67 悠然な美魂の槍姫
61階層は広大な平原が広がっていた。
ウルフ系のサバイバルウルフが突如群れを成して襲い掛かってきた。
その数50体ほど。
俺達はそいつらを捌くのに必死だった。
六連連続斬りを仕掛けて6体ほど倒す。
ミヤはスラッシュ・リグオール・ストライクを放ちまくりウルフを倒す。
マホはファイヤル・ラッシュで連続弾を放つ。
これにより、10体ほどのサバイバルウルフは消滅した。
リルは連続気弾を放ち、何体か倒した。
冬十朗は棘影斬を放ち、無数のサバイバルウルフを屠った。
そうして61階層は突破した。
62階層まで来た。
暗い通常のダンジョンに戻る。
だがフロアは若干だが広い。
そしてブラッドギルティーナイトが現れた。
黒赤い甲冑を纏い、罪の紋章が刻印されている。
「ここは拙者がやるでござる」
「冬十朗いけるか?」
「大丈夫なんですか……あいつかなりの魔力を持ってますよ」
マホが魔法使い特有の眼力で敵の魔力量を見抜く。
だが冬十朗はおくしない。
「大丈夫でござる……それに拙者の実力をさらにみんなに魅せないと拙者が悔しいのでござる」
「冬十朗さんは確かに強いけど……みんなでやったほうが良いと思うんだけどな~」
リルが助言する。
それでも冬十朗は一人でやると言う。
ならばもう任せるしかないと言う結論になった。
冬十朗が構える。
刀を持つ手に震えなどない。
それどころか凛とした気迫を持っている。
ブラッドギルティナイトは内心こいつはかなりできると感じていた。
ブラッドギルティナイトは臆病ではない。
彼は誇り高きアンデット族の最優秀モンスターだ。
生前は高名な騎士だった。
だが無念の死を迎えてアンデットになった。
それでも彼は兼武を怠らなかった。
そして最初はただのブラッドナイトだったが。
ブラッドギルティナイトになった。
そのランクはCランクだ。
これは通常の冒険者では1人で戦うのは困難だ。
上位冒険者でも特に同じCランクとかでも1人で戦うのは困難でもないが、かなりやっかいな相手だ。
それにブラッドギルティナイトは身体強化魔法を使用するし、魔法剣も使用してくる。
赤き血の薔薇棘などの特殊な薔薇を模した土魔法を使用する。
それはかなりの手馴れではないと討伐は難しいと言われる。
それだけブラッドギルティナイトは倒しにくいモンスターだ。
しかも奥の手がある。
大罪の血塗れ騎士形態と呼ばれる全身が真っ黒になる形態になることがある。
物凄い防御力になるようで力も途轍もないものになる。
それだけかなり厄介な相手なのだが、相手が悪かったようだ。
冬十朗は自身の刀に身を委ねた。
冬十朗は4本の刀を持っている。
1本目の刀。
妖刀【霊氷丸】。
驚くほど薄い刀身を持ち、霊的なほどの力を備えた氷の力を持つ妖刀だ。
この刀はトウニチコクの大業物の一つで。
世界に24本しか存在しない刀の一つである。
2本目の刀。
戦慄刀【轟篭紫円】。
物凄い重さを持つが、切れ味も凄まじい刀。
紫の刀身が怪しさを匂わす稀代の刀。
これは良業物と呼ばれる世界に44本しか存在しない刀の一つである。
3本目の刀。
魔重刀【極夜無我】
これも重たい刀でさらに魔の刻印もある。
魔人がうった刀は魔の刀となる。
そしてとてつもないほどの破壊力を誇る。
黒い刀身が全てを物語っている。
世界に12本しかない最上大業物の一つである。
4本目の刀。
神武刀【神灯雷】
神が降臨して打ったのではないかと言われている刀。
トウニチコクが制定した業物刀日伝によると世界には業物、良業物、大業物、最上大業物の制定があるが。
さらに最上大業物の上に極業物その上に究極神業物と呼ばれる物がる。
この刀はその究極神業物の一つ。
といっても究極神業物は世界に3本しかない。
神灯雷はそのうちの一つと言うわけだ。
この刀を手に入れた経緯は、神が作ったと呼ばれる迷宮に挑んだ時に、最深部で手に入れた物である。
冬十朗は極夜無我を抜いた。
そして一歩踏みこんだ。
縮地。
歩を縮める歩工法だ。
そして重みを含めた一撃をブラッドギルティナイトに叩きこんだ。
刹那、血塗られた罪の甲冑は塵と化した。
冬十朗にしては大したことのない敵だった。
が刀に妖かせられる冬十朗は刀を持ちて、当潜に対して刀を揮ってきた。
当潜はそれをなんなく受け止める。
当潜も達人級の実力を持つ冬十朗と何度も撃ち合っているうちに自身の実力も冬十朗と比較できるほどになっていた。
そして当潜は冬十朗の刀を落とす。
冬十朗ははっとした顔で我に返る。
「すまない……またでござるな……」
「仕方ないだろ……冬十朗も早く刀にあやかされないように気をつけろよ」
「すまないでござる」
そうして先を急いだ。
63階層、64階層と抜けて65階層はサキュバスとかいうとんでもなく強い敵が出てきたが、なんとかみんなで倒した。
66階層も抜けて、67階層もそこそこ手ごわかったが。
68階層も抜けた。
69階層はデカい蚊みたいな敵が出てきてマホが泣きそうにしていた。
そして70階層だ。
そこには槍を持った骸骨がいた。
服を着ている。
鎧のような赤い豪華な鎧だ。
そして話しかけてきた。
「我が名は槍姫メジューラ・フォン・アブソニーだ。元はリバスター王国の騎士だった。だが、悲運な最後を遂げてこの塔の番人を任されている。さあここを通りたければ私を倒してからにしろ!!」
俺が行くことにした。
ついでに破壊形態を試しておくか。
俺は破壊形態になった。
そして力が湧く。
手から剣が生える。
なんだこれ? 化け物みたいになっちまったぞ。
そして目の前の敵を倒したくなる。
破壊スル、ハカイシタイ、タオセテキヲ。
当潜は瞬に駆けた。
槍姫は槍で応対する。
それを力でねじ伏せる。
そのまま手剣で叩き切る。
そのまま蹴る、蹴る、蹴る殺そうとする。
アクロバティックな動きで手の剣を揮う。
顔に入った亀裂のようなタトゥーは当選を獣に狩りたてた。
そのまま手から生えた剣で滅多切りにした。
細切れになるぐらいに切り裂いた。
斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る壊す……破壊スル。
槍姫は見事だ……と言い消滅する。
槍姫の槍がドロップする。
当潜は破壊形態を解いた。
ふ~んなるほどこんな感じなのか……
これは強いけど厄介な代物だな。
と当潜は思った。
切り札みたいなものだと認識したのだ。




