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街のウワサ2
「あ、おはようございます。いい天気ですね」
「あら、アディ。おはよう。朝から元気で羨ましいわねぇ。でもこんな早くからどこへ行くんだい?」
「はい。今日は森の西側まで行ってみようと思って、いつもより早起きしたんです。この街の事をもっと知りたくて」
一人立ちして今日で5日目。
巡察の要領を掴んできたアディはウワサの魔女の森へ向かっている途中、顔見知りの老婆と言葉を交わした。
「西へ…?まぁそうだねぇ。道くらいは知っておいてもいいかもしれないけど、あまり深追いするんじゃないよ?魔女に見つかったら喰われちまうからねぇ」
「…!それ、誰が言ったんです?実際に被害が出てるんですか!?」
「え?いやいや、そういう噂だからねぇ。聞いたことないかい?」
(また"ウワサ"か……)
何の根拠もないただの噂になぜこうも人は踊らされるのか。
はたまた、噂の魔女がわざとそう仕向けているのか。
(でもどうしてわざわざ自分を陥れる様な真似を…?何か利得でもあるのか?)
まるで取り憑かれたように魔女の事が頭を埋め尽くし、老婆を見送ったアディは再び森の入口へと足を進めた。