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2.ゼリーサバイバル

 俺というイケメンがアトフの世界に舞い降りて1時間ほど。

 スキルや所持品、ステータスの確認を終えた俺は、サバイバルダガーというイケメン武器を片手にフィールドを闊歩していた。

 ワールドマップを見た限り、このまま順調に進めば30分もしないくらいでラフォリスという街に到着する予定だ。


 見晴らしのよかった草原もラフォリスに近づくにつれ、木々が目立つようになり、少しずつ草原から森へと変わっていく。

 森とはいっても、人の手で整備されたであろう道がしっかりと続き、陽射しが木の葉の隙間を縫うようにして地面を照らしているので、のどかなものだ。

 モンスターとの戦闘に飢えていた俺でも、こんな時間もいいかもしれないと思えてしまう程度には居心地が良い。


 あー、癒されるー。

 昼寝を楽しむのもいいかもしれないなぁ。

 ほら、そこの草むらなんかベット代わりにするには最適そうだぞ。


 視線を横にずらしては、寝心地の良さそうな場所を探す。

 そんなことをしていると、思いがけないものを見つけてしまった。


 ――あ、あれはまさかっ!?


 視線の先には、ゆったりと地面を這うように動く透明なアメーバ状の物体。大きさは人の頭ほどだろう。体の中央には黄色の核のようなものがある。

 こんな陸上生物、奴をおいてはいないだろう。


 スライムだ。

 絶対スライムだ!!


 俺の中で確信に変わり、妙にテンションが上がってくる。

 これがスライムでなかったらなんだというのだ。

 もちろん実物を見たことをあるわけではないが、そんな経験がなくてもはっきりとわかる。

 それほどまでにスライムなのだ。


 距離は15メートルといったところか。

 襲ってくる気配はないな。こちらに気付いていないのか?


 脳に相当するのが中央にある核だと考えられるが、視覚を担当しそうな部位は確認できない。

 シンプルそうな肉体から察するに、もしかすると外敵や餌を遠くから認識する能力がないのかもしれない。触覚を頼りに行動しているのだろうか。 


 ……いや、魔法の存在する世界でそんなことを考えるのは無意味か。

 魔法的な要素で敵を探知してました、なんて落ちだってありえるわけだしな。


 とにかく、ここで眺めているだけという選択はありえない。

 俺はサバイバルダガーを構えて、距離をつめていく。

 

 初めての戦闘だ。

 気を引き締めていくか。


 距離5メートル付近を維持し、落ちていた石を拾い上げ、俺と関係ない方向へ投げてみる。

 石はスライムの近くに生えている木の根元にこつんとあたり、草の上を音を立てながら転がり、スライムの近くまで移動した。


 ……。

 反応なしか。


 突然石が転がってくる異常性を理解できないのか、もしくは、石が転がってきたこと自体把握できていないのか。

 なんにせよ知能が高いということはなさそうだ。これで実は全てがスライムの思惑だったというのなら素直に敗北を受け入れよう。

 俺はさらに距離をつめ、いよいよ攻撃できる間合いに入る。

 それでもスライムに反応はない。

 相変わらずのんびりと前方へ進行するのみである。

 ここまでくれば、躊躇する必要もないだろう。


 狙うは中央の核。

 呼吸を整え、真っ直ぐとサバイバルダガーの先をスライムの核に目掛けて勢いよく突き出す。


 ぐにゃりとしたなんともいえない感触。

 サバイバルダガーはあっさりとスライムの体を核ごと貫いた。

 突き刺した瞬間、スライムの体がびくんと跳ね上がったように動いたが、悲鳴をあげることもなくすぐにスライムは動かなくなった。


 ……これで終わりか?

