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緑紫炎の陰陽師  作者: Ponkichi
養成学校編
15/19

別れ、始まり

久しぶりの投稿です。

遅くなってすみませんでした!

受験勉強が忙しくて……。

これからも更新頻度は遅くなると思いますが暖かい目で見守って下さい。

楽しんで頂けたら幸いです。


「みんなに悲しいお知らせがあります……」


朝のホームルームで担任の先生がそうつげた。俺は自分の席から静かに教卓の隣まで歩く。それを見計らって先生が言葉を続ける。


「今日限りで霧雨君は転校する事になりました……」


突然の話にみんなはまだ意味が飲み込めないのか教室は沈黙に包まれた……。


暫らく沈黙が続いたが、夏海の


「どうして?」


の1言で沈黙は破られた。


みんなが口々に「どうして?」や「なんで転校するの?」と言った言葉をなげかけてくる。

俺は下を向いたまま唯々、投げかけられる言葉を受け止めていた……。


そして1言。


「ゴメン……」


俺から出た言葉は自分でも意外な言葉だった。


「霧雨君は神主になるための勉強をするために遠くの学校に行くそうです……」


親父の根回しによりそういうことになっている。


「……やだよ、行っちゃ嫌だよ!!!」


夏海ゴメン……でも、夏海の、みんなの為には仕方ないんだ……。




「ハイ、ハイ!みんなそんな顔しないの!今日は楽しみましょ!」


先生が手を叩きながら空気を変える。


「決まったことは変えられないけど今からでも思い出は作れるわ♪」




「……え、どういうこと?」


みんなは話が全く読めず困惑する。


「もう、授業なんか知らないわ!先生お菓子いーっぱい買ってきたの!おかげで給料はかなり飛んだけどね!今日は好きなだけ遊んでお菓子を食べましょう!ね?校長なんて知らないわ!」


せ、先生……、貴女は本当になんて良い人なんですか?本当に教師なんですか⁉素晴らしい提案ですが、貴女の立場はどうなるのでしょうか⁉



「「「……はい!」」」


みんたは「やったー!」などと言っているが果たして思い出を作ることに対してなのか、それとも遊べることに対してなのか……。

まぁなんにせよ、みんなが元気になったならそれでいい。


それからは好きなだけ遊んでお菓子を食べて……放課後になって最後に俺が別れの言葉を言ってみんなは名残惜しそうに帰って行った。


先生は案の定、校長に怒鳴り散らされていた。

隊長せんせいのことは一生尊敬します!




「夏海、約束覚えてるか?」


「ん?」


この町に帰って来るのは3年後。


「一緒に帰るって約束……」


「うん!覚えてるよ」


「じゃあ一緒に帰ろうぜ!」


だから今のうちに果たしておく。


「うん!」



運命はいつだって突然で、どうなるかなんてそれこそ神様にしか分からないのだから。



それから俺たちはいつもよりゆっくりと歩いた。

いつ帰ってくるのか?いつ出発するのか?そんなことを話ながら歩いた。


「ねぇ、智樹」


「ん?どうかしたか?」


「……わ、私!……あの、その……と、智樹が……」


「俺が?」


「……や、やっぱり、なんでもない!」


ん?なんだ?これはまさか!


恋愛フラグか⁉キターー!!!


いや、ヌカ喜びはダメだ!


けど、直接聞くのもなぁ……。


待つしかない、か……。


「そ、そうか?ならいいけど」




俺たちは別れを惜しみながら帰った。



この時間が永遠に続けばいいと叶うことの無い夢を抱きながら……。



翌日。とりあえず、荷づくりを今から始める。持って行く物は着替えとその他の私物を少しだけだから、昼過ぎには終わる。

次の学校へは夕方から朝にかけて車で向かう。って、遠いな!


