74
93階層までやってきた。ここからオーソドックスな暗い石造りの迷宮に戻っている。
出てくるモンスターも強いモンスターばかりでなく、ゴブリンのような雑魚モンスターがまた出現するようになった。
ただ知能が通常のゴブリンと絶対的な違いがあった。
あまりにも頭が良すぎる。
それだけ異常なまでの知能の高さを感じる。
例えるならば今までCPUの相手をしていたのにいきなり知性のある人間相手のキャラクターと戦っている対戦ゲームでいうとコンピュータだったのに中身これ人間だろと感じるほどにゴブリンたちの統率が取れている。
一斉に襲い掛かってくるし、弓矢とかで効果的に防御の弱いところを狙ってくる。
ゴブリンの強さが半端ない。肉体の強度は弱いのだがそれでも俺たちを凌駕する統率的な軍隊のようだ。
「ギャッギャッギャギャ!!」
「くそっなかなかやるなっ!?」
「当潜様!! ここはマホが蹴散らします!!」
「頼むマホやってくれ!!」
マホが高出力な魔弾の連弾を打ち出していく。
ゴブリンたちはそれをひょいひょいと躱すが躱しきれなくて当たって倒れていく。
ゴブリンたちの中でも凶悪的に強いアサシンがいる。
ゴブリンアサシンがミヤに襲い掛かる。ミヤは月光蝶のように光り輝くように優雅に舞いながら剣を振る。神光のアマテラスかと思った。いや姫神か、細身の剣レイピアを鞭のようにしならせてゴブリンアサシンの猛攻を防ぎつつゴブリンアサシンを鬩ぎあう。そして左肩を抉る様に切りあげる。
「ギャラガ!!!??」
ミヤはそのまま全体強化魔法を使用した。
「ムーンアップ!!」
動きのキレが一気に上昇する。そしてゴブリンアサシンを細切りにした。ゴブリンアサシンが消滅する。
いつの間にかみんなでゴブリンの群れを倒していた。
途中でまだ進んでいる途中でシャドウのような具象気体のような影が襲い掛かってきた。
「なんだこいつは……!?」
「気をつけろ仙道!! こいつは闇夜の影っていう妖魔でござる、心を乗っ取られたらお終いでござるよ」
冬十朗がまさかの助言をしてきた口数が少なくて寡黙な冬十朗がだ、それだけ危険な妖魔……魔物だろう。
俺は影を振り払うように剣を振るが振りきれない。
俺の心は暗黒に染まる。そして絶望のどん底に落ちていった。
俺は意識を失いそうになる。
倒れるな……意識を保て……もっとこいつを闇夜の影を追い出すように自分をしっかり持て……糞っ騙されるな俺……こいつらは幻だ!!
いつの間にか血だらけのヒロインたち……ミヤやマホやリルが俺に襲い掛かってきたのだ。
違う!! これは幻覚だ!! 俺に見せているのは闇夜の影だ!! 惑わされるな!! 俺っええええええ!!!
世界を騙せても俺は騙せないだろうと意気込んでいるが恐怖と絶望が降り注いでくる。
俺の動悸がかなり激しくなる。くそっが!!! 振り払ってみせるぞ!!!
だが急に俺の安心感というものが膨れ上がった。
ミヤとマホが俺に抱き着いてきた。
「当潜!! 戻ってきてくれ……頼むいつもの当潜に戻ってきてくれ!!」
「当潜様!! 私の勇者様……マホがあなたを癒します……だから元に戻って私の当潜様!」
リルも抱き着いてはいないが呼び掛けてきてくれる。
「当潜はそんなことでダメになる器じゃないよね!! 僕よりも強い勇者なんだから!」
冬十朗はじっとこちらを見ている。
まるで男なら黙っていつものようにふるまえと言われているようだ。
晴れていく……こんなどうでもいい影なんて最初からいなかったように。俺は普通に戻っていく。
「グギャアアアアアアアアアアアアア!?」
闇夜の影が俺の中から消滅する感触があった。どうやら光のパワーだろうか俺たちの努力によって影はいなくなったようだ。
みんなの力があれば俺は頑張れるんだ。だからもっとみんなの力を貸してほしいと俺は願った。
「ありがとうみんな……俺を正気に戻してくれて」
「当潜様! よかったです……」
「当潜いつも通りになってよかった」
「うむ……」
「当潜君はそんな影なんかに負けないよ!」
みんなの声援が励ましになった。さらに先を目指すことになった。




