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夜の雫 聖都事変 序  作者: 上総海椰
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エピローグ

暗い部屋にはケイオスとヴィヴィが対峙していた。

「知っていたのね、今回メルゴートの残党が関与しているって」

ケイオスは表情を変えず、何も語らない。

ヴィヴィはそれを肯定ととらえたようだ。机に手をたたきつけ、ケイオスに詰め寄る。

「こういうのはこれっきりにしてほしい。私が動く分にはいい。私を使うのはいい。

けど私を使って誰かを動かそうとするのはやめてほしい」

「…よく似てる」

「はっ?」

いきなりの言葉にヴィヴィは言葉に窮する。

「気を悪くさせたのならすまない。次からはそうさせてもらう。紅の魔女よ」

「それと事情も動く前にきちんと教えて。ムカつくから」

「善処しよう」

ヴィヴィの言葉にケイオスは少し口元を緩めた。

ヴィヴィはそれを余裕ととらえたのか、さらに不快な顔になる。

「それで報酬の件なんだけれど…」

ヴィヴィは少しだけ小声になった。

「聞いても後悔はしないな?」

「今更もったいぶるのはやめてほしいわ」

ケイオスは少し嘆息したあと、おもむろに語り始めた。

「結論から言わせてもらうと、今のままでは君は…君たちは次元干渉魔法を習得できない。

たとえ何十年、何百年かかろうと不可能だ」

「…どういう意味?意味がわからない」

ヴィヴィは目の前の男を睨み付けた。

ヴィヴィは確かに目の前の男が次元干渉魔法を使うのを目撃してる。

存在しないわけではないし、ヴィヴィ自身かなり魔法というものに精通している。

それは人生をかけて築き上げてきたものであり、彼女のすべてでもある。

それを目の前の男はそれを全否定してきたのだ。

「魔法はルーン文字を組み合わせて作られるというのは知ってるな」

「そんなことはだれでも知ってるわ。魔法の基本でしょう」

ヴィヴィはケイオスの問いにあからさまに不快な顔を見せた。

「ではこのルーン文字は?」

ケイオスの手の上には四つの文字が浮かび上がり、彼の顔を照らす。

見たこともないルーン文字にヴィヴィの視線は釘付けになる。

「…どういうこと?」

ヴィヴィは見慣れない魔法文字を記憶に刻みこみ、必死になって今までの知識を総動員させる。

ヴィヴィの持つ途方もない蔵書の中にも確かに数冊自身の魔法知識でも解読不可能なものが存在していた。

読んだ当時は誤植、もしくは何かの符牒と考えていたが。

「ルーン文字は二十四文字ある」

ヴィヴィはその言葉を聞くなり彫像のように動かなくなってしまった。

しばらく二人の間に時間が空く。

「…そんな…うそでしょ…。それじゃ『原論』は…」

ヴィヴィの顔面は次第に青ざめていった。

「根本から崩れるな。あれはもともと人が魔法を使う上での入門書として編纂されたものだ」

ケイオスは淡々とその事実を口にした。

「ルーン文字の使用は『原論』が…。

四文字増えるだけでどれだけ計算が膨大になるか…。そもそも今までの理論自体が根本から…」

彼女は崩れるという言葉は、それに携わるものとして言えなかった。

右目に手を当て彼女はその事実を確認する。

魔法の文字が一つ増えるということは、等比級数的にその複雑性がましていく。

魔法に精通した彼女だからこそその事実を瞬時に理解した。

「だからこそだ。四文字除いたものが伝承されているのは、そちらのほうが使いやすいため…違うな、

使えるものがいなかったためだ」

ケイオスの目前に見たこともない複雑な魔法式が形成される。

魔女の中ではトップクラスの能力を誇る彼女ですら、その複雑な構成を読み取ることができない。

「それじゃ…一から…魔法を…」

「そう、次元干渉魔法を使えるようになるには、一から基礎を作り上げなくてはならない。

我々はそれを高次概念魔法もしくは第三次魔法と呼んでいる」

魔法式の発動を封じているはずのこのフゲンガルデンで、その男はたやすく魔法を行使して見せた。

それはフゲンガルデンの絶縁結界がこの男の魔法の式を魔法式として認めていなかったことになる。

「それじゃ、ここの結界は…」

「そう。このフゲンガルデンの結界の本当の意味は中の魔王を封印するためではない。

外敵から封印を守るために作られたのだよ」

ケイオスの言葉にヴィヴィは軽い眩暈を覚えた。

次からいよいよ聖都事変に入ります。

舞台は聖都。ヴァロたちはある事件に巻き込まれることになります。

自分の好きなキャラも出てくるのでかなりうれしいです。

実は構想は二つの作品よりも早く、書きかけの段階でした。

それだけに思い入れもあります。

仕事等の関係で少し遅れるかもしれません。

まだまだ未熟な面もありますが、読んでいただけたら嬉しく思います。

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