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第18話「復活」

ドカッ!!

これで壁に激突したのは何度目だったろうか・・・・・・

挫けそうになる意識を何度無理矢理、奮い立たせただろう。

死ぬまで戦う気はあった。だが、もう体がついていかない。

西城が自分と同じ壁に叩きつけられた。さすがの西城もグロッキー寸前に見える。

・・・・・ 嬲り殺しにする気だ・・・・・・

「虫けらにも意地がある・・・・そう言ったな・・・・劣等種」

 ザルマがサディスティックな目を西城に向ける。

「だが、もう理解したろう。力を持った物が支配する、それが自然の掟なのだ。劣った者は奴隷か死ぬか・・・・・それが現実だ・・・・」

「糞でも食いな。」

 西城は途切れ途切れの呼吸でそう言った。

「お前のような男に真理を理解させるにはどうすればいいか考えた・・・・・・」

 ザルマの目が小夜子に向いた。

 ザルマの考えが小夜子には読めた。最後まで反抗する者にどういう対応を取るか・・・・それは歴史の中で何度も繰り返されて来た事だった。

「西城・・・・・お前の大切な者を全て殺す・・・・・もちろんお前も殺す・・・私を止める者はいない・・・・私はやると言ったら必ずやる男だ。それを、この女を使って教えておいてやる。」

西城がゆっくりと立ち上がる。

「ほうその体で・・・・まだ立てるのか・・・・・・」

西城はその後、小夜子の上に倒れるように覆いかぶさった。

「なんのつもりだ?それで守っているつもりか?・・・・・先に自分を殺せ?・・・・・そんな事になんの意味がある?私は、お前に思い知らせてやりたいのだよ・・・・・・どけ!!」

 ザルマは西城の脇腹を足で小突いた。本気でやれば西城を蹴り飛ばすくらいの事は簡単に出来るはずなのにやらない。それがこの男のやり方だった。あくまで自分の優位性を確認したいのだ。最初にわざわざ三人に武器を持たせた。

「どけ!!!!」

 ザルマが力を込めた蹴りを西城に入れようとした瞬間、大きな気が突然現れた。ザルマが、ガッと振り向く。

 ガリッ

 リューヤの手が床を掴んだ。死んだように動かなかったリューヤの手が動いたのだ。しかも、何か雰囲気が違う。

「馬鹿な!!死んだはずだろうお前は!」

 リューヤがゆっくりと立ち上がる。目の焦点があっていない。

「死に底無いがああああああぁああああああ!!!」

 一瞬にして距離を詰めザルマの手がリューヤの頭を掴んだ。

 そのはずだった・・・・・・

 だが、気がついた瞬間にはザルマの手がありえない方向に曲がっていた。

「うわああああああぁぁあああああああ」

 リューヤの口がゆっくり動く。

「力に溺れ驕れるものよ・・・・・・」

 ザルマがキッとリューヤを睨む。

「死ね!」

 リューヤは確かにそう言った。

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおぉぉぉぉぉぉおおおおおおぉぉぉぉぉぉおおおおおおおぉぉぉぉぉぉおおおおおおおぉぉぉぉぉぉおおおおおおおぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!!!!」

 リューヤの手がザルマの頭を鷲掴みにする。リューヤがそのまま飛ぶ、落下と同時に膝をザルマの目に入れる。そして床に衝突する。

 グシャ・・・・・・ 頭蓋の潰れる音がした。血が床を濡らす。血の海の中でリューヤはゆっくりと立ち上がる。

「リーン・・・・・お前を戻す・・・・・・」

 そう言ったかと思うと、リューヤは再び倒れた。

 小夜子がゆっくりと立ち上がる。ザルマだった物体から、携帯を取り上げた。待機しているビルヘルミナにザルマを倒した事と、この場所を伝えるのだ。この街の地図は頭に入っていた。目隠しされていたが、どこで何度曲がったか明確に覚えている・・・・終わったのだ。

 ザルマの死とこの場所を伝え、救急車の必要を伝え電話を切った。

 西城も自分もリューヤも生きている。そして終わったはずだ・・・・・

 目を瞑って心を落ち着かせ目を開いた。倒れている人間が一人増えていた。裸の女・・・・・・その顔は写真で見た顔だった・・・・・・リーン・サンドライト死んだはずの人間だった。

 

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