第57話「初日の出の輝き ~家族の絆に包まれながら~」
凛とした空気が肌を包み込む大晦日の夜明け前、リリィの家では、ひそやかな期待に満ちた準備が始まっていた。
「リリィ、支度はいいかい?」
テラが娘の部屋をのぞき込む。
小さな体に大きなコートを纏ったリリィが、大きくうなずいた。
「うん、すぐ行くわ」
玄関先で、フローラが2匹の犬の紐を手に待っている。サニーとムーンは尻尾を振りながら、家族を見上げた。
「みんな揃ったわね」
微笑むフローラ。
「さあ、初日の出を見に行きましょう」
4人と2匹の一行は、裏手の里山へと歩き出した。
凍てつく大地に積もった薄い雪に足跡を残しながら、一歩一歩高みを目指す。
「お父さん、おんぶして!」
リリィが小さな声で言った。
「ああ、いいとも」
テラに背負われ、リリィの瞳は山頂を見据える。わずかに明るみを帯び始めた空は、今にも劇的な変化を遂げようとしていた。
「ほら、リリィ。あれが初日の出よ」
山の端に、オレンジ色の太陽が姿を現した。一瞬にして周囲を黄金色に染め上げる。
「わあ……! きれい……!」
リリィの吐息が、白い煙となって溶けた。
「新しい1年の始まりだな」
テラが感慨深げにつぶやく。
「今年もみんなで、良い1年を過ごそう」
「うん……」
涙声のリリィ。
「パパ、ママ……。サニーにムーンも……ありがとう……」
フローラとテラは微笑み、リリィを抱きしめた。サニーとムーンも寄り添い、家族の輪が出来上がる。
「私……このみんなが大好き……。みんなと一緒にいるから、私……幸せなの……」
リリィは両親の腕の中で、泣き笑いの表情を浮かべた。
「今年も……ずっとずっと、みんなと一緒……」
「ああ、もちろんだとも」
「これからもずっと一緒よ」
夫婦は口々に誓う。犬たちも嬉しそうに吠えた。
黄金色の光が一家を包み込む。新しい年の始まりを、祝福するかのように。
リリィは目を閉じ、家族への愛しさと、新たな年への感謝の気持ちを胸いっぱいに感じていた。
(私の家族……。私の宝物……。絶対に守るんだ。この幸せな時間を……ずっと大切にするんだ……)
リリィの心の中で、固い決意が生まれた瞬間だった。太陽はゆっくりと昇り、里山に、そしてグリーンヴェイル村に、希望に満ちた1年の幕開けを告げた。