 呆気ないな。

 といっても、アトフで初めて出会ったモンスターだもんな。

 これくらいの強さが妥当か。


 サバイバルダガーをスライムから引き抜き、耐久度の減りを確認してみる。


 

 【装備品】

 武器:サバイバルダガー (耐久度:99 / 100)



 げ、こんな軟らかい奴を一突きするだけで耐久度が減るのかよ。

 見た目は悪くないけど、やっぱ所詮はF級武器ってことかー。

 装備、スキル、宿、食事……それに修理か。金がいくらあっても足りなそうだ……。


 っと、今悩んでも始まらないよな。

 戦利品の確保に入ろう。


 そうはいっても、面倒なことは一切ない。

 右手首に巻かれたリストクリスタルバンドが全て解決してくれるはずだ。

 俺は右手で動かなくなったスライムに触れて、回収と念じる。

 

 ――それだけでスライムの死体がたちまち消滅していく。


 取得アイテムの確認。

 俺は心の内でそう呟いた。



 【素材・その他】

 ・スライムゼリー:ラフォリス近郊に生息するスライムの残骸。

 質:F【級】  重さ:0.1【kg】  耐久度:87 / 100  分類:素材



 よしよし、上手くいったな。

 こんな調子で素材を集めて街で売るなりすれば、少しずつ金は貯まってくだろ。


 現在の所持金は最初から持っていた金貨100枚。

 金貨というと凄そうな気もするが、銀貨や銅貨といったテンプレ的な他の硬貨の表示がインベントリにないことから、金貨が唯一のお金だと推測できる。


 リストクリスタルバンドに金の収納機能と決済機能が備わってるわけだもんな。複数の硬貨や紙幣があったところで紛らわしいだけか。

 とりあえず、金貨1枚あたりの価値にはそこまで期待しないでおこう。


 インベントリを閉じ、一息つく。


 さてと、ラフォリスの街へと再出発する前に、もう少しモンスターとの戦闘を楽しみたいところだな。

 少し道から逸れることになるが森を散策するか。

 この周辺にはスライムが生息してるっぽいしな。


 ただその前に……。


 アトフにきたらどうしてもやってみたいことが俺にはあった。

 それはモンスターを食すことだ。

 この世界の生き物ならば、俺の味覚に新たな刺激を与えてくれるに違いない。そう考え、俺はこの時をずっと楽しみにしていた。

 俺はインベントリから先ほど手に入れたスライムゼリーを実体化させた。

 

 俺の手に纏わりつく、ねばねばとしたアメーバ状の半固体の物質。

 ちょっとひんやりしている。


 うし、とりあえず熱してみるようか。


 これをそのまま口に入れるのはさすがに抵抗がある。

 飲み物にしろ肉にしろ、とりあえず熱しとけば大丈夫というのが俺の自論であり教訓だ。

 この世界では、万が一死んでもすぐに街で復活されるんだ。恐れることはないさ。

 腹を壊そうが生死を彷徨おうがそれは失敗ではなく進歩だ。そうやって新たな教訓は生まれていくのである。


 俺のスライム料理に必要な物は高温に耐えられる容器と、スライムゼリー、それと火だ。

 調味料? 必要ない。


 スライムゼリーを熱するための容器として、俺は最下級魔力回復薬に目をつけた。

 インベントリから一つ最下級魔力回復薬を取り出し、それを飲み干すことでフラスコ状の容器を確保する。


 同時に回復薬の効果を調べるため、ステータス画面をしばらく監視していると、僅かずつだがMPの回復が見られた。

 回復効果はじわじわと続き、5分経過したあたりでMPの回復が止まった。

 心なしか、なにかが俺の中で満たされていく感覚も味わえた気がする。

 プラシーボ効果的な可能性も否めないが……。



 【ステータス】

 名前:萩原陸

 年齢:19

 性別:男


 レベル:1

 HP:120 / 120

 MP:59 / 100 



 最下級魔力回復薬を飲む前はMPが7だったので、その間のMP回復量は52。

 自然回復量を抜きにしても50前後といったところか。

 最下級という形容詞の割には回復したほうではないだろうか。

 ただ、回復までに時間が掛かるため、戦闘中に回復薬を飲んだとしても、すぐに危機を脱するということはできないかもしれない。

 

