63 過去の現想世界:未来の幻想世界
体から蠢きあう喰らいつける化け物が当潜の体から排出して世界を破壊する。
呪暗の黙示録は幻想を食い殺し、破裂し安堵する魂を壊すもの。
時間をすら制御して目的無く誑かす魔悪な物。
魔悪は世界を覆い尽くす。悪逆非道を尽くし、怨悪なる物業を被虐する限悪を使役した。
当潜は魔悪を撃ち滅ぼそうと自分の魂を分けた剣を揮い、魔悪を撃滅した。
地平の荒野を何もないからこそ美しい蒲公英すら無い無機質な平地をただ一人立ち尽くす当潜。
7歳のころ神社の境内に行くと一人の同い年くらいの少女にいつも会っていた。彼女はいつも黒百合の花と桜色の花が籠められた優雅な着物を羽織り、下駄を履き、白百合の花飾りを頭につけていた。
当潜は少女といつもケンケンパしたりかくれんぼしたり、じゃんけんをしたり、花札で遊んだり、将棋をしたりして遊んでいた。
少女は同い年とは思えないほど優美な表情で当選に微笑みかけてきた。少女はふいに当潜にこう言ってきた。
「当潜君、私と毎日遊んでくれてありがとう。いつもありがとうね」
少年は幻想的な美しい花の香りを思わせる少女の物言いにただ受け応えするしかなかった。
「魔萌は俺と一緒で楽しいのか?」
少女は嫌な顔一つせずに普通にこう言った。
「当潜君とならいつまでも遊べるよ」
麗らかな時間が流れる中、静止した全ての幻想を凌駕する数多の時間を経験するかのように時間が過ぎていった。
半年というこの年頃の少年少女の中では何時までも長いようで短い一瞬の時間が狭間に思い出として流れていく。
消費していく社会の破壊と再生が続いていく人類の歴史を圧縮していくこの世界を神は
どう思うのか?
書きなぐったノートの落書きの端っこに一かけらの油菜の花。
花と造形の曲を旋律と共に、流していく、交差点は人の雑踏から解放された木の精霊が飛び交う。
少女と少年の世界は昔話より楽しい。一種の物語のようだ。
当潜は少女と作り話をする。
当潜がモンスターと戦い、敵をばったばったと倒す。そして魔萌が魔法使いで当選と一緒にモンスターが出てくるファンタジーな世界で冒険する。
迷宮に潜り、一緒に敵を倒して強くなっていく。そして最後には強大な悪と戦い勝利する。
そんな話をしていた。
当潜は実際に山に入り、魔萌と一緒に冒険ごっこをしていた。
架空の敵と戦いながら楽しみそんな遊びだ。
ノートに落書きをいっぱいしたりした。
倒す相手とか魔法の種類とかその世界はどんなとか考えた。
魔萌は微笑みながら毎日一緒に当潜と遊んだ。
ある日魔萌はこう切り出した。
「当潜君。私ねもう暫くしたら会えないの、というかもうここには来れないと思うの」
「なんでだよ! どういうことなんだ?」
「言えない。私はもういなくなるとだけしか」
「いなくなる? それって引っ越すとかそういう意味か?」
魔萌は少し俯いて、顔を暗いものにして涙を流してこう言った。
「もう私の体は…………時間が無いのもう」
静寂の歌が流れるように、滝が水を止めるように、凍った時間が当潜の中で流れた。
当潜は頭がそのまま空から落下して地面に打ちつけられたかのように破滅の感情が渦巻いていた。
「俺がお前の敵を倒してやる」
何でこんなことをいったのか意味が分からない。
「ありがとう当潜君」
それだけ言って、遊んで帰った。
次の日、彼女は来なかった。次の日も次の日も彼女は来なかった。
当潜は叫ぶ。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
暫くして魔萌の母親から連絡が来た。
葬儀をやるので、来て貰えませんかと。
当潜は彼女がこの世からいなくなったことなんて信じなかった。そんなのウソだ俺を騙そうとしている。世界が俺を嵌めようとしている。
当潜は世界を否定した。彼女がいなくなった世界を否定した。
ある日彼女は死んだんじゃない、別の世界に旅立っただけだと考えるようになった。
その世界で彼女は生きているそう信じた。
当潜は夢の幻想世界を見た。魔萌と一緒に旅をしている。いつまでもいつまでも旅をしている。
大人になっていく自分たちは旅の中で一緒になって、大人になっていく。
乗り越える壁は何度もあり、一緒に乗り越えていく。
世界が破壊されていくなか、二人で……いや他にも何人かの少女が当潜と一緒に世界を壊す何者かと戦っている。
神すらも破壊された世界で当潜はその破壊する存在を相手に全てを賭けて戦った。
瞬間、世界の転換が起きた。
幻想世界は何を望んでいるのだろうか。世界の海に沈む意識を取り込んで、眠るものたちを解き放つ存在を待っている。




