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1.再スタート -移住生活1日目-

 気が付くと俺は見晴らしのいい草原に立っていた。

 目が覚めたという感覚ではなく、最初からそこに立っていたかのような不思議な感覚。

 意識ははっきりしているし、体もすこぶる調子がいい。

 とても寝起きとは思えない。


 ついにきたんだな……。

 ここが仮想世界――いや、俺にとっての新しい現実世界『アトフ』か。


 両の手でそれぞれ握りこぶしをつくってみるが身体に違和感はまったくない。

 頬をくすぐる爽やかな風、自然を意識させる新鮮な空気、心地よい太陽の陽射し。ここがアトフだと知らなければ、自分が今、仮想の肉体を動かしているなどと夢にも思わないだろう。


 よし、状況確認だ!!

 今の俺は自分のことがなにもわかっていないような状態だからな。


 事前に読んだマニュアルには、基本操作と簡単な注意書き程度しか書かれていなかった。それこそ、オンラインゲームなどで遊んだことのある人には当たり前というような用語の説明が大部分で、俺としては正直眠くなるような内容だった。

 しかし、俺はこれを不親切だとは思わない。自分で試行錯誤しながらアトフの世界を楽しめという、製作者の配慮だと判断している。

 右も左もわからない世界を手探りで踏み進めるというのも決して悪くはない。


 ……さて、まずは服装。

 俺も身なりには気を使うお年頃だ。ファッションは生きていくうえで重要な要素の一つであるといえる。

 俺は頭を下げて、自分の服装を確認した。

 布製でなんの飾り気もないブラウン一色の素朴なシャツと、それをやや暗くしたような真新しいズボン。あと変な靴。

 どれにしても、素人目にもわかるような粗い生地とずさんな縫合である。

 脱衣する際、普通に脱ぐよりも裂いたほうが早く脱衣できそうな雰囲気だ。

 古着屋に買取依頼を出せば、もれなく雑巾として扱われる運命を辿るであろうことが窺える。


 うーむ。これはさすがに……。

 いや、でも……。


 そもそも、お洒落とは究極的には、こだわりや自己顕示欲の具現化といえるのではないか。そう考えれば今の俺の服装は質素を極めたこだわりの塊。あながち悪くない気がしてくる。むしろ、素敵系では?

 服と布の境目にあるこの服装は、まさにぎりぎりのファッション。最先端のファッションと呼んで差し支えないはずだ。


 うん、ありだろ。ありあり。

 これはありだよ。

 防具としては少々頼りないようにも思えるが、それを補って余りある魅力だ。

 そういうことにしておこう。


 続いて、手持ちアイテムの確認。

 これには、俺の右手首に巻かれている特殊なアイテムの力を借りる必要がある。

 アトフにいる者は必ず全員持っているという、小さな白い宝石が中央に埋め込まれた皮製のバンド。『リストクリスタルバンド』とマニュアルに書かれていた代物だ。

 身分証明、アイテム・お金・装備の収納、ステータス確認、決済、挙句には離れた相手との通話機能まで搭載、なんでもござれの超高性能な不思議アイテム。

 さっそく、リストクリスタルバンドを意識して、メニューを開きたいと念じてみる。



 萩原 陸   中立国ニルシャ領 ラフォリスの街近郊 ラフォリス草原南 

 302/06/10 11:05

 【ステータス】

 【インベントリ】

 【装備品】

 【スキル】

 【通話】

 【簡易マニュアル】



 すげー!! なんだこれ!


