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大団円エンディングの作り方  作者: 吉瀬
第1章 未知との遭遇
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11 秘密の抜け穴

 とりあえず、海里君たちに話すのは明日という事になった。いくらなんでも真っ青の髪だと無駄に海里君を頑なにするし、最悪髪が青くなる瞬間を見せる必要があるかもしれない。


「ところで、裏門近くの破れてるフェンスってどこ?」


 一段落したら、ぜひ聞いておきたかった質問をする。


「こっちだが……特に教室への近道になるわけでもないぞ?場所的に」


 知っとるわい。一年の教室は正門から最寄りだしね。でもね。


「秘密の抜け穴って響き素敵だと思わない?」


 響だけで、ご飯3杯はいけるロマンだ。思わずニンマリしてしまう。


「……えいこサンてさぁ、なんかコレに似てるな」

「コレって?」

「コレ、『ちびはるこちゃん』。しかも、ツッコミ入れている時の。しーまんと言うより、はるちゃんだよな」


 ベルトのスマホケースに『ドン引き顔のちびはるこちゃん』がくっついていた。UFOキャッチャーの景品か。しかしベルトにスマホケース。おじさ……げふんげふん。


「はるちゃんじゃ、あだ名っぽくないでしょ。偽名?」

「いいねぇ。偽名」


 何故か大地君がニンマリしている。彼のロマンはよく分からない。


 祠を避けて奥に行くと体育館と校舎の隙間に続く。陸上競技の用具が置いてあり、反対から祠への入口を見ても先に進めるようには見えなかった。

 「こんな所にある祠、よく見つけたね」と言うと、始業式に生徒の母親が一人「祠は確かこっちだったはずー♪」とか言いながら向かって行ったのを見たそうだ。

 多分うちの母です。はい。


「そう言えば、えいこサンてうちの母さんの声にすげー似てるな。話し方が違うから最初気づかなかったけど」


 問題に解決の目処が立ったせいか、大地君は饒舌だ。というか、浮かれてる?大地君自身が飛ばされる事に対しては全然悩んでいないように見える。


「『朝よー。早く起きて!』って言って見て?」

「あさよー早く起きて?」

「『朝よー。早く起きて!』」

「朝よー。早く起きて!」

「うっわ、マジで一緒だ」


 そんなに?カラカラと大地君は笑っているけど、私の中で彼のマザコン疑惑が急浮上してる。


「はぁ、まぁだから海里もえいこサンの話は聞くのかもな」


 裏門から五十メートルくらい離れた木の、影の辺りのフェンスがご丁寧に切り取られている。ここか。今度朝早く起きてここから登校してみよう。


「海里君と言えば」


 引っかかっていた事があるのを不意に思い出した。


「海里君には大地君の髪はどう見えていたんだろう?」

「は?青じゃねーの?」

「そうなんだけど、一緒に暮らしてるわけじゃない?そんなに色が変わるのに疑問を持たないの変だなーって。祠に行って一番青い状態の時に大地君、海里君に起こされてるんでしょ?」

「……そういやそうか。いくら安定してないっつっても、青の時と地毛の茶色の時じゃ差がありすぎる」

「ちょい待ち」


 いま、地毛は茶色とか言わなかった?


「地毛は茶色なの?私には墨を流したような真っ黒に見えるけど」

「地毛は明るめの茶色だ。俺も海里も母親譲りで」

「私には二人とも真っ黒に見えるよ。もしかして、人によって白い霧だけじゃなくて髪色も違って見える?クラスで誰も指摘して無いのは青に見えないから?だとしたら、逆に海里君にはずっと青く見えていたのかも知らないよね。中学の時とか髪の色で何か言われた事ない?月子ちゃんは?」

「……中学までで、何人かには母さん譲りの綺麗な髪色だと言われた事はあるが……そう言えば学校からは何か言われた事は無いな。月子は昔似顔絵を描いてくれた時に茶色で描いてた気がする」

「何色に見えるかどうかで、異世界への適性がわかるんじゃ無い?」

「適性?」

「祠に引かれる力とか、魔力的な力とか」

「俺の髪が茶色に見えていて、かつガッツリ青にも見える奴の方が少ない。つーことは、その方が異世界に適性があるって考えるのが妥当だな」

「その理論だと、異世界に引き込まれる可能性は大地君より海里君の方が高くない?」


 どん、という音がして地面か軽く揺れた。

 校庭で部活動中の生徒たちは「地震か?」「震度3くらい?」とか言い合っている。

 私は大地君を見た。大地君は祠の方角を見て、絶句している。私も祠の方角を見たけど、何も見えなかった。


設定資料

源野母と女生徒A子は同じ声優

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