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儚奏…弐
「元気そうだな」
「四季も」
四方を白い壁で囲まれた、小さな空間。そこにあるのは四角く切り取られた白い空と、そこから落ちてくる白い華によって染め上げられた白銀のゆりかご。
自分が出てきた入り口と対面にある外の世界へと続く扉を後ろ手で閉めた六花は、中央にいる四季の所まで歩いてくると手に持っていた折り畳み式のそれを軽く叩いて見せた。
軽やかな音を二度純白の世界に落としたそれに視線を移し、四季はふっと笑う。
「必勝法は浮かんだか?」
敢えて意地の悪い質問を投げ掛ければ、六花は片方の頬を引き攣らせる。それは目に見える変化としては微細なものであったが、付き合いの長い四季にとって、それは充分な判断材料となる。




