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儚奏…肆

 六花の倒した白のルークを、彼が置こうとした場所へと代わりに進めた四季は、この時初めて顔を上げた。

「誰もが存在を許されるわけではない、という事だ」

 視界に映った哀しげな表情に、四季が返したのは情動を孕まぬ無感動な言の葉だ。

 黒のナイトが動く。雪が音を食らって作り出された静寂は、響いた澄んだ音色もすぐに呑み込んでいった。

「…俺はてっきり、全員が存在を許されるものだと思っていた」

 死という一つの現象に対して孕む感情が、二人の間で相違を見せる。

 沈んだ声を出す彼を、上目遣いにちらりと四季は見遣ったまま、しかしすぐに手元にその銀の瞳は戻された。返す沈黙が言葉の続きを促すものとなる。

「あの日。雪が降って、俺が自分を取り戻せた日から。世界は白一色ではなくなった」

 雪が降った。

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