 半透明なスクリーンのようなものが俺の視線を中心として現れた。

 簡易マニュアルと念じれば簡易マニュアルが表示され、前の画面に戻れと念じればその通りになる。

 試しに指で触れてみると、それでも反応する。

 タッチパネル対応にはびっくりだが、念じるだけで思ったとおりに動くという恐るべきユーザインターフェースには驚愕を隠し切れない。

 つい面白くなって、メニューウィンドウを表示させては消してを繰り返してしまう。


 なにこれ、まじ面白いじゃないですかー。

 ――っと、いかんいかん。


 どうせこの先、嫌でもこいつと付き合っていくことになる。

 今は状況確認を優先しなければ。


 アイテムの確認は……インベントリだな。


 今度はインベントリと念じる。



 【インベントリ】(重量:2 / 30)ページ 1 / 1

 金貨 100枚

 【消耗品】

 ・最下級体力回復薬 5

 ・最下級魔力回復薬 5

 【装備品】

 ・サバイバルダガー (耐久度:100 / 100)

 【貴重品・お気に入り】

 ・ワールドマップ

 【素材・その他】

 なし

 


 なるほど。

 こんな風に表示されるのか。


 武器はサバイバルダガーというやつだろう。

 野生を感じさせる名前が最高にクールだ。


 攻撃力などの数値はないのかな?



 【武器】

 サバイバルダガー:銅製の武器。初期装備として与えられたもの。

 質:F【級】  重さ:0.4【kg】  耐久度:100 / 100  分類:ダガー



 うお!!

 アイテム一つ一つの詳細も出せるのか。


 F級っていうのが、この武器の性能を表しているのだろう。

 初期装備というくらいだから性能は最低なはず。

 ということは、F級が一番下で、一番上はS級とかA級とか呼ぶに違いない。俺の直感がそう告げている。

 攻撃力など具体的な数値はないが、それがかえってリアリティを増すというもの。悪くない。


 重さの単位はグラムか。

 わかりやすいな。


 国際単位系と接頭辞をそのまま使用しているようである。

 ここに住んでいる者は地球人なので、変にファンタジーな記号や単位を使うこともないのかもしれない。

 原理は知らないが、言語だって共通化されているらしいし、改めて新しい単語を使っていくメリットは少ないはずだ。


 色々とインベントリをいじってみたところで、武器を実際に出してみることにした。

 方法は簡単、念じるだけ。

 ご年配の方にも安心の親切設計だ。


「いでよ、サバイバルダガー!!」


 瞬間、インベントリ内の装備品カテゴリからサバイバルダガーの文字が消え、同時に俺の手元に実物としてそれが現れる。


 それっぽいことを声に出してみたが、ちょっとした雰囲気作りというやつだ。

 俺にはわかる。この世界に来た男の3割は俺と同じようなことをしているね。

 だって、男の子だもん。


 ……そんなことはいい。

 それよりサバイバルダガーだ。


 しっかりとした重みが手に馴染む。全体的に黒っぽいデザインで、刀身は少し長めで20センチメートルほどだろう。

 ナイフの類は何度も手にしたことはあるが、はっきりと武器だと認識して手にするとまた違ったものに思えてくる。


 あー、早く戦いたいなぁ。


 これを持って、モンスターと戦うことを考えるとわくわくがとまらない。

 ふと気付けば、サバイバルダガーを逆手に持って構えている自分がいた。


 ――あわわ、これはやばいぞ。


 とっくに卒業したはずの中二心をくすぐるものがある。

 全てはダガーという響きがいけないのだ。

 俺にこんなカッコイイポーズをとらせるとは……。


 うしっ! さっさと戦闘するためにも、状況確認を急がないとな。


 インベントリに収納されていたのはサバイバルダガーだけではない。他のアイテムのことも知っておくべきだ。

 気を取り直し、実体化しているサバイバルダガーに対して回収と念じる。間を置かず、手に持っていたサバイバルダガーが消滅しインベントリへと収納された。

 所持品の実体化同様、インベントリへの回収も念じるだけだ。なにも難しいことはない。



 同じ手順を繰り返し、一通りインベントリ内のアイテムを調べてみた。


 まず、回復薬を実体化してみたが、いかにもって感じのフラスコに入った液体だった。

 最下級体力回復薬は赤色の液体、 最下級魔力回復薬は青い液体。

 なんかもう想像通りだとしかいえない。

 効果を実感してみたいが、俺が健康体である以上、使っても意味はないはずだ。


 ワールドマップに関しては、俺の現在位置とラフォリスとかいう街を結ぶような線があるだけで、他は全て真っ黒。移住してすぐに迷わないようにという配慮で最初に行くべき街の場所はわかるようにされているようだが、基本的には自分の行ったことある部分だけが埋まっていくタイプのワールドマップだと予想される。


