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深夜にこっそり金儲け

『深夜にこっそり金儲け』とは毎週水曜日の深夜2時30分に全国36局ネットで放送しているラジオ番組でありリスナーには『モケラジ』と呼ばれている。自称金持ちの『アレックス石田』通称イッシーがパーソナリティをつとめている。内容は世界の経済状況などの話などをするのでは無く、石田の日常の話や大喜利などのコーナーに送られてきたリスナーのネタを石田が読んだりしている。番組内でネタが読まれたリスナー(モケナー)はモケラジのノベルティグッズである『モケラジカード』が貰えるのである。


リスナーの一人である山下 翼はスマホのアプリで『モケラジ』を聴いていた。


『次は大喜利のコーナー、今週のお題は「小学生の時にウルグアイに転校することになった山本君から貰ったコインの特殊能力は何」今週もみんな暇なのかたくさん届いているね〜』


翼はラジオネーム『イケボなマングース』で投稿していた別に翼自身はイケボでもないのだが、ラジオネームは思いつきでつけたのである。


「うわぁぁまた『空飛ぶカレーパン』さんかよ常連モケナー強いな」


『えーと次で最後かな最後はラジオネーム、イケボなマングースさん』


『小学生の時にウルグアイに転校することになった山本君から貰った謎のコインの特殊能力は何か』


『たこ焼きを8個買ったら3個はタコなし』


『山本君の微妙な嫌がらせ、でも結構キツイなー』


「イケボなマングース初採用きたぁぁぁぁモケラジカードゲットォォォォ」


「おい翼、深夜にうるせーぞ」と姉の麻衣に怒られる翼だった。


5日後、翼に1通の封筒が届いた。その封筒を宝物を扱うように慎重に開けると中には2枚のカードと1枚の紙が入っていた。


紙には


『いつも、TOZラジオ 深夜にこっそり金儲けをお聴きいただきましてありがとうございます。


ネタを採用させていただいたので、「モケラジカード」と初採用でしたので「モケナーメンバーズカード」をお送りさせていただきますニャー。


これからもハガキやFAX、メールより番組へのご参加お待ちしています。


TOZラジオ 深夜にこっそりと金儲け スタッフ一同&猫』


と書かれていた。


いくつかツッコミたい所はあるが…


「モケラジカードゲットォォォォしかもメンバーズカードもゲットォォォォ」


「おっメンバーズカードにイケボなマングースって俺の名前書いてあるじゃん!」


そして、番組内でアレックス石田が1000種類以上あると言っていたのを耳にしてから、翼がずっと欲しがっていたモケラジカードを見る。


「デブが赤いボールを投げてる写真?」


そのカードには太った男が赤いボールを投げてる写真とその横に大きく『火遊びするデブ』の文字があった。


「えっしょぼすぎ…まぁこれがモケラジクオリティだよな〜あの番組ならしょうがないか、それに比べてメンバーズカードはかっこいいデザインだな、てかこのデブ誰?もしかしてイッシー?」


「ちょっと翼さっきからうるせーぞ、近所迷惑になるから黙ってろ後、ご飯できたから食べにこい」と姉の麻衣に怒られるのだった。


そして、次の週の水曜日『今週も金儲けがんばってね。じゃあまた来週』


「あーあ今週は採用なかったなー。ん⁈」


モケラジ終了後に違和感を感じた翼


「なんだこれ?目の錯覚?」


そんな翼には今、変な文字が見えている。目薬をさしたり、目をつぶっても暗闇の中でその文字は浮かぶのだ。


『金儲けに行きますか? 【はい 】/【 いいえ】』


「なんだこれ?魔法か?もしかして、ついに神の力に目覚めたのか」


でも、なんとなくこの文字はスマホのように操作できることは分かる。少し怖いが好奇心から目の前の文字の【はい】をタッチする、それからだんだん意識が遠くなっていった。





次に目が覚めた時、彼はよくある会議室のような所の椅子に座っていた。右手にメンバーズカードを持ち目の前の机の上には数日前に入手したモケラジカードが置かれていた。


「さぁ金儲けをはじめよう」


「何?」


突然、目の前に現れた男に驚いてしまう。


「あんたは西 賢治?それより、これ俺の声か?」


今、翼の目の前にいたのは数多くの世の中の常識を変える発明をし「世界を変える男」とも呼ばれている西 賢治だった彼の足下にはなぜか猫もいる。しかも、いままでは気付かなかったが自分の声もイケボと呼ばれる部類のものになっていた。そして翼の腕も毛でフサフサになっており手も人の手ではなくまるで動物のような手だった。


