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【第一話】僕、燃え上がっちゃいました♥



恋愛メインの作品ですが、心の病気についても触れています。

BLですので苦手な方はご遠慮ください。




 『寺田京介』は、特別かっこいいわけでもない。

何なら僕の方が全然可愛い顔してるし。僕の方がモテるし。だからと言って決して不細工なわけじゃないけど。まぁ、中の上と言ったところかな。



 いつも一人で遠くを見つめたまま、ボーっとしているようなヤツだし。誰かと話してるところなんて見た事もない。



 でも。この僕『立川優太』は、この『寺田京介』の事が気になって気になって仕方がないんだ。



 きっかけは、すごく些細な事だった。

授業中に、突然もの凄い雨が降り出した事があったんだけど。僕を含め、みんな窓の外を見ながら「傘持って来てないのに〜」などとぼやいてた。

 それなのに、寺田くんだけは誰に何を言われたわけでもないのに、廊下の窓を閉めに行ったの。



 そんな寺田くんに気づいた人なんていたのかな?

 もしかしたら、僕だけかもしれない。

 たったそれだけの事。 本当にそれだけ。



 こんな些細な事なのに、この時僕の心の中で何かが弾けちゃったんだ。

 それからというもの、僕は寺田くんの事が気になって気になって仕方なくて困ってる。

 僕の目は、ついつい寺田くんの事を追ってしまうし。寺田くんが席にいない時はキョロキョロと探してしまうの。



 僕はどうしちゃったんだろう?

 確かに小さくて女の子みたいってよく言われちゃうけど、僕は別にホモと言うわけじゃないし。

 今まで恋なんてした事ないけど、ちゃんと女の子が大好きなのに…。



 寺田くんは、いつも空を見ながら何を考えているのか知りたい。

 寺田くんの頭の中を覗いて見たい。

 寺田くんの心の中が知りたい。

 好きな食べ物も、好きな音楽も、全て知りたい。

 てゆーか。京介って呼びたい。



 そんな風に思うようになってしまったんだから、自分でも驚いてる。

 寺田くんの事を知る為の第一歩は何かな?って色々考えたけど、やっぱり友達になるのが一番だよね。 簡単だよ。



「寺田くん!」


「?」


「おはよ。」



 …行ってしまった。てゆーか、思いっきり無視されちゃったけど。

 まず話してもらえない事には友達になれないし…

う〜ん。困ったなぁ。



 気になる人がいれば、誰もがその人の事を知りたいと思うであろう。優太も京介の事を知りたくて仕方がなかった。しかも、かなり深いところまで踏み込んで知りたかった。

 そして自然と京介をつけ回すようになり、そんな生活は気づけば一ヶ月も経っていたのであった。



 ここ一ヶ月『寺田京介ウォッチング』をして気づいた事がいくつかある。



 運動神経がとても良いという事

サッカーしてる時とか、サイッコーにかっこいい!

 

 勉強も普通に出来るという事

僕が頭悪いから、だいたいの人は僕より頭良いんだけどね(笑)


 部活はしておらず、昼食は学食で親子丼をよく食べているという事

因みに僕はパン派。特に甘いの!


 バスと電車で通学していて、降りる駅は優太と同じである事

家は小さなアパートだったよ。部屋は103号室。カーテンしてないから中がよく見えて僕は嬉しいんだけど、それって他の人にも見えてるって事だから教えてあげた方がいいよね?



 優太はここ数日間、家具の位置もバッチリ入るくらい、京介の部屋を覗きに行っていたのであった。



 最寄駅が同じだなんて、僕びっくりしちゃった。中学校は一緒じゃなかったから引っ越して来たのかもしれないねぇ。

 てゆーか。一ヶ月調べてこの収穫量…。うん。なかなか上出来だよ。



 しかし、喜びも束の間。

ただ見ているだけでは、当然だがそれ以上の情報は得られなかったのだった。



 う〜ん。困ったなぁ…。仲良くなれれば、それが一番いいんだけどな〜。

 寺田くんに話しかけた時、思いっきり無視されちゃったしね。

 距離を近づけようと思って、常に近くにいるようにはしてるんだけど。しつこくして嫌われちゃったら、僕きっと泣いちゃうしなぁ。



 そんなある日の事だ。完全に行き詰まっていた優太に、最大のチャンスが巡って来たのである。

 授業内容は、二人一組でのレポート作成だった。しかも、二時間もだ。



 やったぁ! 神様はきっと、僕の事応援してくれてるんだね! 神様ありがと〜。僕、頑張るから!



 優太は勇気を振り絞って京介の机の前に立つと、ほぼ勢いだけで話しかけた。

 「一緒に組もう」と言う誘いに、京介は何も言わなかった。が、優太が座りやすいように机をずらしてくれたのである。



 寺田くんの態度は冷たいけど、一緒に組む事が出来た。これは友達への第一歩だよね。

 しかも、やっぱり寺田くんは優しくて良い人だって確信したし。

 もっともっと寺田くんの事を知るチャンスだぞ!



「寺田くんは調べるのとまとめるのと、どっちがいい?」


「…どっちでも」


「じゃあ、寺田くん調べて!僕、まとめるから。 

 あ!でも、僕頭悪いから寺田くんもまとめるの手伝ってくれる?」



 めっちゃ愛想悪かったな。ため息吐かれちゃったし。でも、ここで挫けちゃダメだ。

 この時間は、わざわざ神様が与えてくれた大切な時間なんだ!普通を装って色々聞いちゃえっ!



 しかし。いざ色々聞こうと思うと優太は変に緊張してしまい、何も聞く事が出来なかった。

 どうしたらいいのかわからず、一人でもじもじしている内に、一時間はあっという間に過ぎて行ったのである。



 僕のバカっ! 意気地なしっ!

 よし……こうなったら腹を括れ、優太っ!!



 意を決して席に着くと、これまた勢いだけで口を開いたのだった。



「ねぇ寺田くん? 僕と友達になってよ!」


「そういうの、マジうざい。」



 撃沈……「うざい」とまで言われちゃったし。ちょっと凹むな。

 だけど僕は諦めない。絶対に諦めない。諦めてたまるもんか。

 こうなったら嫌われついでに、どんどん攻め込んでやる! 覚悟してよ! 京介っ♥



 優太は京介の心ない一言で挫けるどころか、一気に燃え上がってしまったのだった。

 京介からすれば何とも迷惑な話であるが、この日から優太は、更に京介に付きまとうようになっていったのである。



 こうして、ここから一つの『恋の物語』が幕を開けたのだった。



 



【第ニ話】へつづく




 


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