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未来視

レディーナ視点

「レディーナさん、大丈夫?辛い様なら無理しないでね」

優しい保健室の教師が柔らかな笑みでベッドの中の私に声を掛けた。

ここは私が通う『ストレイジ学園』の『保健室』である。


『ストレイジ学園』は庶民から貴族までが通う国内一大きな学園だ。

大きな本校舎には各教室や職員室等があり、それとは別に隣に小校舎が建っている。そこには会議室や大・小ホール、遊戯室等特別室が入っている。

大きな校庭の周りは森に囲まれ、緑と獣と虫の多い環境の中で生徒達が卒業まで学ぶ期間は最低6年間。

庶民が入学するにはそれなりの学力が必要だが、貴族はそれなりのお金があれば入学でき、授業内容は至って真面目であるが、庶民に昇格テストはあっても貴族にはない。そんな庶民に厳しく貴族に甘い学校ではあるが、意外にも志願する庶民は多いと聞く。何でも他校と違って本場の夜会や茶会等のマナーが学べ、付き合い次第ではそれなりの人脈も稼げるから…らしい。


私は階段での衝突事件の後、マリアさんに体調が悪いと嘘をついてこの保健室へ逃げ込んだ。

先程頭の中で起きた出来事を整理する為にも、静かな一人の時間が欲しかった。


それは先程少女と衝突し、彼女の顔を伺った時だった。

その瞬間、頭の中を駆け巡ったのは、これから起きる未来を早送りで見せられた様な映像だった。

(予知?未来視?)

それは階段での衝突事件から始まる少女視点の物語。

『ストレイジ学園』に転入してきたヒロイン『ディー』が、転校初日に階段で衝突する私『レディーナ』と男性を巡って巻き起こる恋愛物語。


(私は彼女、ディーのライバルになるんだ…)

時には私の婚約者と、兄と、友人や後輩と…と、その相手は様々であったがディーの恋のライバルとして対峙するのは変わらず私、レディーナであった。


(どうしよう…)

別に私が殺されてしまうとか、路頭に迷ってしてしまうとかそんな結末ではない。

ただ同じ男性に恋をした結果、私がフラれると言う結末が待っているだけである。

だけ、ではあるけれど、私は現在…既に恋をしているのだ。

(あんな可愛い子、好きになるに違いないわ…)

女性の私が見ても可愛いと思ったのだから、男性は余計だろう。


(一方の私は…)

流れる美しい銀髪のお母様と闇を思わせる漆黒のお父様から生まれた私は何故かどこにでもいるブロンドの髪で、ウェーブは掛けている訳では無くくせっ毛だ。癖の強いこの髪は毎朝結って貰って何とかなっている。

お母様の様に優しくも、お父様の様に涼やかでもない目元。

顔もどこか丸顔で、食事に気を付けないとブクブク太ってしまう身体。

(せめてお兄様位美しければ良かった)

対照的に兄は目元は涼やかに端正な顔立ちで、同じくブロンドでも美しくサラサラ流れる髪の毛。

唯一似ている所は目元の黒子位である。


―キーンコーンカーンコーン―

授業終了のチャイムを合図に私はベッドの中から起き上がった。

(とりあえずは、今日これから起こる事を回避しなくては)

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