賭け
レディーナ視点
テストが終わって、連休直前までの日々はあっという間に過ぎ、本日は前期終業式である。
朝、私とマリアさんとディーとで作った沢山の用紙が教師から配られた。
大変だったけれど、こうして頑張った証が目の前に示されると満足感で一杯だ。
そのまま教師から促され向かった先は終業式が行われる大ホール。
指定の席に座り見回すと、殆どの席が埋まっていた。生徒全員そろった様だ。
視線を前に戻して数十分後、学園長が檀上に上がった。有難くも長いお話を頂く。
その後、教師から中期の説明や各教師の担当授業変更等連絡事項が伝えられ、前期功労生徒が紹介された。
一度、学園長、教師共に壇上から降りると、今度はビートが壇上に上がる。
前期の反省点や、改善点の報告と生徒会長としての挨拶、連休についての注意事項が読み上げられ脇に避けると、またも学園長と教師、それから今度は楽曲の教師も壇上に上がる。
ピアノの前に座った教師が合図を送ると、全校生徒が立たされ、校歌の斉唱。
時間にしておよそ3時間。
やっと終業式が終わった。
置いてきた荷物と宿題を取りに各々教室へ戻り始める。
私も戻ろうとマリアさんと共に席を立った所で
「ちょっと良い?」
とディーからおいでおいでと手招きされた。
マリアさんには先に教室に帰って貰い、ディーに付いていく。
ディーと並んで5年の教室へと続く階段を一歩ずつ登る。
私達はここまで一言も話さなかった。階段に他の生徒達の騒ぐ声が響く。
「わたし、この後、アルバート様を雨乞花鑑賞に誘うつもり。」
ふとディーが呟いたその言葉に、浮かんだ映像に、はっとしディーの顔を窺う。
その視線に気付いただろうディーは、それでも視線を合わせる事なく、真っ直ぐ前を向いていた。
『雨乞花鑑賞』それは未来視で見たアルバートとディーの初めてのデートである。
「レディーナ、賭けをしない?」
「…賭け?」
そこでくるりっとディーが体を反転させて私の前に立ち塞がった。
「うん。それでもしアルバート様がわたしを選んだら…邪魔、しないで。」