 インベントリ内のアイテムについてはこんなもんか。

 次はステータスかな。

 比較対象もないので、正直見たところでなにもわからないだろうが、確認だけはしておくべきだ。

 ステータス表示と念じる。



 【ステータス】

 名前:萩原陸

 年齢:19

 性別:男


 レベル:1

 HP:120 / 120

 MP:100 / 100



 なんとまぁ……。


 随分と簡潔なステータス画面だった。

 もっと筋力やら、知性、敏捷だとか、細かいステータスがずらっと出てくると思っていた。

 HPとMPの他に、明示される戦闘系のステータスはないということだろうか。

 常識的に考えて、筋力や器用さといった身体的特徴が存在しないということはありえないはずだ。

 

 ……とはいっても、それも当たり前か。

 よく考えれば、俺が知っているゲームのようなステータス画面がおかしいんだよな。

 筋力が1上がったとして、どこの筋肉が発達したんだよって話になるもんな。

 

 HPなら0になれば死ぬわけだし、MPなら体内に実際存在する魔力的ななにかなわけだから、数値を明示化するのも可能だろう。

 だが、器用さや敏捷性など、俺の予想していたステータスは表現が抽象的すぎる。

 筋力にしたって、『上腕二頭筋の○○:12』などと細かくステータス画面に表示されたところでギャグにしかならない。

 器用さ、敏捷性も同様に一まとめにできるものではないし、具体的に表示するには少々無理がありそうだ。

 そう考えれば、このステータス画面にも頷ける。

 強引な推測かもしれないが、間違っていたからといってどうということはないし、レベル、HP、MP以外の数値がステータスに明記されていないことには変わりない。

 武器の性能に明確な数値がないことと同様、リアリティがあって俺としては嬉しい誤算なのでなにも問題はない。


 次は装備品だ。



 【装備品】

 武器:なし

 防具1:布のシャツ (耐久度:100 / 100)

 防具2:布のズボン (耐久度:100 / 100)

 防具3:皮のシューズ (耐久度:60 / 100)


 

 うん。

 想定の範囲内だな。

 でも、なんで靴の耐久度だけ40%OFFなんだろう。

 全然お買い得感がないんですけど。


 武器の項目が『なし』になっているが、インベントリに収納しているサバイバルダガーが装備品に表示されないことは当たり前だ。

 実体化して実際に装備しているものだけが装備品として表示されるのだろう。

 他に気になる点も見つからないので装備品に関してはこんなものか。

 

 次、通話機能。


 『登録されている相手がいないため現在使用できません』


 ですよねー。 



 簡易マニュアルについては、俺がこの世界にくる前に見たものと同じだったことを、メニュー画面を初めて開いたときに確認したので省略していいだろう。


 なので、次が最後だ。

 これが一番の楽しみである。


 俺はスキルと念じた。


 

 【スキル】

 【オリジナルスキル】

 ・コマンド:アイテム

 【修得スキル】0 / 5

 ・なし



 お……これっぽいな。

 スキルの名前は……コマンドアイテム? よくわからんな。


 スキルの一覧からオリジナルスキルに分類されているそれを見つけた。

 オリジナルスキルとは、必ず全員が最初から覚えている固有の特殊スキルだと、マニュアルに教えてもらった。

 同じオリジナルスキルは存在せず、他の誰かがあとから別口で覚えることもできない、正真正銘の自分だけのスキルだという話だ。

 マニュアルには、強力だが地味なものが多いので期待するなということを遠まわしに記されていたが、自分だけのスキルと聞いて期待するなというほうが無理な話だ。


 さっそく俺は詳細表示を念じる。



 【オリジナルスキル】

 コマンド:アイテム : 所有しているアイテムに命令を与え実行させる。


  

 うーむ。

 どうなんだこれは……。


 説明の意味は理解できるが、どんなことができるのかがわからない。

 なんとなく夢が詰まっている気もするが、実は使い勝手が非常に悪いということも考えられる能力だ。

 検証してみないことにはリアクションもとれない。

 とりあえず、その辺に落ちている石を拾ってスキルの使用を試みる。


 コマンド!!