明日が入学式らしい。なので勉強が遅れているといった心配は無い。





(「荷づくりも終わったし……修行するか……。でも、親父は今日は夕方まで忙しいって言ってたっけ?仕方ない久しぶりにあれ使うか……」)



(『智樹様、あれってなんですか?』)


(「それは見てのお楽しみ!」)



「父さん、今、忙しい?修行したいんだけど……ダメかな?」


「今はちょっと、時間が無いなぁ」


久しぶりにいくぜ!


「最後に父さんと修行したいんだけど忙しいなら仕方ないか……ダメだよね?」


と言いつつ


無垢な俺の純粋な眼差しビーム☆(上目遣いver)


〜〜ビーム発射中〜〜


「智樹がそこまで言うなら……修行するか!」


「うん!」


久しぶりに使ったけど俺もまだまだ捨てたもんじゃないな。


「じゃあ、互いの使鬼神を1対1で戦わせてみるか?」


「うん!」


(「どちらかやってくれるか?」)


(「俺がやるぜ!!!」)


即答かよ!まぁそうだと思ったけど。


「智樹、制限時間は3分だ!これなら霊力もさほど減らないだろう?」


さほどって3分の1近く減るんだけど、まぁいいや。


「我にあだなす者を葬れ!死をも司りし地獄の番犬、ケルベロス!!!」


空間が裂け黒炎の中からケルベロスが現れた。


『……最近はよく呼ばれるな、龍夫……』


相変わらずの格好良さと重厚感溢れる声。


基本的に会話をするのはまん中の首、らしい。


「汝、月読に仕えし闇夜の守護神、紫月!我に守護の力を!」


空間が裂け紫炎の中から紫月が現われた。


『お前とは決着つけたかったぜぇ。ケルベロスよぉ?』


紫月は戦う前から興奮気味だ。完全に殺気立っている。


『ふん、小僧が……少しは楽しませてくれるのだろうな?』


『楽しむ余裕があればだがな!』


紫月はそう言い切るか言い切らないかで飛びかかった。


『くらえ、鋭月!』


紙一重でケルベロスが後ろに跳び、余裕の笑みを浮かべ避ける。


鋭月によりケルベロスがいた地面が砕ける。


『遅い!』


着地と共に今度はケルベロスが紫月の首元に向かって駆ける。その速さは紫月を越える。


見事に紫月の喉笛をまん中の首がとらえる。


『ぐっ……』


飛び散るとまではいかないが首元から血が滴る。


『……しゃら……くせぇ!!!』


前足で突き飛ばそうともがく。しかし、ケルベロスの顎の力はそれを許さない。更にケルベロスの牙が食い込む。


『弱きことよ……』


ケルベロスが哀れむように言い、更に追い討ちをかけるべく残りの2つの首で紫月の体に噛みつく。


バキッ、ゴキッ!


『ぐぁぁ!!!』


何かが砕けるような音がした。おそらく肋骨ろっこつが砕けたのだろう。まるで小枝を折るかのように容易く。


紫月が吐血する。


『ゴホッ……好い加減……離せ!!!』


紫月が零距離でケルベロスに向かって口から閃光を放つ。この距離では自分もただでは済まないだろう。


『くっ!』


体を閃光により射抜かれる瞬間、ケルベロスが紫月を開放して避ける。


よけられた為、致命傷とまではいかないが軽くケルベロスの脇腹が抉れた。


ダメージは紫月の方が圧倒的に上。


(「このままじゃ紫月が負ける……」)


(『智樹……落ち着け。この前の感覚を思い出せ。戦いは俺に任せろ。お前は俺を信じて今は霊力を高めることだけに集中しろ!』)


あぁ分かったよ紫月。そうだったな。相棒なかまを信じること。それが何者にも負けない強さに変わる!


「はぁぁっ!」


俺の霊力が膨れる。それと共に紫月の妖力も増していく。


『ヘ、前より良いぜ!霊力のムラが少し安定したな』


襲われたのも無駄じゃなかったかな?


