拒絶
アルバート視点
柔らかな髪を思う存分撫でてから、レディーナを腕の中から解放する。
「そろそろ戻るか。」
えぇ。と笑んだレディーナが先程迄の幼い顔を隠した。
手を引きながら準備室を出、図書室に戻るとバッと皆の視線が集まった。
その視線にビクッとレディーナの手が揺れる。
「レディーナ、急に出て行ったので心配した。大丈夫か?」
「えぇ、ごめんない、ビート。それにマリアさんも」
レディーナが自分の手元からマリアの元へ離れていくと、ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべたビートが近づいてきた。
「気が済んだか。」
「うるさい。」
大体、レディーナを呼び捨てにするあたり、まったくもって納得いかない。
レディーナの友でもあるビートはこの学園で自分以外、唯一彼女を呼び捨てにする奴でもある。
睨む事で牽制したが、ポンポンと肩を叩かれていなされてしまった。
「そろそろ、日が沈む。レディーナとアルバートが戻って来た事だし、お開きにしよう。」
そうビートが図書室内全員に声を掛けると「えーっ!」と非難の声が上がった。
「生徒会長、まだ教わりたい事が沢山あるんです。」
そうよ、そうよ。と周りから賛同の声が上がる。
「しかし、皆親御さんが心配するだろう?学園から街への馬車もそろそろ終わりの時間だ。」
「そうだわ!でしたらまた勉強会を開いて下さいませんか?」
名案を思い付いた!と一人の女生徒が声を上げれば、良いわね。とまた賛同の声が上がる。
「レディーナ様、宜しいですか?」
「えっ!?」
先程名案を思い付いた女生徒が、ビートからレディーナへ視線を移し同意を求めた。
「あ、あの…えっと。」
困っているレディーナへ助け舟を出すべく、足を踏み出そうとしたその時
「ごめんなさい…」
と小さくレディーナが呟いた。
「え?ダメですか?」
自分と同じく、否定されると思っていなかったのだろう、女生徒が再度レディーナへ問いかけた。
途端、レディーナの顔が俯いてしまった。
レディーナが初めて口にする拒絶の言葉に驚き、反応が遅れた自分の横をビートが笑みを湛えてすり抜け、レディーナの元へと向かう。
彼女の肩にそっと置かれたビートの手に、また胸がむかついた。
「申し訳ない。レディーナも私も、明日からテスト直前まで生徒会の仕事があるから、勉強会は開けないんだ。…な?」
その言葉を聞いて驚いた女生徒が目を大きく開きビートを見返す。
その女生徒と同じ顔を浮かべたレディーナも同じく、ビートを見上げてからぎこちなく頷いた。




