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淡奏…玖

 無表情を崩さない四季の代わりに、六花の表情に陰が差す。

 銀の隻眼を伏せて憂いを見せる彼に、小首を傾げた四季の頬を白銀の髪が撫でていく。その髪を耳に掛けたのは、六花の手だった。

「どちらの方が、幸せなんだろうな」

 頬に添えられた手の温もりに、瞳を閉じた四季の唇から僅かな吐息が漏れる。

「さあ」

 会いに来る者がいない事を知り、待つ必要もない事か。

 会いに来る者がいる事を知り、ただ、待ち続ける事か。

 どちらが幸せなのか、その答えを、ここにいる誰も知らないだろう。

 或いは、どちらも幸せなのかもしれない。

 少なくとも四季は、待つ理由も行く理由もない今の生活を、不幸だとは思わない。

「六花。お前は不幸か?」

 突然の四季の問いかけに、微かに瞠られた銀の隻眼はすぐに細められる。

「いいや。幸せだよ」

 浮かんだ笑みがその問いへの答えとなる事を六花は知っていたが、それでも敢えて言葉にしたのは白い世界に刻んでおきたかったからだ。

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