 しかし、なにも起きない。


「コマンド」


 なにも起きない。

 

「コマンドアイテム」


 なにも起きない。


「コマンドアイテム。1メートル前方に飛べ」


 やっぱりなにも起きない。

 なんだか、むなしくなってきた。虚無感が半端ない。

 周辺に人影がいないからいいようなものの、傍から見れば石と会話する頭のぶっどんだ青年である。映画化すれば、”ある意味”涙なしでは語れない物語になるかもしれないが、それはご遠慮願いたいものだ。


 まいったな。

 スキルの使い方なんてマニュアルになかったぞ。

 そんな複雑な手順が必要とは思えないんだが……。


 スキルの発動方法自体が間違っているのか、はたまたMPやらなんらかの条件を満たしていないのか。エラーメッセージの一つでも表示されてくれればわかりやすいのだが、ないものに縋っても仕方がない。

 俺はスキルの説明をもう一度見てみることにする。



 【オリジナルスキル】

 コマンド:アイテム : 所有しているアイテムに命令を与え実行させる。



 ……ふーむ。

 もしかすると、『所有しているアイテム』というのが問題なのかもしれないな。

 石がアイテムとして認識されていない可能性もあるが、手に持っただけでは俺の所有物とみなされない可能性が高いとみたぞ。


 それなら……。


 俺はリストクリスタルバンドを巻いた右手に石を持ち替え、インベントリへの収納を念じてみる。

 すると、淡い光とともに右手から石がなくなった。

 俺はインベントリに収納されたであろう石を意識し、メニューを呼び出す。



 【素材・その他】

 小石: ラフォリス草原南で拾った小石。

 質:F【級】  重さ:3【g】  耐久度:63 / 100  分類:その他


 

 石だけをダイレクトにメニューに表示させられたことは意外だったが、インベントリへの収納に成功したことは確認できた。装備品の回収同様に念じるだけの簡単操作でできるらしい。

 さっそくインベントリに収納した石を、再び実体化させる。

 絵面だけ見れば状況はなにも変わっていないように見えるが、実際には、フィールドに落ちている石を手にしたかということと、インベントリにあった石を実体化して手にしたかということの違いがある。

 自分のインベントリから取り出したものならば、『所有しているアイテム』として扱うことができるのではないかと俺は考えたわけだ。

 石を手のひらに乗せ、再度スキルの使用を試みる。


「コマンドアイテム。1メートル前方に飛べ」


 ひゅんと石が手のひらから前方に飛んだ。


 おお!! 凄いぞこれは!!


 スキルが上手く発動したことへの感動もあったが、それ以上にスキルの効果に感動を隠し切れない。

 俺のイメージ通りに、放物線の軌道を描き石が飛んでいったのだ。まるで俺のイメージをトレースしているかのような動きだった。

 案外、命令というのは心の内でイメージするだけで成立するのかもしれない。


 地面に落ちた石を拾いなおし、再度スキルを使用する。

 イメージするのは粉々に砕け散る石の姿。


「コマンド」


 俺の手のひらの上で、石がなにかに潰されるように突然砕けた。石の内部に火薬でも入っていたのではと疑いたくなるような現象だ。


 すっげええ!!

 このオリジナルスキルは、ひょっとすると結構当たりなんじゃないか?


 期待しすぎると、後に失望があった際辛くなるのはわかっていても、抑えられないほどの驚きと感動がそこにあった。胸が躍る展開とはこういうことだろう。

 色々と面白いことができそうな俺好みのスキルだ。

 

 そういえばオリジナルスキルも当然スキルなんだから魔力を消費してるのかな?


