が?


「『うっしゃー!』て感じしてさ。くくっ」


 ご名答。女の子は可愛い女の子が好きなものですよ?


「で、大地。何の用だよ」

「ちょっとフラフラ散歩してたら見なれた姿が見に入ったもんで」


 「フラフラしてんのはいつものことだろっ」と源野弟が返す横で月子ちゃんが、はっとした顔になった。


「あ、えいこちゃんより『しーまん』の方が良かった?」

「え?ううん。どっちでも!」


「しーまん?魚でも飼ってんの?」


 すでに百八十センチはあるだろう上から、意外と優しい源野兄の声が降ってきた。魚?なんで?


「飼ってませんて。仲いい友達と出席番号順で山下、山田、山本って名前で、山本さんが『もっちゃん』だったから山以外の部分であだ名付けあったんです」

「ふぅん。あだ名ねぇ。俺の勝手なイメージじゃしーまんって言うより……。ん、なんだ?」


 敬語になってしまったのは、イケメン耐性が無かったのと、つい源野兄をガン見してたから。特に毛髪。


「なんか青くない?」

「地毛だよ?」

「んなわけあるかぁ!」


 源野弟が壮大にキレた。


「ほらー。やっぱり判る人には判るんだよー」

「すぐ戻せ。今すぐ染め直せ。嫌なら剃れ」


 源野弟と月子ちゃんがバシバシ源野兄を叩く。


「え、染めてるの?」

「そーなの。実は最近海里が三組に相談に来てたのはコレの相談」

「え、俺って三組で有名人?」

「はぁあ?!」

「いや、三組に相談してたんだろ?」

「じゃなくって!海里が私のところに『両親が海外赴任してから大地の素行が悪い』って相談に来てたの」

「ほうほう。髪染めて?夜中徘徊して?」

「ほうほう。じゃない!留守を任されている自覚が無さすぎだ!」

「で、良いアドバイスは貰えたのか?」

「ううん。結局何もアドバイス思いつかなくて、力になれなかったの」

「いや、月子に愚痴って少しは気が楽になってたよ」

「なんだ、月子が『なんか、髪の色おかしくない?』って聞いてきたのは海里の差し金か。てっきり俺の事を心配してくれたのかと。くすん」

「ふざけてんじゃねえよ!マジで頭沸いたのか?大体、俺が新入生の代表になったのも素行のせいじゃないのか?」


 なぬ?源野兄は源野弟より賢かったってこと?何こいつら。マジ、チート。神さまー。いろんな配分間違えてますよー。


「いや、それは代表めんどくさいから手ぇ抜いた」

「大地!おまえなぁ!」


 源野弟が伸ばした手をさらりとかわし、「あっぶねー。退散するわ」と手をヒラヒラさせながら、源野兄は背を向けた。


「じゃあなー。月子。えいこサン。あと頼むわ」


 がるると飛びつきそうな源野弟をなだめながら、月子ちゃんも源野兄に手を振った。


 え、えいこサンー?

 アニキにサン付けされちゃったー!

 あ、でも、誕生日からいえば多分私が1番年上か。数ヶ月とかだけど。

 そして、ようやく素にもどった源野弟に「山下さん?ちょっと二人で話せないかな」と声をかけられた。


 なんでしょうか?

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