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今俺たちは試練の塔の最上階にまで到達した。
そこで俺たちが目にしたものは老人と少女が殴り合いをしていた。
そうまさに殴り合いである。拳と拳が空を舞い腕でガードしている。
そんな拳闘が繰り広られていた。
俺たちはそれをじっくり見ていた。そして三分ぐらいしたら決着がついた。
勝者は老人だった。
「痛て……やっぱりじいちゃんには敵わないな……あれお客さん?」
「うむそうだな先ほどから見えていたが……お主ら何用じゃ?」
「ええと俺たちはですね武術や剣術の達人の老人を探していましてね、あなたがそうなんですよね?」
「まあ確かに儂は武術や剣術の達人と言ってもいいかもしれないが……それで何用じゃ?」
「それはもちろん稽古を付けて欲しくてつまり強くなりたいんです!」
「ふむなるほど……だが断る!」
「ええ……何でですか?」
「儂は弟子を取らない主義でな」
「ええでもその人は?」
「儂の孫じゃ」
「そうなんですかでもそれでも諦めきれません!」
「そうじゃなそれじゃあ少しだけ相手をしてやるが……それで見込みが有ると判断したら稽古を付けてやろう」
「ありがとうございます!」
「それではお主は剣術だな……剣を家に取り忘れたから取って来るわい」
そう言って老人が飛び降りたこの試練の塔から。
ええー!ここ百階だぞいくらなんでも無茶な。
壁を伝って走っている!?流石達人と言ったところか。
そうして三十分ぐらいしたら戻ってきた。
もちろん壁を伝って登ってきたのだ。
そうして俺と剣の試合をすることになった。
ルールは剣通しの戦いで先に寸止めで相手の体に傷をつけられそうになったらお終いとなった。
マホがそれって危なくないですかと心配してたけど達人はちゃんと寸止めするから心配しないでと言っていた。俺ももちろん寸止めするが万が一でもなんとかなるよと達人は言ってた。なんとかするってどういうことだろう?
そんなことは置いといて試合が始まる。
俺はまず間合いを取る。そしてそのまま様子を見る。
達人は動かず。間合いを取って様子を見ている俺と同じく。
これは攻めに転じるべきか。そう考えたので俺は動いた。
まず右側から斬りつけるように動いた。
達人から見たら左側だ。
そうして思いっきり振りかぶって斬りつける直前で寸止めする。
しかし剣で防がれた。なんだと確かに寸止めしたはず。
「どうしたのかね……まだ儂はやれるぞ」
くっならば今度は真ん中を。
また防がれた。ならば俺の得意技六連連続斬りでどうだ。
喰らえ!しかし全て防がれる。どういうことだ!?
「太刀筋が乱暴じゃのうこれでは簡単に防げるわい」
一閃斬りならどうだ?しかしまたしても防がれる。
「そろそろ儂からいかせて貰うぞ……」
来る……凄い威圧感を感じる……
前方からゆっくりと近づくように見え実際は速い速度で達人は斬りかかってきた。
なんとか防いだ。しかし爺さんにしては力が強い。
そしてまた離れる達人。そこから二段斬りの構えを取った。
全てなんとか受け止める。全てギリギリだ。
こんなに鋭い太刀筋が有ったなんて。世界は広い。
「ほお~これを受け止めるとは……ならばこれでどうだ!」
フェイント交じりの剣の往来が飛んできた。
俺はこれでもかと噛り付くがついに剣を吹き飛ばされてしまう。
「ここまでじゃな……」
「………………」
俺は負けた。こんな爺さんにだ。まさか負けるとは思わなかったのだがそんな考えは甘かったのだ。
ここまでかと俺は思った。だがここで思わぬ返事が来る。
「では稽古を付けてやるとするか」
「へっ……」
「どうした早く下りてこんかいここでは飯の調達もできんじゃろ」
「ありがとうございます!」
そうして俺たちは達人の家へとやって来た。そして稽古を村の外れの空き地でつけてもらうことになった。
木製の剣を使っての試合が主にだ。他にも走り込みとかマラソンとか滝に打たれる為に山に登らされた。
道中モンスターが出るので狩って進んだ。
そして長時間山のモンスターに苦戦しながら滝の前に来た。
滝に打たれるのは基本的な修行らしい。
精神力を鍛えるもので良い修行になるらしい。
なのでミヤとマホも打たれていた。
さらにその後剣の修行をさせられることに。
剣で大岩を割って見ろと達人が言う。そんなの無理だと言うがならば儂がやってみるぞと達人。
すると見事に割れた。俺は大いに驚いたが達人なのだからこれぐらい出来て当たり前か。
このまま俺は剣で大岩を叩き割る修行を開始した。
まずは心眼で気を見るらしく大岩にも物体にも気のようなものが流れていてその急所を狙えばどんなものでも割ることができるらしい。
なので俺は心眼を鍛えろと言われた。一日中大岩と睨めっこして十八日目ついに俺は見切った。大岩にひびを入れることに成功した。
しかしまだひびである。だからまだ頑張らないといけない。
俺の修行はまだ始まったばかりだ。