 ステータスを見てみる。

 


 【ステータス】

 名前:萩原陸

 年齢:19

 性別:男


 レベル:1

 HP:120 / 120

 MP:67 / 100



 許容範囲内だが、結構減ってるな。

 2回使ったから1回あたり16.5か? 半端な数字だな。

 いや、命令した内容で消費MPが変わるってことかもしれないぞ。

 試してみるか。


 俺は手ごろな石を使った実験を行うことにした。

 先ほどの石は砕け散ってしまったため、新しい石をそこらへんから拾い上げインベントリに収納する。そして、すぐに実体化。

 これでこの石は俺の所有物として扱われる。


 あとは、スキルを使うだけだな。

 今回は試験的にがっつりとMPが消費しそうな命令をしてみるか。


 思い描くのは、5メートルほど真上に飛んだ石が5秒間静止した後、溶けて地面へ流れるイメージ。

 我ながら無茶な注文に思えるが、どの程度のことができるかの実験も兼ねているのだから問題ないだろう。


「コマンド!」


 俺の詠唱を合図に石が高く飛び上がった。

 そして、石が空中でぴたっと静止する。


 さーて、どうなるかな。

 5,4,3,2,1……


 カウントが0になるのと同時に、宙に浮いている石が一瞬にして形を崩し、どろどろに溶けて地面へと落ちていく。

 熱量は持っていないようで、手を近づけても熱さを感じることはない。

 火傷の心配はなさそうだ。指先で溶けている表面に軽く触れてみると、じゃりじゃりとした冷たい感触が返ってきた。触れた表面は軽く凹んだまま戻らない。


 弾力性はないか。まるでビーズクッションだな。

 なんとも奇妙な現象だ……。

 確かに溶けてる。いや、溶けてんのか?

 溶けてるようにも見えるが……。


 ぎこちない。とてつもなく。

 通行人5人にこの現象がなにか答えて下さいと問えば、4人は『すりおろし』と答えるのではないだろうか。

 熱による融解とは違い、無理矢理スキルを使って溶かそうとしたわけだから仕方のないことなのかもしれないが。


 物体そのものの性質を変えることはできないってことかなー。

 そうなると、やっぱりこの現象は『融解』ではなく『すりおろし』ってことになるな……。


 しかし、そう考えたほうが自然かもしれない。

 融点に満たない温度で物体を融解させることは、物体の性質を変化させない限りありえないことだ。圧力の影響も考える必要はないだろう。

 溶けている石がほとんど熱を持っていないことは確認済みだし、このぎこちない溶け具合、もといすりおろされ具合がなにより強い説得力として俺にそう納得させる。


 性質を変えられたらさすがにチートすぎるしな。石とMPだけあれば最強装備とか作れちゃいそうだし。

 ――っあ、そういや肝心なMP消費についてまだ見てないじゃん。

 元々はMP消費量を調べるために始めた実験だったんだよな。

 

 俺はステータス画面を確認し、MPの消費量を確かめる。

 


 【ステータス】

 名前:萩原陸

 年齢:19

 性別:男


 レベル:1

 HP:120 / 120

 MP:4 / 100 


 

 一気に減ったな……。

 鉱物に対して溶けろなんて無茶な命令をしたからなー。


 しかし、これで確定である。

 命令する内容でMP消費量は変わるということだ。

 だからどうしたと言われれば、それまでの話だが、俺にとっては大きな進歩だ。

 少し複雑な命令をするだけでこのMP消費量だ。今はできなくてもMP最大量が増えればできるようになることだっていくつもあるだろう。

 今後レベルが上がるにつれ、MPが上昇してくれるのなら、スキル『コマンド:アイテム』の使い道の幅はどんどん広がると考えていい。


 実験はこんなところかな。

 MPもなくなったことだし、今はもういいだろ。

 このまま、最下級魔力回復薬を使用して実験を続けてもいいが、焦る必要もないからな。


 俺はモンスターとの戦闘を楽しみにしながら街へと向かうことを決めた。


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