お茶会
レディーナ視点
「ぐずぐずしてると、本当にわたしがアルバートを奪っちゃうわよ?」
そう言って笑うツバサを、何て怖い事を言うんだろう、とまじまじと窺ってしまう。
(でも…)
でも、何だか心に響いた。
与えられるのを待ってるだけじゃ駄目。
それは、何となく、自分でも分かってる事だった。
問題はアルバートにあるのでは無く、私の心にある。
一言、アルバートに私の事が好きか聞けば良い。それだけ。
きっと、好き。って答えてくれる。アルバートは優しい。
でもツバサの言う通り、その言葉が本心か私はきっと疑ってしまう。
例えその時は信じられても、いつか心変わりしてしまうんじゃないか。と言う不安が消える事は無いだろう。
それは私がアルバートを信じていないから?
では今までの、ツバサが現れる前の私は、アルバートを信じていたのかと言われると、違うと思う。
アルバートを信じていた訳じゃない。結婚が当然だと思っていただけだ。
私が間違った行動をしなければ、淑女として間違えなければ、結婚が未来にあると疑わなかっただけ。
昔と今の私が違うのは、望んでいる未来
今の私はアルバートの心が欲しい。
自分の物なのに、心は本当にままならない。
私がアルバートを好きならそれで良い。と満足出来れば良いのに貪欲で。
私が想っているのと同じだけ返して欲しいと思ってる。
好きだから、余計に。
(だったら、どうしたら…)
「レディーナ、考え込んでいるトコ悪いけど、お迎えが来たみたいだよ。」
そうツバサに言われて顔を上げれば、扉から紺色と黒色の頭が見えた。
「何で、君がここに居るの?ここ、レディーナの家だよ。」
「いや、俺は別に。クラスメイトを迎えに来ただけで…。」
「そう、なら外で待ってたら?」
「は?いや、それは…」
と言い合う声が近付いてくる。
「レディーナ、迎えに来たよ。」と優しい笑みで私に手を差し出すのは、アルバート。
「迎えに来た。行こう。」としかめっ面でツバサに手を差し出すのは、ロビンさん。
私は自然とツバサと目が合って、お互い吹き出してしまった。