『……ほう、面白い……』


「成長したな智樹!」


2人とも不敵な笑みを浮かべ楽しそうにしている。


『智樹、あいつには小細工なんて通用しねぇ。この1発に全てを賭けるぞ!』


「あぁ!わかってるよ!」



『我輩たちもこれで決めるとするか……』


「あぁ……」


紫月がありったけの妖力で妖装をする。ケルベロスは妖装もせず不敵な笑みを浮かべるのみ。

これが真の強者か……。


『くらえ!鋭月!』


先ほどまでとは比べ物にならない程の妖力を纏いそれを爪に込める。

爪には紫炎を纏ったかの様な妖力の爪を纏う。


『ふっ、見せてやろう格の違いを……。断頭!』


やはりケルベロスも妖力を爪に纏う。


もはや爪と爪ではなく妖力と妖力のぶつかり合い。


『はぁぁぁっ!』 『はぁぁぁっ!』


2体が激突する。力がぶつかり合い周りに衝撃波を発生させる。

砂塵が舞い視界が砂埃一面に包まれる。


立っているのはどちらか……。





砂塵の中に見える影は2つ。




『くっくっく……つまらんなぁ……』


『へっ、……よく言うぜ……』


互いに相当なダメージを負ったはずだった……。


『痩せ我慢などしなくてもよい。勝負はついておる……』


『けっ、完敗……だぜ……』


ドサッと紫月が地面に倒れる。


ケルベロスはほとんどダメージを負っていない。


「紫月っ!!!」


紫月のもとに駆け寄る。


肩で息をしている。


『……そんな泣きそうな顔すんじゃねぇ……。死んだわけじゃねぇんだ。…ハァハァ……暫くすりゃあ……大丈夫だ……うぅっ……』


「でもっ!……ゴメン……俺が弱いせいで……」


『……気にすんな……。お互いまだまだ、だな……』


紫月が煙と化して俺の中に戻る。


確かに紫月の言う通りだ。親父もケルベロスも全く本気なんかじゃなかった。妖装もしていなかった。

していれば傷一つ付けられなかった。

それにおそらく、最初の一発目で勝とうと思えば勝てたはずだ。

完全に遊ばれていた。いや、修行の意味も込めてか……。


完敗。


それに尽きる……。


『中々楽しかったぞ……。ではさらば……』


ケルベロスも煙と化して親父の中に戻る。


「智樹……お前の戦い方には迷いがある」


親父が俺のもとに歩み寄る。


「もっと使鬼神のことも自分のことも信頼しろ。そうしないといつかその迷いが命取りになるぞ!」


迷い?俺が自分の力に?紫月に?


どういうことだ?


「俺が……迷ってる?」


「そうだ。それがどういう意味かは自分で考えろ。死にたくなければな……。修行は終わりだ。友達が来たみたいだぞ。じゃあな」


え?


「とーもき!」


この声は⁉


「夏海⁉どうしたんだ?」


「どうしたもこうしたもないわ!智樹を見送りに来たの!」


「……え⁉本当?ありがとう。嬉しいよ!……そうだ、まだ時間あるしあがってく?」


「うん!」


俺は親に夏海を紹介した。

親父が「お前なんかに智樹はやらん!」とか言い出すし……。

逆だよそれ!それって「娘はやらん!」ってとこじゃない?

更に面倒なことになる気がしたから、そそくさと部屋に上がっていった。

触らぬ親バカに祟りなし!だな。



「えーと、何する?」


「うーん……」


なんとなく部屋に上がったが、2人っきりで空気が重い……。

だって今まで無かったしこんなシチュエーション。

緊張しても仕方ないじゃん?


