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違和感

アルバート視点

「やぁ、僕のお姫様。今夜の観劇の約束、忘れてないかな?」

鳥肌立つ様な言葉を吐きながら、黄色い声を上げる鳥の中を進んだ。

自分の気性とは合わないが、レディーナが立派な淑女として振る舞う以上、自分も紳士として振る舞わなくてはいけない。

満面の笑みでコクコクと頷くだろうと目論んでいた自分は裏切られる事となった。

『アルバート…』

レディーナの揺れる瞳は何を意味するのか…

『あの…私…、体調が良くなくて…』


長い付き合いだ。嘘だという事がすぐ分かった。

だが、フォンダンの演劇に行きたくないはずが無い。

自分にとってはさして興味の無い演劇ではあるが、レディーナは大好きなはずで…だからこそ誘ったのだ。

(何かがあった…?)

ヒントは無いかと辺りを見回してみるが、食堂内にいる生徒はハラハラしている様子で自分達を見ているだけだ。


『あの…レディーナ様は先程まで保健室で休まれていたんです』

マリアの声に視線をレディーナに戻すが、相変わらず俯いたままだった。

(どうしたものか…)

何か理由があるにしろ、観劇に行けなくて落ち込んでいるのだろう。

ならばその顔を綻ばせようと、いつもの様に柔らかな頬を撫でた。

しかし、その顔は綻ぶ所か更に俯いてしまった。

(……?)


『違和感』

その時感じたものはそれだった。

(いつもと違う…)

何か確信的な物があった訳では無かったがそれで充分だった。

何だか胸がザワザワと騒いだ。


『ごめん…なさい。』

そのレディーナの弱々しい声に、頭を撫でようとふいに手を伸ばし、止めた。

(皆が見ている場だったな。)


いつまでも俯いているレディーナに後ろ髪をひかれながら食堂を出て、さて…と足を向ける。

「保健室か…」



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