 回復効果も検証したことだし、料理の続きだ。

 俺はフラスコにせっせとスライムゼリーを詰めていく。


 よし、あとはフラスコを火で炙るだけだ。


 幸い、俺は森の中にいる。燃えそうな木の枝なら都合よく散らばっていた。

 最初は原始的に弓切り式を使って火を起こそうかとも思っていたが、せっかくMPが回復したのだ。実験も兼ねて、オリジナルスキル『コマンド:アイテム』を使って火を起こしてみよう。


 薪として木の枝を複数地面に重ねてから、直前にインベントリに収納した木の枝を一本実体化し、俺はコマンドのスキルを使用する。

 頭に思い描くイメージは、一気に発熱し、煙を出しながら燃え上がる木の枝。


「コマンド!」


 ――あっつ!!

 なんちゅう即効性だ。

 

 スキル発動と同時に手に持っていた木の枝が高温になり、つい手を離してしまう。

 落下した木の枝は、俺のイメージ通りに燃え盛り、薪として用意した他の木の枝に炎を移していく。


 成功だな。

 あとはこの火を使ってフラスコを炙るだけだ。


 俺はスライムゼリーをびっしり詰めたフラスコを火の上方へと持っていきコマンドを使用する。

 思い描くのは、フラスコがその場で固定されるイメージ。


 コマンド!


 スキルの発動を確認するためフラスコを左右に軽く振ってみるが、特にフラスコが固定された様子はなく、なんの抵抗もなく揺れた。


 ……ん、どういうことだ。

 固定されてないぞ。

 スキルが発動されてないってことだよな。

 石を空中で固定することはできたわけだし、フラスコを固定できない道理はないよな。


 石を宙に浮かせた時のことを考える。

 フラスコは俺のインベントリから実体化した。間違いなく俺の所有物として認識されてるはずだ。

 フラスコ内に別のアイテムが入っていることも失敗する要因になるとは思えない。


 そうなると…………あー! そうか!!

 固定する時間を指定しなかったことが原因っぽいぞ。

 

 俺はフラスコを空中に固定するのに、特に時間を指定しなかった。つまり、意図せずフラスコを永続的に空中に固定しようとしてしまったのだ。

 命令を実行するのにそれ相応のMPを必要とするなら、フラスコを空中で永久に固定する場合のMP消費量は計り知れないことになる。それこそ無限に必要になるかもしれない。

 MP消費のタイミングがスキル発動時ではなく、効果発動中随時ということなら実現可能な命令であったかもしれないが、俺のオリジナルスキル『コマンド:アイテム』はスキル発動時に一括でMPを消費する仕様だ。これではスキルが失敗するのも当然といえる。


 よし、仕切りなおしだ。

 とりあえず5分くらいでいいかな。


 再び火の上方にフラスコを持っていく。

 思い描くのは、先ほどと同じく空中で固定されるフラスコ。ただし、今回は5分という時間を意識してそれを行う。


 コマンド!


 指先に伝わっていたフラスコの重みがなくなる。

 そっと指を離しても、フラスコは空中でしっかりと固定されているようで落下することはない。


 上手くいったみたいだな。

 やっぱり命令の終点を意識しなかったことが原因だったか。

 わかってしまうと簡単なことなんだがな。


 MPの消費自体は、木の枝を燃やすのに12、フラスコを空中で固定するのに28だった。

 代表的な可燃物である木材を燃やしたり、重量の軽い物体を移動させたり固定するくらいではそこまでMPは消費しないようだ。5分固定して28のMP消費なら少ないものだろう。



 どうせなら、待ち時間にもう一回くらいスキルを使った実験でもしてみようか。そう考えて、実験内容を脳内で議論していると、思ったより時間が経過していたようだ。フラスコから蒸気が溢れ出し中身が沸騰していた。


 うお、凄い勢いで沸騰してんな。

 ちょい熱しすぎたかな。


 水分を多く含んでいるとは思っていたが、沸騰する姿はもはや完全に液体だ。

 液体が蒸発して、もっとねっとりした物体が残るものだと考えていたが、そうはならなかったらしい。

 色は変わらず透明。水が沸騰しているようにしか見えない。

 

