表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/47

儚奏…壱

 箱庭がその存在を許したのは、それが、己と同じ色を持っていたからだろうか。

 意味もなく足跡を刻む。白い壁で四角く切り取られたこの空間で風が歌うことはない。天使の子守唄を邪魔することは許さないとでも言いたげに。

 手を軽く翳す。掌に落ちてきたそれは、己の有する体温ですぐに溶けて消えてしまった。ただ、ほんの僅かな時間、白き羽は六つの花びらを持った花に姿を変える。

 解けたそれは水になる。そして、やがて存在そのものを消してしまう。

「四季」

 背後から掛けられた声に振り返る。

 そういえば、いつも彼は、後ろから名前を呼ぶ。

「六花」

 待つ理由が出来た。

 行く理由を得た。

 命の砂が零れ落ちてく音を聞きながら、だから、彼が訪れるのを待っていた。

 月に一度、彼に会いに行く。

 月に一度、彼が会いに来る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