「フサフサ?…手?…なんだこれぇぇぇぇ、おいおいおい、この体なんだよ」


「どうしたのかね『イケボなマングース』さん」


「これはお前の仕業か」


「これは私の発明品の力のおかげかな、そろそろこの状況を説明してもいいかな?もう分かってると思うけどアレックス石田の正体は私だ。そして」


「ちょっとまてよ、イッシーの正体が西 賢治?たしかに声が似てるな」


「似てるというか同じ人物だからな、で説明の続きなのだが、先ほどここに君を連れてきたのは私の発明品と言ったが、その発明品というのがモケラジメンバーズカードだそれには番組終了後に所有者をここに連れて来ることができるように設定してある。」


「いやいや設定って、このカードのどこにそんな力があるんだよ。ただのカードにしか見えないが?」


とりあえず思った事を質問してみる。


「そんな事は凡人のマングース君には理解出来ないだろうから説明しない。まず、ここがどこかという事だが、ここは私の作った仮想空間だ。夢の中の世界とでも思ってくれればいい」


もういろいろ言いたい事はあるが、質問しても教えてくれないだろうし黙って聞くか。


「そして、マングース君がここにいるってことは君は『金儲け』しに来たのだね?」


「ああ、そうだよ」


「番組内でも言ってるが私は金持ちでね。もう、欲しい物もないし世界中の食事と美女は食い尽くした。しかし、金が有り余っている。かと言って募金のような糞みたいな事に金を使いたくない。そこで考えたのがここさ。」


「ん?」


こいつ何言ってるの的な視線を西 賢治に向ける翼


「まぁ簡単に言えば、ここは私の財産をマングース君の様な凡人にばらまく場所さ」


「なら5億円ほどくれ」


「はっはっはっ5億円ぐらいの金ならあげても構わないが、それでは私が面白くない」


ふざけて言ってみたが、5億円をたいした額じゃないと言い張られ困惑する翼


「じゃあどうすれば、5億円くれるんだよ」


「この空間ではモケラジリスナーに戦ってもらっているんだそれに勝てば賞金を獲得できる負けても現実世界で死んだり体に後遺症が残ったりすることはないから安心してね。賞金はモケラジメンバーズカードを使えば全世界のATMからおろせるから大丈夫だよ」


「ニャー」



いままで静かにしていた猫が鳴くが今はそんな事はどうでもいい。



「ちょっと待て、死とか後遺症が無いって何して戦うんだよ」


ニヤニヤと西 賢治はモケラジカードを指差しながら答える。


「そのモケラジカードはこの空間では特殊な力が使えるようなっていてね。えっとマングース君のは『火遊び』かなかなかいいカードでよかったね。話で聞くより実際にやって見たほうが分かりやすいだろう。今マングース君の目には文字が見えているだろう?」


「ああ、ずっと気になっていたんだがなんだよこれ?」


翼の目にはここに来てからずっとステータスのような物が見えていた。




イケボなマングース


HP 100/100


ランキング

738位 (200円)


カード

・火遊びするデブ


獲得賞金

0円


☆退出する



「そのカードの『火遊びするデブ』をタッチしてみて」


「こうか」


とりあえず指示に従う翼、すると翼のてから炎が現れる。


「なんだこれ、炎?でも熱く無い」


「はっはっは、それは当たり前だよ自爆できるカードなんて3種類しかないからね初めのカードが自爆系なら不運としか言えないね」


自爆もあるのかよと内心で思いながらも翼は質問する。


「それで、これでどうやって戦うんだよ」


「戦い方は人によって違うな持っているカードも違うしね。とにかく、相手のHPを0にするか『☆退出』をさせれば賞金を獲得できるんだ」


「それで獲得できる賞金なんだけど例えば君はランキングが738位の最下位だその横に書いてある200円っていうのがマングース君を倒した場合に獲得できる賞金だよ。つまりランキング上位者を倒せば賞金も多くなるんだ。ちなみに現在1位の『クチャラーは世界を救う』君を倒せば500億円入手できる。ちなみに何回負けてもいままで獲得した賞金がなくなることは無いから安心してね」


「クチャラーさんって言ったら毎回読まれてる超有名モケナーじゃないか、しかも賞金がなくならないなら損することはないのか?」


「ああ、これは金持ちの道楽であって参加者の君たちは私に観戦されること以外は損することはないよ。常連リスナーなんかはカードを多く持ってるから強いし。そしていまやランキング上位はみんな億万長者さ。はっはっはっ」


何がおかしいのか、それぐらいの出費は西 賢治にとってはたいした額ではないらしい。


そうか、ランキング上位は獲得賞金も多いがそれだけカードを持ってるし強いのか。つまり常連モケナーは最強ってことか。


そんな事を考えていると西 賢治が話の続きをはじめた。


「最後のルール説明をしようか。この空間は毎週番組終了後4時間だけ解放される。勿論、ここに来ることを拒否することもできる。それは個人の自由さ。あとは戦いに負ける。つまりHPが0になるもしくは自分で☆退出をタッチすれば現実世界に帰ることができる。なおこっちにいる間は現実世界の体は睡眠状態になっている。でも安心してねメンバーズカードのおかげでここにいる時に現実世界の体に害を与えることはできないから。安心してここにきてね」