 これじゃあ、完全に飲み物だな。

 まあ、飲んでみるか。

 

 フラスコに手を伸ばし口元へと運ぼうとする……が、フラスコが固定した場所から動かない。


 おい、ギャグかよ。

 あれか。位置を固定したから動かせないのか。

 固定時間5分はちょっと長すぎたかな。


 力任せにすれば動かすこともできそうだが、フラスコのほうが割れてしまいそうだ。

 効果の残り時間がどの程度かはわからないし、このまま効果が終了するのをじっと待つのもなんだか馬鹿らしい。

 物は試しと、フラスコに手を触れ、命令を中断しろと念じてみる。


 お、動かせる。

 案外、融通きくんだな。


 ステータスでMPを確認してみると、追加でMPが消費されることもなければ、事前に消費したMPが戻ってくることもなかった。

 余分に消費したMPが戻ってくることは初めから期待していなかったが、命令の中断は最悪スキル使用時と同じ量のMPを消費する可能性も危惧していたので、これは嬉しい結果だ。


 さて、それじゃ今度こそ……。


 疑問がまた一つ解消され、すっきりしたところで目の前の楽しみに戻る。

 無臭ではあるが、フラスコから湧き出る蒸気が、存在感を主張するように先ほどから俺の鼻孔を文字通りにくすぐっているのだ。もう我慢はできそうにない。

 重みを取り戻したフラスコを口に近づけていく。

 どんな味なのだろうか。期待に胸が膨らむ。


 いっただきまーす。


 俺はフラスコを傾け、中身を口に含む。

 

 あちちっ。

 ……こ、これは!?


 ただのお湯だった。

 

 鮮度良好。ミネラル成分もたっぷり。

 硬度は140くらいかな?

 って、そうじゃねえよ!!

 おい!! どうなってるんだよ!

 スライムゼリーのねばねばしていた成分は一体なんだっていうんだよ!!

 ありえないだろ……ありえないだろ……。

 なんということだ。

 くそー、やってくれる。


 悔しいが、いくらでも仮説は立てられてしまう。

 『スライムゼリーは熱すると水になる性質を持っています』、『スライムが魔力で水を一時的にゼリー状にしていたものがスライムゼリーです』とでも解説されたら、納得せざるを得ない。

 

 割り切るしかないか。

 スライムゼリーが水になるということを学習できただけでもよしとしよう。

 水が必要、でもインベントリにはスライムゼリーしかない!! そんなときには役に立つ知識だしな。

 俺にはコマンドというスキルもあるし、スライムゼリーを一瞬で水に変えることなど造作もない。


 あ、そうだよ。

 火を起こす必要なんてなかったじゃねえか。

 初めからスライムゼリーに直接コマンドで熱を持つように命令すればよかったな。

 抜けてるなー。

 まあ、過ぎたことはしょうがないか。

 このやりきれない気持ちはスライム狩りで発散するとしよう。

 

 俺はコマンドのスキル用に役に立てばと、石と木の枝を3つずつインベントリに収納し、スライム探しを始めた。

 


 

 うわー……うじゃうじゃいるな。

 

 道を外れて森を進むと、すぐにスライムに出会うことができた。

 視界に映るだけで4匹。地面を這っていたり、木の側面にへばりついている。

 大きさに若干の差が見受けられるが、俺の目には先ほど倒したものと同種に見える。


 んじゃ、やるかね。


 さくさく狩っていきたいところだ。

 一番近くにいるスライムを目標とし、俺は足を踏み進める。

 こちらの攻撃の間合いに入ったところで、サバイバルダガーを握りなおし、地面を這うスライムの核を狙って一突き。


 核の中心を貫かれたスライムがすぐに絶命する。


 しかし、そこで異変が生じた。

 周囲にいたスライムが一斉に俺から離れだしたのだ。

 

 ほほぉ。

 仲間に危険を知らせる手段は持ち合わせてるってことか。

 どうせなら逃げるんじゃなく、襲ってきてくれれば面白かったんだがな。


 同種のスライムとは思えないほど、機敏な動きで逃げるスライムを俺はすぐに追う。

 機敏といっても所詮はスライム。いくら必死に逃げようが、移動に適さないアメーバ状の肉体では俺の歩く速度より遅い。


 2匹目!!