「……じゃあ……マジックでもs」


「智樹!あの……本当のこと言って!」


夏海が俺の声を遮る様にして言った。


「……何を?」


「本当は何で転校するの?」


「そんは神主の……」


「そんな嘘なんか私に通用すると思ってるの?前の忘れ物ってのも嘘でしょ?女の勘舐めないでよね!」


げげっ、何でばれてんの?女の勘って凄いな……。


「それは……その……。あーもう!分かったよ!分かりました!違うよ!……けど」


「けど?」


「今は、言えない。帰って来たらちゃんと話すから……。だから、言えない」



「……智樹。……私、それまで待ってるから。……だから、だからそんなに悲しい目をしないで……」


そう言いながらそっと俺を抱きしめた。


俺は知らないうちに頬を濡らしていた。


言わなかったのは別に言ってはいけないとかいう決まりがあるわけではない。


ただ、夏海に力を知られるのが怖かったんだと思う。


化け物扱いされるかもしれないという恐怖に、今の関係が崩れるかもしれないという恐怖に向き合えなかった。


ただの先延ばしにしかならないと分かっていても、今はまだいいたくなかった。


俺は声をあげながら泣いた。


夏海の柔らかい胸の中で……。


「ゴメン……ゴメンな、夏海……」


本当のことを言えないことに対する罪悪感。


「良いんだよ?泣きたいときは泣いて……。教室では我慢してたんだよね。私ばっかり言いたいこと言って、泣いてゴメンね」




ひとしきり泣いたあとは、小学校の思い出をした。


楽しかった思い出、大変だった思い出など色々話した。


このまま時間が止まればいいのに……。


けど、楽しい時間が経つのは速い。


無情にも別れの時間は近付いていた。


「智樹、そろそろ出発するぞ!」


親父が俺を呼ぶ。


もう行かなければいけない。


俺は車に荷物を積み込み、夜ご飯のお弁当を母さんから貰う。


「夏海、俺、行ってくるよ。次に会う時はお互い15歳だ。それまで元気でな!」


「うん!智樹も元気でね!手紙書くから!」


「あぁ、待ってるよ。絶対に返事書くよ!……そうだ、これやるよ。肌身離さず持っていてくれ」


「……これ、何?」


「ただの御守りだよ。夏海を守ってくれる御守り」


そういって俺は呪符を渡した。魔除けの御守り。多少の悪霊なら近づくことすら出来ない。


「ありがとう、智樹!じゃあね……」


「あぁ、じゃあな」

俺は別れを惜しみつつ車に乗り込む。車が発車する。俺は窓を開けて夏海に手を振って叫ぶ。


「離れていても俺たちは友達だからなーーー⁉」


夏海は車が見えなくなるまで手を振っていた。


もう後戻りは出来ない。自分を信じて使鬼神なかまを信じて腹を括るしかない。




俺と親父は特に何も話さなかった。


別に嫌いとかそんなんじゃなく、俺の決心を分かってくれていたから何も聞かなかったんだと思う。


男が1度決めた事には口出しはしないそれが男の生き様。


男と男の無言のやり取り。


夜、親父と交わしたのは、1言……


「早く寝ろ……」


それだけだった……。





「智樹、起きろ。着いたぞ!」


「ん?……ここは?」


見慣れない学校の入り口に車は止まっていた。


「ここがお前がこれから通う学校……龍天流陰陽術師養成学校だ!」


・・・これが?


見た感じは少し大きめな普通の学校ってところだろうか。


「私は着いていけないが頑張れよ?制服は受付で支給される。じゃあ、元気でな?」


俺は一応前の学校の制服を着ていたが。


「分かった。父さんも元気でね!……父さん、夏海を、友達を頼んだよ」


「あぁ、任せろ!」


「いってきます!」


「おう!いってこい!」


俺は親父に背を向け、校門をくぐって歩き出した。


向かうは己が信念。夏海を、仲間を守るために……。


タイトルが「今日からマのつく自由業」の二次小説と勘違いされるので「緑紫炎の陰陽師」というタイトルに変更します。


感想や意見どしどし下さい!


あと、親父の軽い狂喜乱舞はまとめて加筆しました。

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