75 虚道
長い道だ。ロードのようだ。反則的に長い。そんな感じの無限の道だ。
限界なんてない。そんな湧き上がる感情が俺を止めさせない。それでも無限のパワーを得たいけど本当のところは無限の力を持てれば苦労しないだろう。力強く進むことに力を籠めたい。反撃的な魔の手から仲間たちを守りたい。仲間の力は俺よりも上かもしれない。でも最強への道は一歩からだ。主人公になりたい。もうなってるかもしれない。でもまだ俺の力はそこまでじゃない。普通でいいのは普通の人が言うセリフ。異常なまでに自信を強化して最強への道を目指すのが俺の道だ。改造ぐらいしてもいいが。それもできないなら努力するしかない。魔物を倒す。倒し続ける。
長い道を進んでいる。進み続ける。マホが俺に呼び掛ける。
「当潜様はどうして……私なんかを仲間にしてくれたんですか?」
「なんだそれ……当たり前だろ」
「そうですよね……当潜様はそう答えると思ってました」
だがウキウキしてはいられない。それだけ迷宮は悪魔が住むと言われている。それだけ怖い場所だ。怖い場所にいるのだが、夢ぐらい語らせてほしい。でも夢を語っても夢が叶わないのは普通の人だ。俺は普通の人になりたくない。夢を叶えたい。
時間すらも忘却する目の前の魔物は俺たちを油断させない。虚空を瞬歩で駆け上がる。忍びの極意を知りたい。抜群の行動力で殲滅の狼煙を上げる。自嘲を知らない自負の欠如をしたくない。
メルマグストを蹴散らしたい。目の前のメルマグストを葬る。メルマグストはピンク色の幽霊のような戦闘魔物だ。でも何か特殊な槍のようなものを持っている。メルマグストがマグストロングを唱えた。腕力と敏捷が上がる。こいつらどんどん強くなっていくぞ。俺たちは敵を殲滅したい。剣をかまえて、敵に向ける。そのまま一気に駆け抜ける。
小刻みに斬りかかる。六連連続斬りを発動させた。ミヤが三ケ月斬りを放つ。マホがファイヤル・ボムを放つ。
組秋は大剣を大振りに放つ。でも無茶苦茶な振りでも何故か補正が働くのか敵に命中する。
冬十朗は音もなく刀を抜いて振り抜く。切っ先が敵を葬り去る。長い道に再び舞い戻る。攻略の手を緩めない。想起的な揺るがない現実を消さない。戻らない過去を消したりできない。忘れることはできるかもしれない。これでも俺は未来を生きていたい。
長い道を抜けた瞬間、仲間たちは消え失せていた。
「みんなどこいったんだ?」
俺は道を忘れてしまったのかもしれない。
世界を恐れて今を生きることを臆病に感じたのかもしれない。
みんなを忘れていない。だがいない。どこにいったんだ……みんな!!
仙道当潜は失った仲間たちを探していた。
だがとある部屋に案内された。
そこは黒塗りの部屋だった。
そこに顔の無い虚の人がいた。
「君は? どこから来たの~~~?? 僕と遊んでくれると嬉しいな~~~????? あっははははははっ!!!!!」
なんだこいつは明らかにやばそうな雰囲気を醸し出している。
仙道当潜は絶体絶命の境地に立たされていた。
狂喜の虚ろ人が当選に襲い掛かる。




