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長期連休の過ごし方―ビートの場合―

「こんな所にいるなんて珍しいな。」

そう隣から声を掛けてきた人物を見てビートが目を剥く。

「お前こそ、こんな所に来るなんて珍しい。」

ビートが居る場所、ここは城下町の庶民が通う商店街の一角、『ビンセント装飾店』。指輪やネックレス等が並ぶ、最近出来た若い女性に人気のお店だ。


「ちょっとした知り合いが居るんだ。」

そう言いながら、アルバートが紅茶色の石が埋め込まれているブローチを手に取る。

石、と言ってもここは庶民御用達のお店であるので、宝石の類ではない。

同じ様にビートは目の前にあるブレスレットを手に取った。

こちらは金色のチェーンの所々にピンクの石で花模様に装飾された、何とも可愛らしい品である。


「誰かに贈り物?」

普段ビートが立ち入るはずもない店に居る、という事はそういう事だろう。とアルバートが問いかける。

「まあな。この前の舞踏会の詫び、みたいなもんだ。」

問われ、答えたビートはちらりとアルバートへ視線を向ける。

視線を向けられたアルバートの眉がピクリと少しだけ動いた。


「お前は、聞くまでもないな。」

「当然」

何とも気持ちの良い即答に、ビートがふっと笑みを零した。

いや、鼻で笑ったのかもしれない。

「ビート」

窘めるように名を呼ばれてビートはその視線を手元へ落とし、肩を竦めた。


一言、二言会話した後アルバートと別れ、手にしていたブレスレットを購入し、慣れた独り暮らしの家に戻る。

机の上、粗方終えた宿題の横にポンッと先程購入し、女性好みに梱包されたそれを置く。と、拍子に終業式で配られた用紙が何枚かパラパラと床に散らばった。


その内の一枚を手に取り暫し眺め、薄く微笑む。


散らばった用紙を卓上に戻し、夕飯を作り、食べ、湯船につかる。

ふぅーと一日の疲れを癒し、浴室から出、軽く体の水気を拭く。

簡単で質素な寝間着に腕を通すと、ベッドの端に腰かけコップから水を一口。


ちらり、と机の上の用紙へ視線を向け、手を伸ばす。

先程の用紙をもう一度上から下まで眺め、笑みを零す。


再度、机の上に用紙を戻すと、布団を被った。


想い人に思いを馳せながらビートは夢の中へ落ちて行った。

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