「ニャー」


「このカードは一体なんなんだよ」


「じゃあ僕はこれで観戦にもどるよマングース君の『金儲け」楽しみにしてるよ。またね」


そして何もなかったかのように西 賢治と猫は消え。翼も砂漠のような場所に飛ばされるのだった。



天才発明家の西 賢司が作った砂漠に小さな足跡の列があった。その先にはマングースの姿の山下 翼がいた。突然この砂漠に飛ばされてから、翼はいくつかの確認をおこなった。まず初めにマングースの小さな手に現れる炎の使い方をいくつか試したのだが、この炎はファンタジー物のアニメやラノベなんかでよくあるファイヤーボールとしてしか使えないことが分かった。ボールを投げるよう炎を投げるとだいたい100mぐらいは遠投できた。しかし5回投げると次を投げるのに1分ぐらい炎が消えファイヤーボールが使えなくなるようだ。


「うーん、どうやら5回使ったら1分間は無防備になるのか考えて使わないとな」


ファイヤーボールの次にとりあえず他のモケナーを探して歩いているのだが今のところ砂漠には砂以外の何もないのだった。


「誰もいないな〜しょうがないからもう少し歩くか」


そうして10分程歩いていると翼の100m程先に


『世にも奇妙な高橋君』

・720位 (1500円)

・HP 100/100



と、表示されている黒くて怪しい服を着た男がいた。


「あれが他のモケナーか獲得賞金も1500円と悪くないなとりあえず。最初の敵に丁度よさそうだな」


翼はファイヤーボールを3発投げてみる。


「ちっ一発はれたか」


『世にも奇妙な高橋君』

・720位 (1500円)

・HP 60/100


突然の攻撃に慌てて後方に逃げる男のHPが40減っていた。


「1発20ダメージか5発当てれば俺の勝ちってことだな。相手は逃げてるし残りも投げるか」


翼は男を追いながら2発ファイヤーボールをなげ1分間の無防備状態に入る。


『世にも奇妙な高橋君』

・720位 (1500円)

・HP 20/100


「よし、当たったか。ん!」


40秒ぐらい追いかけた所で目の前の奇妙な男が急にこっちに振り向く。そして右手に隠していた黒い塊を翼に投げつける。


『イケボなマングース』

・738位(200円)

・HP 8/100


「ちっ距離があって削りきれねーか」


男が何かを呟いたが。翼は何が起こったのか理解できなかった。しかし、翼には余裕があった。


「俺の勝ちだな、おらよっと」


そして翼はファイヤーボールを3発投げ、見事に全てを命中させた。男は光の粒となり消えた。


「少しオーバーキルだったかな」


『ニャー初勝利おめでとう。獲得賞金1500円と初勝利ボーナスのマップ機能を獲得しました』


突然、目の前にメッセージが現れ少し驚く。


「本当にゲームみたいだなあとニャーってなんだよ」


そしてメッセージが消えステータス画面が現れる。


イケボなマングース


HP 8/100


ランキング

725位 (1100円)


カード

・火遊びするデブ


獲得賞金

1500円


・マップを開く


☆退出する


「おーランキングが上がってるし獲得賞金もきちんと増えてるな、どれどれこれがマップか開いてみるか」


マップを開くとこの世界の全体図が現れる現在地の所が赤く光っていた。そして青く光っているのはどうやら敵のようだ。


「ここは『サバの砂漠』って言うのか変な名前だな、あのおっさんのネーミングセンスは酷いな。てか、青い点が『ニシティー』って所に集中してやがる。この砂漠に俺とあの奇妙なやつしかいなかったのかよ。どうりでいくら歩いても誰にも遭遇しないわけだ」


「トザッ‼︎」


「なんだ!?」


足下に衝撃を受け下を見る翼


『地底に暮らす高橋』

・7位(450億円)

・HP 100/100


「また高橋かよぉぉぉぉ」


ランキング上位の攻撃で元々8しか残っていなかったHPが0になり白い光に包まれる翼だった。


気がつけば自分の部屋に立っていた。


「マップには居なかったのにな。カードの力か何かかな?チートだな」


でもアレを倒せば450億円手に入るんだろ…よし、これからモケラジで金儲けするなら。まずは強いモケラジカードをゲットする必要があるな。


「今日はまず寝て明日から命懸けでネタを考えるぞー!」


そして、眠りにつく翼だった。



ここから翼の金儲けはスタートするのだった。


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