表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【TS転生スローライフ】孤独な傭兵から転生したら、両親から溺愛されるとっても幸せなスローライフ少女になれました!  作者: 藍埜佑


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

101/103

第68話「レースのカーテン、光の舞踏会」

 二月の午後、雪が静かに降り始めた頃、リリィは家の中で本を読んでいた。そんな時、エマとミカが訪ねてきた。エマの金色の巻き毛は少し乱れ、頬は寒さで桜色に染まっている。ミカの黒い髪には、小さな雪の結晶が宝石のように輝いていた。


「リリィちゃーん! 一緒に遊ぼう!」


 エマの声は、いつもの様に明るく弾んでいた。


「今日は寒いから、お家の中で遊びたいの」


 ミカが、長い黒髪を指先でくるくると巻きながら話す。その仕草に、リリィは少し見とれてしまう。前世では絶対に気付かなかった、女の子特有の可愛らしい仕草。


「いいよ! でも、何して遊ぶの?」


 リリィが尋ねると、エマとミカは意味ありげな笑顔を交わした。


「お姫様ごっこ! 見て、これ!」


 エマは、持っていた籠からリボンやレースの切れ端、小さなティアラを取り出した。ミカのお母さんの洋裁店からもらってきたものらしい。


「あ、でも……」


 リリィは少し躊躇う。そんな女の子らしい遊びは、実はまだ慣れなていない。でも、エマが柔らかな手でリリィの手を取った。


「大丈夫だよ。きっと楽しいよ!」


 エマの手の温もりが、リリィの心の壁を少しずつ溶かしていく。


「ねえ、このレースのカーテン、素敵じゃない?」


 ミカが窓辺のレースカーテンを手に取り、身にまとう。陽の光に透かされたレースが、まるで天使の羽のような影を作る。


「わあ……」


 リリィは思わず息を呑んだ。ミカの姿が、まるで童話から抜け出してきたお姫様のよう。


「リリィちゃんもやってみよう!」


 エマが別のカーテンを持ってきて、リリィの肩にそっとかける。優しい手つきで、リリィの茶色の髪を整え、小さなティアラを載せる。


「うわぁ、リリィちゃん可愛い!」


 ミカが手を叩いて喜ぶ。鏡に映ったリリィの姿は、いつもと少し違って見えた。レースのドレスに身を包んだ少女が、はにかみながら微笑んでいる。


「私も、私も!」


 エマも急いでカーテンを羽織る。金色の巻き毛がレースと重なって、まるで太陽の光のよう。


「まるで、本当のお姫様みたい……」


 リリィの呟きに、エマとミカは嬉しそうに微笑んだ。


「じゃあ、舞踏会を始めましょう!」


 ミカが立ち上がり、エマの手を取る。二人が優雅に踊り始めると、レースのドレスが光の中で揺れる。リリィは、その姿に魅せられた。女の子の柔らかな動き、はじけるような笑顔、優しい手の触れ合い。全てが新鮮で、心が温かく膨らんでいく。


「リリィちゃんも一緒に!」


 エマがクルッと回りながら、リリィの手を取った。三人で輪になって踊る。不慣れな足取りも、友達の笑顔に導かれて自然と軽やかになっていく。


「あ、リリィちゃんの髪、解けてきちゃった」


 ミカが踊りを止めて、リリィの後ろに回る。細い指で優しく髪を整え、小さなリボンで結んでくれた。


「ミカちゃんって、上手だね」


「ふふ、毎日お母さんのお店で見てるから。リリィちゃんの髪、すごく綺麗なの。触ってるだけで気持ちいい」


 ミカの言葉に、リリィは頬が熱くなるのを感じた。


 そうして三人は、夕暮れまで踊り続けた。レースのカーテンが作る影が、壁に映る。それはまるで、もう一つの世界の入り口のよう。


「ねえ、また一緒に踊ろうね」


 エマの言葉に、リリィは心から頷いた。


「うん! 今日は、本当に楽しかった」


 帰り際、三人は互いの頬にそっとキスを交わした。エマの柔らかな髪が、リリィの頬をくすぐる。ミカの細い指が、やさしく肩に触れる。


 その夜、リリィはベッドに横たわりながら、今日の出来事を思い返していた。レースのドレス、手を取り合って踊った時の温もり、友達の可愛らしい仕草や笑顔。全てが宝物のように心に刻まれていく。


(女の子って、こんなに素敵なんだね)


 窓の外では、雪がまだ静かに降り続いていた。レースのカーテンに映る雪の影が、まるで小さな妖精のダンスのよう。リリィは幸せな気持ちで、静かに目を閉じた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