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第19話「ジーマ・アレクサンドライト」

「では、リューヤ・アルデベータのその発言の後、あの女は忽然と姿を現した・・・・・・・そう言うのだな?」

ジーマ・アレクサンドライトは、ビルヘルミナの報告を受けて動揺を隠せなかった。

「水無月 小夜子の証言によればそういう事になります。しかし、その状況も戦闘状況も正確な情報かは自信がないそうです。心身ともに相当まいった状態であったのは間違いなく、自分が正確な状況をハッキリ確認出来る状態ではなかったと自覚しています。」

「分った・・・・・・・・下がっていい」

「ハ!」

ビルヘルミナが退出した後、ジーマは椅子に座り、これからどうすべきか考えた。まだ、結果は出ていないが、あの女はリーン・サンドライトに似ていた。いや、似すぎていた。

 死者の復活・・・・・・・

 そんな事が本当におこりうるのだろうか?もし、それが事実ならば、リューヤ・アルデベータとは何なのか?

 神・・・・・・・・・

 そんな事はありえない。どこかにトリックがあるはずだ。もし、神がいて、死者が復活出来るとしてそれが許されているならば、この世に死など最初からないはずだ。そもそも、リューヤ・アルデベータが神、神に順ずる者だとするならば、そもそも何故、リーン・サンドライトを死なせた?何故、その場で救わない?リューヤ・アルデベータはリーン・サンドライトの死で、一時廃人同然の暮らしをしていたという・・・・・・・・それならば、リューヤ・アルデベータはリーン・サンドライトが復活する事を知らなかったという事になる。そのくせ、リューヤ・アルデベータにしか意味の無いリーン・サンドライトの復活を行った。当然、この事実は伏せられる。リューヤ・アルデベータは軍人なのだ。民間の宗教家とは違う。死者の復活など一般に知られても、困る。それも悪魔に憑かれていたとはいえ、重犯罪者であり、リューヤの近しい人物である。・・・・・・・・全て、演技か?・・・・・・・全てを見通していながら、まるで知らない振りをする、させる。いや、リューヤの表層的人格は本当に知らないのだろう。試されているのは我々か・・・・・・・

 いや、死者の復活を行えるのが、何故神だと言える?もし、あの女がリーン・サンドライトだとしても、我々の敵か味方は死者の復活を行える技術がある・・・・・・・分るのはそれだけだ。それが神であるか悪魔であるか、それともイカレタエイリアンなのか地底人なのか、少なくとも今の我々にその技術が無い、それだけだ。まあ、地底人はさすがにいないだろうが・・・・・・・

 そもそも、我々・・・・いや「悪魔」と今便宜的に呼んでいる存在すら、リューヤ・アルデベータという人物の演出に利用されているのではないのか?実際、「悪魔」は、悉くリューヤ・アルデベータに負けている。そもそも、当たる予知を次々出していた連中が何故、リューヤ・アルデベータとリーン・サンドライトに関する予知だけを外したのだ。演出にせよ何にせよ、彼らが何かをやらされてるのは間違いない・・・・・・・・それが何なのか知るには情報が少なすぎる。アルネシアは恐らく壊滅する。我々にとって有益かどうか判断する・・・・・・・それが政治家としての役目だ。そして、邪魔なら・・・・・・・・しかし、殺しても復活するのだろう・・・・・・・・・彼らはそういう存在になってしまった・・・・・・唯一の救いはリューヤ・アルデベータがまるで子供のように自分の感情で動く存在であるという事、自分の力を自覚していないという事だ。

 この問題は、私には荷が重過ぎる。他に判断出来る人間がいるならば、そいつにやらせればいい。そいつが、リューヤ・アルデベータの敵なら、彼が何者か、引き出すかもしれない。リューヤが消える事になっても、それはそれでいい。自分が依頼したとはいえ、どこかに息子を殺されたという思いがあるのは事実だ。

 形としては、リューヤ・アルデベータが望めば支援する。そういう形でいいだろう。

「あの女がリーン・サンドライトだとしてだが・・・・・・」

 ジーマ・アレクサンドライトはそこまで考えて呟き、リーン・サンドライトと姓が似ているという偶然を考えた。

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