約束
レディーナ視点
各自にお弁当が用意されてるから。と勧めたお弁当に手を付ける事無く、アルバートがそろそろ時間だ、と立ち上がる。
途端、今まで感じていた『楽しみ』な感情が『恐怖』に変わったのが分かった。
「アルバート、…がんばってね。」
「…。ちょっと、借りるね。」
私の不安気な表情に気付いたアルバートが少し眉を下げ私の手を取ると、ビートとマリアさんに許可を貰う。
アルバートに引かれるまま階段口まで連れ出された。
俯いた私の目に入るのは、腰に携えられた『剣』
使われるのは真剣では無い。とお兄様が教えてくれた。
それでも、当たれば怪我するし、血も出る。
「あ、アルバートっ」
「今日は、来てくれて嬉しかった。」
(え?)
「…レディーナ、怖かったら帰って良いんだよ?」
(何、を…?)
ニコッと柔らかくアルバートが笑みを零した。
嫌だ、と言葉にはしなかったけれど、首を左右に振る事で伝えた。
「レディーナ…」
「ならっ!」
何か口にされる前に、アルバートの言葉を遮った。
「なら、怪我…しないで。」
アルバートのガーネットの瞳が大きく見開かれるのを見つめた。
「…お願い。」
こくり、とアルバートの喉仏が動いて、ふわっと甘い笑顔が咲いた。
「もちろんだよ、レディーナ。言ったろ、お前のお願いは断らないって。」
「…、約束ね。」
「あぁ、約束だ。」
一度私の頭に伸ばされた手が、彷徨い、アルバートの元へ戻っていく。
あの日から、アルバートからのスキンシップは少なくなった。
それが、彼からの誠意だと分かってる。
分かってるのに、寂しいと感じる私は我儘だ。
次話がいつも以上に短いので同日更新しております。
ご注意ください。