 3匹目!!


 一匹を残して、あっという間にスライムが片付いていく。

 なにも難しいことはない。

 近づいてサバイバルダガーで突く。それだけだ。

 戦闘と呼べる行為なのかも怪しい。


 よし、追いついた。

 これでラスト!


 最後の1匹に向けてサバイバルダガーを低く構える。

 それとほぼ同じくして、スライムが大きく形を歪めた。


 なっ……!


 今までにない動きをしたスライムに、俺の武器を持つ手が止まる。

 瞬間、スライムが俺の上半身を目掛けて飛び掛かってきた。


 うお!? まじか!!


 想定外なスライムの攻撃。俺は咄嗟に半身を引くようにして、なんとか回避する。

 

 あぶねー。

 てっきり、一切攻撃してこないのかと思ってたぜ。


 俺は体を裏へと向け、背後に落下したスライムにサバイバルダガーを突きつける。

 スライムが動かなくなったのを確認し、胸を撫で下ろした。

 冷静に考えれば、そこまで脅威的な相手ではないのだが、それでもグロイ半固体の生命体が飛び掛かってくる迫力は、俺には経験のないものだったので圧倒されてしまった。

 せめて前もって展開を予想していれば、もっとうまく対処できたかもしれない。


 課題は山積みだな。


 スライム討伐の戦利品をインベントリに収納しながら、自分の戦闘を思い返し反省した。


 


 視界に映ったスライムを狩りつくしながら、さらに森を進んでいく。

 合計で20匹は狩っただろう。

 見かけるスライムは1~2匹。1匹ずつならば、こちらに気付かれることなく一方的に狩ることができるため、戦闘の練習にすらならない。

 そろそろ、ラフォリスの街へと向かおうかと考えていると、再びスライムの群れに遭遇した。

 数は6匹。最後ラストを飾るには丁度いい。

 

 うし、コマンドを使ってみるか。

 

 サバイバルダガーを左手に持ち替え、インベントリから石を一個実体化、代わりにそれを右手に握る。

 石の大きさは拳ほど。上手く当てられるなら、普通に投げてもスライムの核くらいなら潰すことはできる重量だ。

 俺は意識を集中させる。思い描くは、6匹のスライムの核を縫うような複雑な軌道。

 ゆっくりとはいえ対象は動いているので、それも計算に入れる必要がある。

 じっくりとスライムの動きを観察し、今まで倒してきたスライムの行動パターンと照らし合わせ軌道を描く。

 

 いける!!


「コマンド!」


 俺の手元から石が離れ、凄まじい勢いで石がスライムの中心、核を次々と撃ち抜いていく。

 仲間の死を察知してか、生き残っているスライムが逃げようとするが、俺の描いた軌道からは逃れられない。

 全てが俺のイメージした通りの展開だ。


 4,5……6!!


 6匹のスライムは例外なく全てが沈黙した。

 

 ……。

 石TUEEEE!!

 武器いらねえんじゃねえのこれ!

 やばっ。面白すぎるぞ!!

 

 笑いが込み上げてくる。

 オリジナルスキル『コマンド』の強さもそうだが、俺の思い描いた構図がその通りになったという達成感がとにかく気持ちいい。

 相手がスライムとはいえ、動く標的を自分の手のひらの上で踊らせたような感覚。

 堪らないな……。

 

 アイテムを回収し、俺はステータスを確認した。


 

 【ステータス】

 名前:萩原陸

 年齢:19

 性別:男


 レベル:3

 HP:180 / 180

 MP:60 / 150 


 

 いつの間にか、レベルも2上がっている。

 HPとMPもレベルに合わせて上昇しているようだ。

 インベントリにはスライムゼリーが25個。

 順調な滑り出しなのではないか。



 俺はラフォリスの街へと向かった。

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