第44話「落ち葉の絨毯と友情の絆」
グリーンヴェイル村は紅葉の季節を迎えていた。リリィは、友達のエマ、ジャック、そして最近仲良くなったトムと一緒に、村はずれの森へ紅葉狩りに出かけることにした。
「みんな、準備はいい?」
リリィが元気よく声をかける。
「もちろん!」
エマが大きく頷く。
「ぼくは弁当をたくさん作ってきたよ」
ジャックが得意げに言う。
トムは少し恥ずかしそうに「ぼくは……あんまり役に立てないかも」とつぶやいた。
リリィは優しく微笑んで「大丈夫、みんなで楽しめばいいんだよ」と声をかけた。
森に入ると、子供たちの目の前に広がる景色に、思わず歓声が上がった。赤や黄色、オレンジ色の葉が木々を彩り、まるで絵本の中に迷い込んだかのような美しさだった。
「わあ、きれい!」
エマが目を輝かせる。
「まるで、お姫様のドレスみたいだね」ジャックが感心したように言った。
リリィは静かに深呼吸をした。澄んだ空気が肺いっぱいに広がる。
子供たちは森の中を進んでいった。落ち葉を踏む音、小鳥のさえずり、そよ風のざわめき。自然の音が心地よく耳に届く。
しばらく歩いていると、大きな樫の木の前に出た。その周りには、ふかふかの落ち葉の絨毯が広がっていた。
「ねえ、みんな。ここで休憩しない?」リリィが提案した。
全員が賛成し、落ち葉の上に腰を下ろした。ジャックが持ってきた手作りのサンドイッチを分け合い、楽しくおしゃべりをする。
突然、トムが立ち上がり、「ねえ、落ち葉プールやろうよ!」と提案した。
みんなで協力して落ち葉を集め、大きな山を作る。そして、順番に飛び込んでいく。リリィは少し躊躇したが、友達に励まされて飛び込んだ。
「わあっ!」
柔らかな落ち葉の感触と、香りに包まれる。リリィは思わず笑顔になった。
遊びに夢中になっていると、空が少し暗くなってきた。帰り道を探そうとするが、来た道がわからなくなってしまう。
「どっちから来たんだっけ?」
エマが不安そうに言う。
リリィは冷静に周りを見回す。そして、自分たちが来た道に落ちていた赤い落ち葉を思い出した。
「あっ、こっちだよ! あの赤い落ち葉が道しるべになってるの」
リリィの機転で、無事に帰り道を見つけることができた。
村に戻ると、心配そうに待っていた両親が迎えてくれた。リリィは今日の冒険を興奮気味に話す。
その夜、ベッドに横たわりながら、リリィは今日一日を振り返っていた。美しい紅葉、友達との楽しい時間、そして小さな冒険。どれもが、かけがえのない思い出になっていた。
リリィは気づいた。幸せは、必ずしも大きなものじゃない。友達と過ごす時間、自然の美しさを感じること、ちょっとした冒険。それらの小さな幸せが、毎日を特別なものにしているんだ。
窓から差し込む月明かりの中、リリィは幸せな気持ちで目を閉じた。明日はきっと、また新しい発見と喜びが待っている。そう思うと、心が温かくなるのを感じた。




